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ことばのアルバム

仕事が一段落するけじめのときに、多くのお祝いを頂いた。
その中にこれまでいっしょに働いた人たちとの思い出のアルバムがあった。
こんな写真が人様の人生の中に残っているのかと思うと顔を覆いたくなるものも・・・。

アルバムとは、写真帳とか記念帳とかいくつかの曲をあつめたレコードやCDとある。
私はことばのアルバムを持っていて、私の人生を変えた(ほどの)大切なことばがしまってある。
その中のひとつを紹介する。

「人には適応能力ってものが備わっているから、合わないと思っても意外と続くかもしれん。やってみろ。」

これは高校時代の恩師の、進路相談時のことばである。
大学を受験したが、望み薄だったとき、現在の職業に関する進路を紹介してもらった。
「いやだ、合わない。」と拒否する私にかけてくれたのがこのことばである。
何十年経っても覚えているのだから、相当強烈なことばだった。
「適応能力・・・」と何度も反芻はんすうした。

もしかしたら、その時”暗示”にかかったのかもしれない。
なぜなら同級生の中でも最後まで走り抜けたのはたったひとりだったから。
絶対合わないと思っていた職業を今も続けているから。

今振り返ると、この状況はセレンディピティっていうのに近いかもしれない。(それにしては長い長い話だけれど。)

セレンディピティ
偶然に思いがけない幸運な発見をする能力,またはその能力を行使すること.この能力により,失敗した実験の結果から予想外の有用なデータや知識を得たり,検索結果を点検しているときにノイズの中から偶然に当初の目的とは異なる価値のある情報を発見したりできる.ただし,すべてが偶然や幸運に依存するのではなく,有用なデータ,情報に気付くための基盤となる潜在的な知識や集中力,観察力,洞察力を要する.英国の小説家,ウォルポール(Horace Walpole 1717-1797)がスリランカの昔話『セイロン(Serendip)の三王子』(Three Princes of Serendip)にちなんで造った語といわれる.
図書館情報学用語辞典 第5版

このことばがなかったら、どんな人生を歩いていたのだろうと思うことがある。
今のしあわせな私を作り上げた最高のことばだ。
いつか、恩師にこのことを伝えたいと思っていたが、ついにその思いは叶わなかった。
ことばは人生を変える力がある。
だから、私も口にすることばを、特に他者にかけることばを大切にしたい。


タイトル画像は”kimix┊︎写真とイラスト”さんにお借りしました。
うん十年前、こんな道を歩きだしたのだと思う。

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