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(曲がりなりにも)イノベーションを語る会社で新規事業を立ち上げるということ

ここ1年ほど発起人として、さらにリーダーの1人として進めてきた2つの事業を多くの記者さんの前でお披露目することができました。これら「Inspired.Lab」と「SAP.iO Foundry Tokyo」の立ち上げにあたっての想いやそこに至った経緯などをつらつらと書きます✎

もくじ
プレスリリース
各種メディアでの報道
走ることについて語るときに僕の語ること
応援のしかた、関わりかた

プレスリリース

そもそも何をお披露目したのか。いろいろ推敲しながら頑張ってつくりました。盛りだくさんな感じです。

各種メディアでの報道

三菱地所さん、パナソニックさん、WHILLさんやLiquidさんといった著名な皆さんとの共同事業であることもあり、とても広範に、そして概ね好意的に捉えていただいています。

走ることについて語るときに僕の語ること(本題)

シリコンバレーに正式に着任したのはおよそ1年前。家族を伴った初日、SFO空港からカーディーラーに直行し、おびただしい数のリース契約にサインを終えたらもう夜でした。慌ててロスアルトスの中華屋「Chef Chu's」に家族全員半泣きで駆け込んだのを覚えています。あの日はくたびれたな~😇

ちなみにChef Chu'sは思い出の味であるだけでなく、ふつうに名店です。シリコンバレーお越しの際はぜひ。映画「Crazy Rich Asians」の監督の実家でもあります←

本題に戻ります。

この1年間、こんな私やSAPという老舗企業の変革ストーリーに共感し、頼ってくださる日本企業の方々に、どうやったら事業でお応えできるかばっかりを考えてきました。これは実感があるのですが、日本企業のリーダーは決して変革を軽視していません。この30年間、平均してGDP年率1%成長が保証されてきた内需中心の持続的イノベーションモデルも、2040年までに25%減少するというIMFのGDP推移予測の前には太刀打ちできません。

それどころか、S&P 500企業の平均社歴は19年に減少しており、変革を起こし続けられるかどうかが最大かつ唯一の企業競争力の源泉だと、産業界を代表するリーダーの皆さんから学んできました。

ところが、SAPパロアルトの小部屋で起こる議論では大きな熱を帯びるのに、日本での実事業になかなかつながらない。もちろん私たち自身の努力不足の為すところではありますが、じきに上述の「変革への危機感」はもとより、「変革に対する(頭と体の)準備」のバランスに苦労されるリーダーの方が多いことに思いいたりました。そして、前者は私たちがどうこうできるものではないが、後者はSAP自身の経験や、私たちのシリコンバレーでの学びがお役に立てるのではないか。ここから、私の当地でのミッションは「日本企業が本質的な変革を量産するための再現性、これを担保する伴走型フレームワーク(エコシステム)を立ち上げること」と心に決めて走ってきました。

こうした想いをもとに2018年3月に立ち上げたのが今回の2つの事業をまたぐ大きな「傘」としてのコミュニティ、Business Innovators Networkです。変革に必要な「People(系列に依存する自前主義とは異なる、変革を志向する多様なステークホルダーとの出会い、共創)」「Place(本業のしがらみから離れた「出島」的な発想の環境)」「Process(同士が集い、一つのビジョンの元に進むための着想と行動様式)」の入り口を提供するセーフティーネット的コミュニティ。企業リーダー、スタートアップ、投資家、デザイン企業、の皆さんとの共創(≠競争)です。

昨日2/1の記者会見では、設立1年でパートナー企業が156社まで拡大したことを発表できました。

同時に、短期的な収益ではなく、中長期的な社会へのインパクトを志している点において、SAP自身の自己改革の取り組み、新規事業でもあります。「いくら儲かるの?」「本業とどういうシナジーがあるの?」という、まさにシリコンバレーで多くの日系駐在員の先輩方が直面する壁に私もぶつかり続けました。私も現業の経験が長いのでよく感覚はわかるのですが、本業側の事業にはたくさんの仲間がいる、でもSAP自身を変革するミッションを背負った人間は少ないと自分に言い聞かせ、奮い立たせてきた、という感じです。この点はまだまだですが、今年1年の大きな活動方針になりました。

さて、今回ようやくお披露目にこぎつけられたInspired.LabSAP.iO Foundry Tokyoはそれぞれ、こうした活動の大きなマイルストンの一つです。

Inspired.Labは、Business Innovators Networkのコミュニティの中でもさらに求心力が強く、本気で目的ある変革を志向するステークホルダーのための「イノベーション特区」です。世の中に食傷気味に広がるコワーキングスペースとしての機能ではなく、あくまで多様な入居者が集まる前提で、再現性ある変革プログラムを企画、運営していく実践の場です。私たち自身も入居者の数やスペースの収益性ではなく、まさにこの場から生まれるイノベーションの世の中へのインパクトが自己評価の尺度です。

SAP.iO Foundry Tokyoでは、エコシステムへのスタートアップの求心力を確保することを目指していきます。大企業がリスクテイクできるスピードを超えて不確実性が高まる現代において、スタートアップの先進性、スピードは必ず必要とされるということ。着任してすぐ構想はあったのですが、なんと1年もかかってしまいました📆でもそれだけ慎重な決断を経て、過去の5拠点とは性質の異なる、発展途上で難しい日本のスタートアップ環境にこれを展開する判断が通ったのは、まさにこの1年間の成果の表れかなと思います。ファッション的なスタートアップ支援とは少し異なり、日本の産業界で一定の役割を担うプログラムに高めていきたいと思います。

将来的には自走できるイノベーションコミュニティの構築と、私たちが意識的に打つ施策を超えたインパクトが回帰する場づくりを目指して。SAP自身の新しい日本市場へのコミットメントを、皆さんにも応援していただけると嬉しいです!

応援のしかた、関わりかた

1. 初級編

SNSやるひと ☞ Business Innovators Network、Inspired.LabのFacebookページをフォローして、とりあえず最新情報を受け取ってみる

2. 中級編

共感したひと ☞ Inspired.Labの見学に来てみる(いつでもDMどうぞ)

スタートアップ ☞「SAP.iO Foundry Tokyo」の個別説明会にきてみる

3. 上級編

スタートアップ ☞ 2019年6月から始まる「SAP.iO Foundry Tokyo」に応募してみる(先進的なテクノロジーをもったB2Bスタートアップ募集ちう)

スタートアップ支援者、大企業のイノベーター ☞ 「SAP.iO Foundry Tokyo」の社外メンターに応募してみる

(リンク工事中、まずはDMください)

冒険者 ☞ シリコンバレーに飛んで著者に会ってみる🛫 SAPシリコンバレーに遊びにきてみる(いつでもDMどうぞ)

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おことわり:本投稿はあくまで筆者の個人的見解に基づくものであり、筆者が所属する組織の一切の公式な見解を表すものではありません。

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