「費目別収納法」って知ってますか?
町田貞子さんの大発見「家計と住まい方は一つ」
故・町田貞子さん(1911-1999年)は、生活評論家、日本における家事や整理学のパイオニアともいわれていますが、『婦人之友』の読者であり、友の会(『婦人之友』愛読者の会)会員でした。
著書『続・暮らし上手の家事ノート』(1995年/三笠書房)に「家庭の運営は家計から成り立ち、家計で捻出されたものが、家の中にばらまかれています。収納コーナーを家計簿と同じ費目で分類すれば、家事運営をトータルに把握することができる、というのは大発見でした」と書き残しています。この町田式整理学は、整理収納アドバイザーの理論の元になっているそうです。
町田式・整理上手になるポイント
婦人之友社から1970年に発行された『家事整理のヒント(婦人之友ハンドブック)』の中で、自らの体験から導き出した整理上手になるポイントを以下のようにあげています。
① 目的をもって分類する
収納は家計簿(ここでは『羽仁もと子案家計簿』)の費目と同じ分類を。
② ものの限度を決める
必要なものだけ買うこと。空き箱など、放っておけば際限なくたまるものは、期間か、置き場所の広さで限度を決め、漠然ととっておかない。
③ 機能的な置き方をする
動きにそって物を置く。例えば私は、着替えはそこに立てばすぐできるように、一人分の衣類を、上着から下着靴下まで1カ所に置く。
④ 使用頻度の多いものほど大元と小出しにわける
いつ使うかによって置き方を考える。1年に1度使用するもの、月に1度、週1度、毎日使うものというようにわけてみて、毎日使うものは手前に、それから順に奥の方へというふうに起きます。引出しや棚に入れるときは、重ねていれると、下のものがとりにくく、それがくしゃくしゃになるもとになります。棚におくときは、本棚に本を並べる要領で横に並べ、引出しに入れるものは引出しの深さにあわせて適当にたたみ、たてに並べます。
⑤ 使用後は必ずもとの置き場へ
⑤は⑥の家族の協力とも関係します。使ったものは必ずもとの場所へ置くことを、家族全員が守ることで、主婦一人が忙しい思いをしないでもすみます。
⑥ 家族の協力
どれも、今の時代においても大切なポイントですが、この中で注目したいのは、「①目的をもって分類する」。まずこれをポイントにあげています。「家計簿」と「片づけ」がひもづく、家事運営の把握の最初の一歩に、この「目的をもって分類する」ということが大切であると伝わってきます。
今も受け継がれる町田さんの考え方
「スーパー主婦」として、各地で講習会を開催したり、月刊『婦人之友』『かぞくのじかん』(現在休刊)で家事アドバイザーとしておなじみの山﨑美津江さんも町田貞子さんと同様に「費目別収納法」をすすめています。山﨑さんの分類は、下記の9つです。
「分類に迷ったら、細かく決めすぎずに、目的別に大別しましょう。慣れてくると、家計簿との照らし合わせ、ストックの管理もできます」と山﨑さんは話します。
まとめ:モノとお金は深い関係にある
町田さんも山﨑さんも、家計簿の費目がモノの分類や収納のものさしになっています。
そもそも家の中にあるほとんどのモノは、お金を支払って購入した物ではないでしょうか。お金の管理は「家計簿」というのは一般的ではありますが、モノの管理は、家の広さや家庭の事情などがあるので意外とあいまいです。そこで、家計簿の費目ごとに分類、収納というのは、とても理に適った方法なのです。
もし、家計簿をつける習慣がなくこの方法が気になる方は、ぜひこの機会に家計簿をつけてみるのはいかがでしょうか。そして、家計簿はつけているけれど、整理整頓は苦手という方は、費目別に管理してみてはいかがでしょう。今ある生活が少しよい方向に向かうきっかけになるかもしれませんよ!
最後にひとつご紹介!
山崎美津江さんの好きな言葉のひとつに「Ordnung ist das halbe Leben」というドイツ語の言葉があります。意味は、「人生の半分は整理整頓」。Ordnung には「秩序=筋道を立てる」という意味もあり、「暮らしによい筋道をたてることで、人生がゆたかになる」と教えられている気がするのだそうです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?