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初めて人に本を贈ってみた。

初めて人に本を贈った。

去年の3月に大学を卒業した時、サークルとゼミが一緒だった仲良い後輩から卒業祝いのプレゼントをもらった。

その後輩が今年の春に大学を卒業し就職したので、去年のお返しも兼ねてお祝いしようと思っていた。
だが、なんだか慌ただしくて予定が合わず、先週、3か月遅れでようやく飲みに行くことができた。

「何を贈ろうか」と、とても迷った。

「卒業祝い プレゼント」「女友達 卒業祝い」「プレゼント センスいい」
などと、ことばを変えていろいろと調べたけれど、「これだっ!」と思える結果にはたどり着けない。
どのサイトも、最新の流行を取り入れていてすごいのだけど、たいていはちょっと高価なコスメやインテリア、バスグッズなどありきたりなものばかり。

そうじゃない。
私が贈りたいプレゼントは、
「他の人からはもらわない、ちょっと変わった物。受け取った人に、『センスがいい、私のことをわかってくれている』と思ってもらえて、手に取るたびに自分のことを思い出してもらえるもの」
だったのだ。
ちょっと欲張りかなとは思いつつも。

そこで彼女が好きなものについて考えてみた。
酒を飲むこと、食べること、バスケ…
あれ、意外と彼女の好み知らないな…。いや、彼女がそれくらい単純なだけか…⁇

ふだん他にどんな話をしているかを考えたとき、よくおすすめの本を教えてくれることを思い出した。

今では私も好きな作家のひとりである原田マハさんを最初に薦めてくれたのも彼女であるし、それ以外にも『四月になれば彼女は』『木漏れ日に泳ぐ魚』など、自分では開拓できなかったであろうジャンルの本を紹介してくれた。

そうだ、彼女にぴったりの本を贈ろう。
しかし、今まで人に本をあげたことなどない。

自分がおもしろいと思った本や感動した本が、相手にとってはそうでもないかもしれない。選ぶ本によって自分のセンスが浮き彫りになる気がする。本は値段を隠しようがないが、相手は気にしないか。はたまた、その本を相手がもう読んでしまっているのではないか。
などと考えてしまい、本を贈るというのは、とてもハードルが高いことのように感じた。

多くの心理的ハードルがあり迷ったけれど、本を贈ろうと最初に思いついたときに、彼女に読んでほしいと真っ先に思い浮かべた本があった。
それがこの本である。

赤と青とエスキース

「エスキース」とは、フランス語で「下絵」のことで、スケッチなどを指すらしい。美術系の作品を綴る原田マハさんが好きな彼女に、やっぱり合いそうだ。
そして、カバーの美しさもまた魅力的だ。
箔押しされたタイトルと、白と赤と青のバランス。ずっと触っていたくなるようなカバー。

本を贈ることに対する多くの心理的ハードルよりも、「感動や美しさを共有したい」という思いのほうが勝った。

よし。決まった。
Amazonで注文すれば翌日に届くというけれど、最近は街の書店が消えゆくニュースが多く聞かれるので、なるべく本は書店で買いたい
最初に行った店舗では見つからなかった。駅の反対側に移動して、2軒目に行くと…ありました! 文芸書の棚に差された『赤と青とエスキース』が。

本を渡すと、想像以上に喜んでくれた。
「初めて人から本をもらった」「カバーがきれい」「私が原田マハの本好きなの覚えてて選んでくれたの?」ってうれしい反応が。
帰ったあとのLINEでも、「ドンピシャなプレゼントでほんとにセンスすご!!って感じでめっちゃ嬉しいです」とメッセージが。

「こんなプレゼントをあげたい」という自分の欲求が満たされた。幸せだ。

ちなみに、本と一緒に保冷マグカップをあげたのだが、今までオフィスでは紙コップを使っていたそうで…。こちらも含めて「ドンピシャ」だと褒めてもらった。

こんなわけで、初めての本の贈り物は、色々懸念されたことは杞憂に終わり、大成功だった。

今後、本の感想を聞くのも楽しみであるし、読み終わったあとにぜひ他の人にお薦めして、このすてきな本がもっと多くの人に広まってほしいとも思う。

いつもありがとう。
これからもかわいい後輩、すてきな友達でいてください。


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