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【軍事】空想科学『モビルスーツの軍事科学的考察』第6回/MSの兵站・整備に関する考察

(全7,777文字)
本記事は完全に空想・趣味のお話です。
はじめてご覧になられる方は、まず第1回の記事を先にお読みいただけますと、内容がより理解しやすくなるかも知れません。

留意事項などもそちらに記載しておりますので、併せてご理解ください。

とうとう、ウンチクの記事が前回で終わりました。

書き残したこともたくさんあるので、補足や追加のウンチク記事は続々と出てくるとは思いますが(笑)

一応、タイムテーブルにのっかって記事を予約公開しているため、中途半端で申し訳ございませんが、今回からちょっとだけ運用にまつわる記事のリリースになります。

『だいたい800文字くらいの記事が最も良く読まれる。』と聞いて、普段の記事は、なるべくそれくらいの分量のものを意識しつつ量産してましたが…。

こ の 記 事 は

好 き な よ う に

自 由 に 書 き ま す w

このシリーズは私が好きなことを好きなように書く!
と決めて書いてるので、気が付くといつも凄い文字数に(笑)
実は、このシリーズに限っては、最初にダーッと、1万5千~2万文字くらい書いてから推敲し、文字数をザックリ減らした記事をアップしてたりします。まあ、どうでも良いことですが(笑笑)

こんなマニアックな記事、誰が読むねん?
てなことも全く無視して今日も書きます。

いつも前置きが長くてすみません。

いないとは思いますが、二次使用はご遠慮ください。

(過去記事はこちら↓)

【第6回/MSの兵站・整備に関する考察】

はじめに

今日のお題は、MSの運用面に少し踏み込んで、兵站や整備面のことを考察していきたいと思います。

ところで…。

【兵站】とか【整備】とは何ぞや?

まあ、MSを運用するための維持に係る所要のことなんですが、アニメの劇中ではそれっぽくMSを整備してるシーンとか、補給に関係する描写なんかも所々に取り入れられてますね。

アニメ機動戦士ガンダムでは、補給ナシでホワイトベース隊はよく戦えたな…(;^_^A

マチルダさんが命がけでミデアで物資たくさん運んできてくれてよかったですね。
Zガンダムでは、なぜか、アーガマに物資を搬入するシーンでは、必ず生きたニワトリが逃げ出して大変なことになる描写がありましたが…。生きた鳥持ち込んでどうする気なのか(汗)
あ、卵産ませて収穫するのか、そうかそうか(笑)
(いや、食われるんじゃ…w;)

そういった、ロボットアニメ的にはあまり目が向けられないけれど、本来なら、こんな苦労があるんだろうな~みたいな描写が、お話の厚みを増す要素にもなっているのかも知れません。

話は変わって。

F15イーグル戦闘機を一回飛ばすには約●00万円ほどかかるらしい。(注意:予算の是非を問うためのものではありません。理解を促進するための尺度の一例として引用しています。)

何の記事だか本だか忘れましたが、そう書いてあった気がします。航空機は、飛行回数や経過時間等に基づいて交換する部品が厳格に定められていて、燃料だけ入れてパイロットが乗り込んだら離陸!って訳にはいかないそうです。

機体が本来求められるパフォーマンスを100%発揮できるように、使うべき時にちゃんと稼働するようにしておくには整備が不可欠です。昔の人は良く言ったもので、『腹が減っては戦ができぬ』その通り、人間もお腹がすくと仕事に力を出すことができません。機械もいっしょ。

一般的に、先進国の軍隊の編成/編制を紐解いて見てみると、歩兵、戦車、砲兵などの直接戦闘に従事する職域の人数や装備の量は、全体の20~30%程度しかなくて、残りの7~8割は兵站機能になっています。内・外征型のいずれかにもよりますが、その配分は『必要だから』という理由に他なりません。

戦車1両をまともに活動させるには、リッター200m~300mと言うバカ高い燃費を支えるため、莫大な量の燃料を輸送して補給できる兵站支援機能が不可欠です。弾薬だって無限に撃てるものでもない。(一般的な諸外国軍隊の輸送所要の殆どは砲兵用の砲弾輸送だとか…。)

90年代の湾岸戦争では、米軍はクウェートとイラクの国境付近に展開した多国籍軍の左翼側を空中機動で大きく(約千数百km)迂回したとされてますが、当時の米軍は1コ師団がまるっと空中機動できるだけのヘリコプター戦力を保有していたことも驚きですけれど、驚くべきは、それだけの航空機を運用するのに必要な燃料や整備の基盤を戦場で大規模に前方に推進し、展開したことだと思います。
砂漠の中で航空機を運用するのって、兵站所要も大変ですが、整備面から考えても技術的にものすごく大変なことです。

ここで書いている架空の機動兵器である【MS】は、連続運用時間を比較的短めに設定しています。また、大量の燃料を消費するような機械的作動原理に設定してませんが、精密な機械であることに違いは無いので、それなりに整備所要もあるし兵站支援が必要なのは間違いありません。

今回の記事では、ねじ一本に至るまでの細かいことは書きませんが、作戦・戦闘でMSを運用するにあたって、最低限の整備・兵站に関連する要素を大きな視点で考察してみようかなと思います。

1.MSを維持する整備兵站機能

信頼性の高い兵器とは、
① 壊れにくい
② 故障が少ない
③ 整備しやすい
④ 整備所要が少ない
⑤ 復旧が容易(壊れても修理がしやすい)
であることは言うまでもありません。

航空機や艦艇は、一つの運用単位として見ると極めて戦闘力の高い兵器ですが、どこか一つでも故障したり、機能上の不具合が発生してしまうと、基地に戻って修理する必要があります。

一方、陸戦兵器は、現地でチョコチョコっと修理して即戦線復帰できれば、後方まで運んで修理して、また前線に持ってくるという手間が省けます。

戦車には必ず戦車回収車というものがあり、交戦中に被弾した戦車を戦場で回収し、敵から撃たれない場所までちょこっと持っていき、その場で修理して比較的早く戦線復帰させたりすることもできるとか。(その時の整備員は命がけなのは言うまでもありませんが…。)

ならば、MSにも戦場で回収して現地で修理するという概念があって然るべきで、MSの回収用車両・MSとかがあっても不思議じゃない。いや、むしろ、必要なもの。

ガンダムのインサイドストーリーとかオリジナルものの描写では、よくザク1とかザクタンクが黄色く塗られたりして、MSの回収をしてるシーンとかがあるような記憶があります。さすがに最前線で戦場回収するための装備の塗装が黄色はどうか?とは思いますがw

OVA第08MS小隊(かけうどんが好きなガンダム上位に入ってるやつ)では、オープニングの映像で、被弾した陸戦型ガンダムを回収型ガンダンクで引っ張り上げるシーンとかも描写されています。

アニメの描写の話はこれくらいにしておいて。

軍事科学技術的な切り口で考察しますと、既存技術でMSを作ったとしたら、戦場ではどのような整備支援機能が必要だろうか?という視点で考えて、思いついたものを適当に列挙してみようと思います。

(1)高所作業車:設定上、MSの全高は約10m弱にしてますが、整備のためには電線工事のときに使うような高所作業車が必要。民生用の一般車両で十分。

(2)重レッカー車:戦車ほど重たいものを吊り下げる必要はないけれど、交換部品を吊り下げるために使用。例えば腕部のアッセンブリー交換の時など。

(3)戦車(MS)回収車(MS):一般的には、装備化している主力戦車と同じ車体を転用したレッカー機能つきの車両が戦車部隊に随伴して、故障した戦車を回収します。なので、MSを回収するための車両(又は回収専用のMS)も必要。自重が十数トンから、重くても30トン弱と設定しているので、現有装備の戦車回収車でパワーは十分ですが、高所作業車のような民生品と違い、戦車回収車そのものも維持・整備が必要なので、できればMSと同じ規格の部品で整備ができるものが望ましい。(装備のファミリー化)

(4)整備用移動式ハンガー:洋服をかけてかけるハンガーをもじってますが、MSのフレームをハンガーと言う台座に固定して、腕や足の整備や部品交換をしやすくするためのもの。大型車両の荷台に機体固定用のハンガーを搭載するイメージ。車体の余剰スペースには、整備用の特殊工具やら予備交換パーツを収納。

(5)予備交換部品などの輸送車両:既存のトラックなどで十分。

(6)ガスタンク車両:アクチュエーター用のガスを充てんするためのもの。これも既存のトラックやトレーラーで十分。

(7)トランスポーター:MS輸送用のトレーラー。既存車両で十分。

(8)電子装備整備用特殊車両:機体制御用の電装系の整備には専用のメンテナンス車両が必要。これも車体は既存の一般車両で十分。

(9)武器/弾薬運搬車:MSは戦車や歩兵戦闘車と異なり、使用できる主兵装が換装できるのが強みですから、運用できる主兵装を運搬するための手段も必要。これも既存車両で十分

(10)自隊専用の燃料車輛等:専属の補給部隊の他に、整備用としての燃料輸送が必要な場合も考えられるので、こぶりなタンクローリーはあった方がいいかも。MSそのものはたくさんの燃料は使わないけど、整備時に使う発電機用の燃料は整備部隊が自前で持っておかないといけないため。

ほんの10分ほど考えながらメモを書いてただけで、ここに書いた10個くらいのアイデアが思いつきました。モノによっては区分ごとに同種類のクルマが2両~3両は必要ですから…。

中隊規模の整備部隊で、大型トラックやトレーラーが約20~30台は必要な計算になります(汗)整備大隊とかになると、ざっくり100両前後でしょうか。

こりゃ、戦場で隠れているMSそのものを索敵して探すよりも、戦場近くに展開している兵站部隊を探して先に叩いた方が楽なような気がしてきました…(笑)

まあ、兵器を運用するという事は、それだけ手間がかかるという事でしょうか。諸外国軍の殆どが、持てるリソースの7~8割を兵站機能に充当しているのは、自己完結して戦うにはそれだけの比率を維持していないと成立しないという事の裏返しでもあるのかも知れません。

2.MS単体の整備上の技術的考察

基本的に既存兵器の野外整備とそんなに大した差はないのかな?とも思いますが、戦車とか装甲車に比べると、MSは直感的に『いじくりまわすところ』が多い機械の塊のような気もします(笑)

細かいことを書き出すとキリがないので、基本的にMSの野外整備は故障個所の修理は『アッセンブリーを交換する方式』として、腕を肘から先をまるまる交換するとか、足を股関節から外して大腿部だけ交換するとか…。
感覚的には、ガンプラをバラして、壊れてるところだけ新品に差し替えて組むようなイメージです(笑)

問題なのは修理がしやすいかどうかよりも、サプライチェーン(新規部品の設計・工場での製造・戦場への輸送・戦場での交換、故障して外した部品の後送・後方の工場での修理再生・再び戦場への輸送)のサイクルをいかに効率よく、無駄が無いように構築して、それをいかに早く回転させるかが肝になりそうな気もします。

民生品で流通量の多い部品などは各メーカーが交換頻度の高いものは常にパーツを生産・ストックしていますが、滅多に壊れない部分は注文から到着まで時間がかかるのが普通です。

MSは戦うための兵器なので、戦場に出ればどこが壊れるかなんてわかるわけありません。なので、アッセンブリー交換にしてしまえ!という考えなのですが、それだと維持・運用に係るランニングコストが高騰してしまいます…。(デッドストックが発生しやすくもなるため。)

一例としては戦場と製造工場の間をつないだ形で説明していますが、生産拠点と戦場の間に部品の一時保管場所や集積拠点などの中間結節を設けることで効率化を図ることはできるかも知れませんが、恐らく、現代の一般的な諸外国陸軍も同じような仕組みで回してはいるはずです。(よって、ここはこれ以上深く掘っても余り意味はないw)

機動兵器は1機が機能不全に陥ると、その復元には多大な時間とコストを必要とするため、1秒でも長く戦場で稼働し続けることが陸戦では要求されます。このため、野戦整備の支援機能をとにかく潤沢にするのではなく、過不足のないバランスの取れた、かつ、効率の良いサプライチェーンの構築が不可欠になると考えます。(って、コレ、MSに限らず普通のことのような気もしますが(笑))

この記事では重力下、つまり地上での運用を前提に考察していますが、アニメ機動戦士ガンダムでは宇宙空間での戦いも描かれており、そこでは母艦が維持整備の機能を担うようになっています。

本記事では作戦・戦闘の環境が異なるため、そっちの話は割愛します。

3.戦略輸送と戦術機動

(1)戦略機動
古来、戦略輸送は船舶や鉄道を使用してきました。
単純に、大量の物資を効率よくいっぺんに運べるからなんですが…。

MSが運用されるような時代になっても、恐らく大量の物資は船や鉄道で長距離を輸送するのは同じなのかなと思います。

航空機を使用することも考えられますが、自重数十トンなら中型輸送機でも何とかなりますが、一番自重が重いもので30トン弱となると、中型輸送機ではちょっと厳しくなります。
ペイロードの問題もありますが、運用面でも、MS機体単体と主兵装だけ運んでも継戦能力が持たないという問題も発生します。
MS1機輸送するのに、それ以上に必要な整備兵站機能の事前集積や推進が必要になるのは必須です。

米軍はギャラクシー輸送機のようにM1エイブラムスを空輸できるお化けみたいな輸送機を持ってますが、維持運用コストを考えると莫大になってしまいます。一般的に使用されている中型輸送機で運べるサイズと重さにすることもMSを設計する上で重要な要素になると思います。

緊急展開には航空機での運搬も十分必要になってきますが、ちょっと変わり種のヘンテコ兵器があるので参考までに紹介しておきます。

冷戦時代にソ連が黒海沿岸部への緊急展開用に開発した『カスピ海の悪魔』という『表面翼船』というカテゴリーの飛行艇のような航空機があるのですが、これは空を飛ぶのではなく、海面すれすれを浮かんで超高速で移動できる代物です。主力戦車も余裕で運べる恐ろしいペイロードを持ちながら、水上すれすれをジェットエンジンでブッ飛ばせるという世界に例を見ない、超高速&重量物の輸送手段です。
冷戦時代のソ連は、他にも、ズーブル(ポルモニク)級重ACV(エアクッション艇)等の強襲揚陸用の艦艇も開発・装備化していて、マニアックな兵器をたくさん作ってました。
維持・運用コストを度外視すれば、こういったオプションも考えられますが…。

基本的に、戦略輸送は、船舶、鉄道、重量物を輸送できる大型の輸送機あたりが現実的ですね。

何の捻りも中2的スパイスもなくて申し訳ありません(笑)

(2)戦術機動
ガンダムと言えば『ドダイ』と言う重爆撃機がMSを背中に乗せて飛んだり、Gパーツ(Gアーマー)と言う戦闘機がガンダムと合体して飛んだりと、MSが単体で空を飛ぶことはできなくても、それをサポートするメカが結構出てきていました。

同じノリではちょっと実現の可能度がにわかには湧いてきませんので、ちょっと真面目に考えてみます。

一番、しっくりくるのはC130ハーキュリーズで大人しく運ぶか、短距離なら大型ヘリで吊り下げて運ぶ(エヴァンゲリオンでもそういった描写がありましたが)くらいかなぁ…。何の捻りもなくてすみません(笑)

これを言ったら身も蓋もありませんが、MSを無理やり何かに乗せて空を飛ばすくらいなら、開き直ってバルキリーにした方が早いんじゃ…?w

話題が発散してすみません。

アニメでは一人のパイロットがMSを操縦しながらベースジャバーもあわせてコントロールしてるシーンがたくさん描かれてますが、あれって、ニュータイプがファンネルを制御するよりも実は難しいんじゃないか?と思うのは私だけでしょうか(笑)

もしMSをサポートする飛行メカがあったとしても、それは飛行機側にもオペレータかパイロットが必須になるような気はします。

いずれにせよ、敵との接触が予想される戦術機動では、MS単体の機動力を補うための機動支援装置があるに越したことはありません。

無理して空を飛ばさなくても、即戦闘態勢に移れるような、長距離機動と戦闘兼用のトランスポーター一体型の増加フレームとかがあると便利かも知れません。(おお、何だか中2的なイメージが膨らんできたw)

ちょっと前に、個人用のバイクみたいな4枚羽のドローンがテレビで報道されていましたが、MS用のエアロバイクみたいな追加オプションがあるといいかも…。

ということで、比較的長距離を飛ばないといけない時は中型輸送機で運んで空中から投下。
短距離はヘリで吊り下げて輸送。
近距離はMS用のバイク型四枚羽エアロバイク。

で決定します(笑)

4.まとめ

今回は軍事科学技術の観点と言うよりは、ちょっと運用面で考えたところが多かったような気もしますが、いきなり戦闘シーンに直結する要素を考える前に、「実際にコレを戦場で使うとしたらどんな苦労があるだろうか?」という側面を考えてみました。

つまるところ、既存技術でカバーできるところは、ほぼ問題にはならない。
人型であること、稼働部位が多い特性、戦車ほど重くないけど、そこそこの重量があること、機械的な部分と電子系の機構が複雑に組み合わさった兵器であること、などなど、考える要素がたくさんあるというのが、書いていてよくわかるような気がしました。

次からは、今までに書いてきた考察をベースに、架空のストーリーものの短編小説など遊びで書いてみたいと考えてます。

(というか、ぼちぼち書き始めてますw)

本来のnoteは読み手が求めるものを、読みやすく書くのがセオリーだと思いつつ、このシリーズは、自分が好きな事を好きなように思うまま書いています。誰か一人でも読んで頂ける方がいて、かけうどんのつたない頭の中のイメージを共有していただけたら嬉しいなと思います。



それでは、続きはまたの機会に(^^)

最後までSFファンタジー大好き中2脳おじさんのお遊び記事にお付き合い頂きまして、ありがとうございました。







(参考文献など)
文献と言うよりは、かけうどんが定期的に購読していたり、過去に紐解いて勉強した参考書などです。

〇 ジェーン年鑑(主に1990年代~2022年)
〇 JDW誌
〇 軍事研究(平成元年~)
〇 歴史群像(たまに気に入ったら買うか読む)
〇 防衛白書(創刊~令和3年度まで)
〇 月刊PANZER
〇 THE March(廃刊)
〇 書籍/数え上げるとキリが無いので書けません(笑)
軍事に関するもの全般(戦略、戦術、戦記(史実系)、戦史・歴史(世界史、日本史、全年代)、兵器、軍事科学技術)軽く、2~3千冊以上は読んでいると思います。
〇 フィクションものの戦記ものもスキですが、偏ってますので書籍・作者名などのご紹介は割愛します。

小生肩書などは公表していないのですみません。

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