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ラマダンに見る少女の夢は【絵本】

前回の記事でお話したムサハラティーという仕事。それに憧れたナジュマという女の子が主人公の、Drummer Girlという絵本があります(amazonでも買えるみたいです)。物語自体はフィクションだと思われますが、背景にはジェンダーバイアスにめげずに、女の子が自分の夢を実現できるようにというイスラム教徒の作者の思いが込められています。

こちらは参考にしたDrummer Girlのあらすじと書評のブログです。
ラマダン(前回の記事参照)を心待ちにする女の子ラジュマはカモミールのお茶や祈りの時間もさることながらムサハラティーが家の前にやってくるのを楽しみにしています。12歳になったとき彼女は胸の内のもやもやを父親に打ち明けます。それは友達にも取り合ってもらえなかった彼女の願いームサハラティーになりたいという気持ちでした。周りには頭がおかしくなったのかといわれ、自分でもその思いが正しいものなのかわからなくなっていたナジュマを父親は受け止めます。兄弟は馬鹿にする中、ナジュマは父親と連れ立ってムサハラティーをして近所を回るようになりました。初めは温かい反応とそうでないものが両方。そのうち、皆が彼女の在り方を受け入れるようになり、彼女が通るとバルコニーからお菓子やプレゼントをくれるように。父親が付き添えなくなってからは兄弟が、結婚後は夫や子供が、そして今では孫がナジュマばあさんに付き添ってムサハラティーを続けています――。

女性のムサハラティーが実際どの程度いるのか私は分かりませんが、そもそも家族の用事以外で外出することが少ない女性たちにとって、まだ夜も明けていない暗がりをひとりで歩いて回るというのはかなり困難なことだろうなとイスラム圏に滞在したときの経験からは感じます。絵本の作者はカナダーパキスタンの血を持つパキスタン在住のイスラム教徒の女性なのでナジュマの物語はパキスタンをイメージしているのだと思いますが、ラマダンに読んでほしい本としてイスラム教徒の人たちに向けておすすめされているので、ある程度世界のイスラム教徒の女性の間で「わかる」「共感する」ストーリーなのでしょうね。

パレスチナの友人たちも興味を持って読んでくれそうな内容だと思いました。

作者はフェイスブックでDrama Mamaというコミュニティを持っているそうです。子育てや子どもの教養、自己実現のために色々なイベントもされているみたい。この絵本は2016年に2作目として出版されたものです。



架け箸はこれからも継続的にパレスチナを訪れ、日本に出回らない生の情報を発信したいと思っています。いただいたサポートは渡航費用や現地経費に当てさせていただきます。