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かきほめノート、はじまります。

みなさん、はじめまして!
コクヨ「しゅくだいやる気ペン」プロジェクトから生まれた親子応援メディア「かきほめノート」がいよいよスタートしました。
どれくらいの方がこの記事に目を通してくれるのでしょうか。
ちょっとドキドキしています。

かきほめノートは「しゅくだいやる気ペン」を開発したコクヨチームとPRスタッフが協力して更新します。みなさんと同じく、家に帰れば子育てに悩むお父さんやお母さんだったりします。

「かきほめ」というワードには「かきたくなる」という子どもの気持ちと「ほめたくなる」という親の気持ちが込められています。わたしたちは、この2つの思いの架け橋になりたいと思っています。

「家庭学習」を軸に、教育の専門家へのインタビューや親子向けイベントのレポートなどをお届けする予定です。ていねいに、月に1回ぐらいの頻度で更新していきたいと思っています。


“宿題の常識”を変えてしまおう。

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しゅくだいやる気ペン」は、2019年7月の発売直後、即売り切れるほどの大反響をいただきました。このペンが目指すゴールをひとことで言うと「家庭学習を通して、親子のコミュニケーションをより良くすること」。
 大げさに言えば、夏休みの家族旅行や記念日のディナーみたいに、楽しい思い出のワンシーンに、「宿題に取り組む光景」があったらいいなと思っているんです。だから、このペンは「宿題の常識」を変えてしまうかもしれません。

 でも、宿題ってやっぱり楽しくないですよね。子どもにとっては、宿題なんてできればやりたくないものだし、親にとっても「今日もまた宿題が終わっていない……」というイライラの種。

 けれど、そうやって毎日のように悩まされるものだからこそ、親子の絆を深めるチャンスに変えられるといいのではないか。
 宿題の時間がお互いを分かり合う時間になったら、とても幸せなことなのではないか。

 このペンの開発を通して多くの親子に出会い、みなさんの悩みや迷い、願いをお聞きするうちに開発チームはそんな思いを抱くようになっていました。


親のほんとうの願いとは?


 開発の過程でわたしたちは「親は、ただ子どもに宿題をやらせたいだけじゃないんだ」ということに気づきました。

 実際には、親は子どもに学ぶことの楽しさを見つけ、幸せになってほしいのです。

 時には叱ったり、頭を抱えたりしながら、あの手この手を使って子どもの学びをサポートしようとする親御さんの背中には、たしかに、子どもへの愛があふれています。

 子どもも同じです。ほんとうは宿題をさぼりたいわけじゃない。どんな子も頑張って親にほめられたいという思いがあるのです。


子どもはみんな「頑張り屋さん」。


 モニターになってくれた子どもたちからは、とても多くのことを学びました。「しゅくだいやる気ペン」には加速度計がついています。書くスピードを感知し「やる気」を数値化するのですが、この加速度計には「いたずら防止機能」がついていて、めちゃくちゃにペンを振り回して数字を稼ごうとしても反応しない仕組みになっています。


 でも、この機能が、じつは要らなかったかも……と開発チームの大人たちを驚かせることになりました。だって、今までズルをしようとした子にひとりも会ったことがないんですから。

 このペンを渡すと、みんな一生懸命に課題に取り組み、ちゃんと自分の力で終わらせようとする。子どもは「自分が頑張った」ということを大人に見ていてもらいたい。そして、褒めてもらいたいんだということに気づかされました。


親子のすれ違いをなんとかしたい。
 

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 親も子も宿題を頑張りたいのは同じ。それなのに、家の中で繰り返されるのは「宿題しなさいって何度言ったらわかるの!」とお母さんが怒鳴り、「後でやる~」「もう終わったもん!(もちろん、うそ)」と子どもが逃げ回っているという現実。

 熱心な親御さんであればあるほど、子どもに勉強させなければと宿題をストレスに感じていることもわかりました。
 思い合っている者同士がすれ違う。こんな不幸なことがあっていいはずがない。

 試作品を作りながらも浮かんでくるのは、ほんとうの気持ちが伝えられない親子の姿でした。

 そして、いつしかこのペンの開発は「子どもを管理するツール」から「親子のコミュニケーションを助けるツール」へと方向を変えていきました。

子どもを動かす、小さなきっかけ。



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 開発の過程でいちばん苦労したのはじつは「子どもに使いつづけてもらう仕組みづくり」でした。

 どうすればこのペンを使って宿題をやろうと思ってもらえるのか。子どもはどんなことだったら楽しいと思ってくれるのか。ずいぶん頭を悩ませました。

 アプリを使ってやる気の記録ができるようにする構想でしたが、いい仕掛けはなかなか思いつかず、一時期は「ピ〇チュウとかマ〇オというスーパースターには何をしても敵うわけがない」と投げやりな気持ちになったこともありました……(苦笑)。


 その点でも、世のお母さんたちの子どもを観察する力には脱帽でした。子どもが好きなことをほんとうによくご存じなのです。

 たとえば、漢字の書き取りが苦手なお子さんのお母さんは、その子が電車好きなことに目をつけ「駅名板」に似せた手作りの単語帳を使っていました。「駅名だと思えば覚えられる」と子どもを励まし、楽しんで学べる工夫をしていました。
 

 じっくりと子どもを観察し、彼らが好きなこと、熱中することを発見していくという開発チームの姿勢は、お母さんたちから学んだものです。


 最終的に行き着いたのは、たまったやる気の分だけコマを進める「すごろく」とお母さんやお父さんと相談して決める「ごほうび」の組み合わせでした。「すごろく」で達成感を得、「ごほうび」で親子のコミュニケーションを深める。そうして子どもの意欲と習慣化をサポートしようと考えたのです。

 でも「すごろく」にたどり着いたのは、ほんとうに偶然としか言いようがありません。もしかしたら、「宿題の神様」がわたしたちに力を貸してくれたのかもしれません。

 あるとき、モニターとして来てくれた小学生が、たまたまそこに置いてあったすごろくに目を止め、遊びだしました。しかも、夢中になって。

 普段は、DSやSWITCHに熱中している子が、飽きもせずにすごろくで遊んでいる姿は驚きでした。縄跳びやコマ、けん玉、ヨーヨーなど、昔からずっと子どものそばにあり続けるものはやっぱりすごい力を持っていると痛感しました。


 後づけの分析になりますが、子どもにとって適度な「達成感」を味わうためには、すごろくゲームの構造がちょうどいい塩梅だったのではないかと思っています。これが複雑なRPGとかシューティングゲームだと、そのゲームを攻略することが目的になってしまい、宿題を頑張ることに興味が持てなくなってしまうのではないか。

 これは、子どもへの「ごほうび」を考えるときにも参考になるかもしれません。あまり複雑な条件を与えないことがやる気を維持するコツのひとつなのかもしれませんね。

「しゅくだいやる気ペン」には卒業がある。



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 わたしたちは、文具メーカーです。ふだんの仕事では、いかにたくさん作ってたくさん売っていくかを考えます。でも、ある親御さんの言葉で、とても大事なことに気づかされることになりました。それは「このペンがなくても宿題を自分からやるようになりました」という言葉でした。
 子どもは、いつかこのペンを卒業するときがくる。
 そして、それは、子どもが自分の興味を発見し、自ら学習する意欲が芽生えたときにやってくるということに気づかされました。
 文房具を作っていて、これほどの意義と感動を感じたことはなかったかもしれません。今、わたしたちの最終ゴールは、子どもたちに「しゅくだいやる気ペン」を卒業してもらうことになりました。そして、そのゴールを目指すためには、その日が来るまで、使ってくれる親子をサポートしつづけなければいけない。そう思うようにもなりました。

 前置きがとてもとても長くなってしまいましたが「かきほめノート」の目的はここにあります。このペンを使ってくれる人たちとつながっていたい。そして、作り手として、「学びの入り口」で日々試行錯誤する親子を応援するような情報を発信したいのです。

 次回からは、編集チームで厳選した教育のプロフェッショナルに毎回お話をお聞きし、記事化していく予定です。どの方も、子どもの学びと真剣に向き合い、大胆に、でも丁寧に、新たな教育を実践しておられる方ばかりです。楽しみにしていてください。

テキスト・岡田寛子/撮影・今井美奈


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子どもの学びが楽しくなる時代を創る
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第1回_コクヨやる気ペンチーム