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濃密インド時間〜東京ディワリフェスタ〜


というわけで東京ディワリフェスタに行ってきました。

秋晴れの中、イベントに向いてない立地の公園に向かう。
雲ひとつなく、陽の光がまぶしい。やや肌寒いが過ごしやすい気候。まぶしさの不快感を上回るほど天気がいいのは確か。
本来ならご機嫌で鼻歌歌いながら歩いているところなのだが、どうも花粉もご機嫌らしく歩いて早々に顔中粘膜だらけの幕開けとなってしまった。

鼻歌とともに鼻水をまき散らしながら、公園を目の前にする。

長細い公園にギュウギュウの人だかり、プンと匂うスパイシーな香り。もうガンジス川が流れているような気さえしてきた。

どうやら「ディワリ」というのは日本でいうお正月的な意味合いがあるらしく、インドでも盛大に祝うようで。
そんなディワリを冠したイベント、確実に気合が入っている。こんなの行くしかないじゃないか。

口の中はすでにイマジナリビリヤニで一杯になっている。
先日、近所に新しくできたインド料理の店でビリヤニをテイクアウトしたら、それは見事なほど大外れのビリヤニだった。

ビリヤニ、外れることあんのかよ!
あまりにもモヤモヤしたこのビリヤニへの思い、ビリヤニで晴らすしかない。私はリベンジビリヤニを心から求めていた。

イベントスペースを囲うように出店のテントが出ている。どこもすごい行列だ。
というか、どれがなにの行列なのかわからないくらい混沌としている。

ざっと見渡す。飲食が4テント、雑貨が1テント、服が1テント。そしてJ:COMが1テント。J:COMが異質すぎるよ。

にしても、人が多すぎる。いや、密集しすぎている。とりあえビリヤニ食って帰ろう。

別のテントでマンゴーラッシーを頼むか迷いながら、行列に並ぶ。
ビリヤニという概念はまったく収斂するものではないのだと、先日の外れビリヤニで学んだ私はこの店のビリヤニも辛くないかもしれないな?と思っていた。
しかしこのとき私は完全にスパイシーな匂い漂うこの空間に適応してしまったせいで、判断を誤ることになる。

園内は爆音のインド音楽が鳴り響いている。そして民族衣装をきた子どもたち、インド人も日本人も関係なくステージ裏でスタンバイしている。

インドだな〜。などと浸っていると、目の前の恰幅のいい女性が音楽にあわせて踊りだした。
インド映画で見たことあるノリだ!
チャレンジ○年生的なリアクションを取りつつ、思わず感動してしまった。

またこの女性が大変にフリーダム。一旦列から抜けてベビーカーを置いてきたり、ガンガン周りの人に話しかけたりして(私には話かけてこなかったけど)。
でももしこれが日本人だったら眉をひそめていたかもしれないが、インドのノリか〜と思うと不思議と許せてしまう。
自分の中の気づかない偏見に気づく昼下りである。

少しずつ列が進む中で、聞いたことのある音楽が流れてきた。

マツケンサンバだ。

あまりにもインドな空間にマッチするマツケンサンバ。思わず笑ってしまった。これが意表を突かれた、という状態だ。

しかしマッチしてるなマツケンサンバ。
いや、サンバはブラジルだろうが。

その後、インド音楽をマツケンサンバでサンドして再びインド音楽しか流れなくなった頃、ようやく注文までこぎつけた。

他のお客さんがカレーとナンとか、ビリヤニとインド肉団子などを頼むなか、私は頑なにビリヤニだけを注文する。
恐らくビリヤニオンリーの客はあまりいないのか、インド人オジサン店員に「ほんとにビリヤニだけか?」みたいな顔をされてしまった。

インド人の皆さんは大変陽気な方が多い印象を受けるが、こと商売になると(日本人的感覚なら)愛想が悪く見えてしまう。
しかし物怖じしてはいけない。しっかり意思表示をすれば必ず応えてくれるのだ。

いや、テントの中には明らかに日本語ペラペラ愛想最高店員さんもいたけどね。カテゴライズは悪手である。

ビリヤニを受け取ったのち、座る場所を求めて園内をさまよう。しかし一切座る場所がない。

仕方ないので、園内を飛び出てみた。

ビリヤニ越しの陸橋の景色

木々は徐々に色づいてきた。実に風流である。

ただ状況としては、ビリヤニを持って街を歩いているのである。自分でも意味分からなさが極まっていると思う。
同じビリヤニを持ち歩くのでも、ほぼインドの園内をあるくのと、日本の街を歩くのではどうにも異色感が拭えない。
特にビリヤニを持って陸橋を渡ったときが1番意味分からなさが強調されていた。

意味分からない歩きを終え、座る場所を見つける。座る。最高のビリヤニ日和だ。


おいしそう!

買ったお茶を出して、早速一口。
濃いッ!辛いッ!これだよコレェ!
スパイスの香りが口の中に充満する。パラパラとした米もいい具合だ。
先日からのもやもやとしたビリヤニへの気持ちが氷解してゆく。

誤算。辛すぎるッ!お茶じゃ抑えきれん! 
やっぱりマンゴーラッシー頼めばよかった…
辛いけどスプーンが止まらない。ビリヤニとはそういうものなのだ。

しかしもっと色々食べたかったが、私は少食の身。
別件のハロウィンパーティに参加していたPさんもディワリフェスタをとてもうらやましがっていた。来年はふたりで食い倒れよう。

最後にガンジス川で沐浴して帰宅した。おしまい。

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