田中 駆 / Kakeru Tanaka
創業から1年、その想いのすべてを。
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創業から1年、その想いのすべてを。

田中 駆 / Kakeru Tanaka

2019年4月23日 13時。
平成の終わりに、大きな発表をしました。

2018年5月の 株式会社TOMOSHIBI 創業から約1年弱
2018年8月の tomoshibi β版リリースから半年と少し

想定していた以上に早く訪れた転機とチャンスに、たくさんの迷いと可能性の間で揺れながらも、どうしてこの選択をしたのか。

「挑戦する人の想いを灯し続ける」ことをミッションとして tomoshibi をつくっている僕だからこそ残せる記録として、これから挑戦する人に、ちょっとの勇気と1つの実体験を提供できればと思い、創業からの1年間の振り返りをここに残したいと思います。

最初におことわりをしておくと、読んでくださる方にとって、必ずしも有益な情報かどうかはわかりません。

生き方や働き方と同様に、起業やプロダクトづくりの方法は千差万別だと思っています。僕のした意思決定や行動が、他の誰かにとっても正しいものであるかどうかはわかりませんし、実際に多くの場合、そうではないのだと思います

しかし、これから何かに挑戦しようとしている誰かにとって「こんな方法や考え方でも、挑戦していいんだな」くらいに思ってもらえれば、とても嬉しいです。

だからこそ、起業もビジネスも素人の僕が、創業から一年、何を考えて、何を大切にして、tomoshibi というサービスを作ってきたのか。1つ1つ、具体的に残します。別に何者でもない僕の考えや行動だからこそ、これから頑張る誰かの為になると思っています。

そんなわけで、必ずしも価値を保証できる訳ではありませんが、かなり赤裸々な部分まで書いています。お蔵入りにしたいくらい恥ずかしい創業当初の資料なんかも公開しているので、僕の大好きな(薄めの)アメリカンコーヒー1杯分だけ、課金制にさせて下さい。

0. 考えながら走り始めた創業期

そもそもなぜtomoshibiをつくろうと思ったのか、その原体験や想いに関しては、β版をリリースした時のnoteに書いていますので、こちらをご参照下さい(もちろん無料公開です/文末にもリンクがあります)。

思えばtomoshibiというサービスを思いついてから、実際に開発?に入るまでに掛かった期間は、多分2週間くらいでした。

もともと昔から課題感を持っていたものだったので、サービスとしてのかたちが見えてきた瞬間には「ああもうこれ、やるしかないな」と、不思議でいて、そして自然な、使命感と確信を持っていました。

当時僕は東証一部上場企業の中で、経営企画室DX推進担当と、言ってしまえば(ある種の)会社員としてエリートコース真っ只中にいました。HRTechの最先端を学ぶ為にとアメリカに学びに行かせて頂いたことや、学会の偉い先生と並んで、自分まで偉そうに登壇していたこともあります。

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ただ複業で結構本格的にフリーのフォトグラファーをしていたこともあり、外部的な肩書きや後ろ盾のない一個人として、社会やビジネスと触れる機会が多く、そんな会社員としての自分をもちろん多少は誇らしく思いつつも、根本的なところではそこに拘りは持っていませんでした。

課題に気づいている自分がいて、解決の仮説を持っている自分がいて、社会的にも経済的にも、それをできる状況にある自分がいて、そして自分にしかない動機があって、もうやらない理由はなかった、というシンプルな意思決定です。

休憩中の喫煙所や退社後のカフェや深夜の自宅で、未だ見ぬ仲間集めのプラットフォーム(最初の名前は漢字で「燈」でした笑)について、多分1週間ほど、ワクワクEvernoteに想いやアイデアを書き綴っていました。

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そんな僕が、いざ独立・事業化しようと最初にしたことは、大きく分けて2つ。それは「想いの可視化」「パートナー探し」でした。

1. 想いの可視化:最初の資料作り

僕はプログラマーではありません。別にビジネスや事業企画のプロという訳でもないし、めちゃくちゃイケてるアイデアマンという訳でもないです。

でも「言葉遊び」「人前で喋ること」には、人よりもちょっとだけ自信がありました。

そんな僕が、最初にやるべきことって何だろうと考えてみて。
やってみたのは「想いの可視化:カンタンな資料づくり」でした。

機能もビジネスモデルも何にも決まっていないけど、まずは自分の想いを端的に伝えることができて、共感してくれるパートナーや仲間を見つけられるツールを作ろうと思ったのです。

機能的な部分やビジネスモデルの部分は後からきっと誰かが手を貸してくれる。自分にすべきことは声をあげることと、自分の考えていることを言語化して可視化することだけだ、と。(今思うとひどく他力本願で、でもまあ最初はそのくらいでいいのだとも思ってます。何たって、どんなに細微な設計をしても、やっていくうちに変わるのがスタートアップだから。)

そこで作ったのがこの資料です。
(今見ると本当に恥ずかしいくらいに「ぼくのかんがえるすごいサービス」感がすごいので、あんまり人に見せないで下さいね)

こんな感じの(本当にざっくりな)資料だけ、仕事終わりのカフェで2-3日くらいかな?かけて作りました。

よく「起業したい」や「プロダクトを考えている」という相談を受けることが多いのですが、大抵の人はその機能であったりマネタイズであったりを最初に考えて、そこから始めようとしているように感じます。

僕も起業1回目だし、知識も経験も多い訳じゃないのでどこから始めるのがいいのか正解(があるとしたら)はわかりません。

が、何かつくりたいものや始めたいことがあるのなら、その根本に、何かしら自分なりの想いだったり、狂おしいほどの愛着だったり、はち切れそうなほどの怒りだったり、そんなものがあるんじゃないかと思います。

そこの解像度を深めて言語化可視化する前に、機能だったりマネタイズだったりから考え始めるのは、個人的にはちょっと違和感を覚えます。

そんなものは後から考えればよくて、多分、起案者というか言い出しっぺが考えるべきなのは、なぜ自分がどこにいる誰の為にその人のどんな顔が見たくてどんなものをつくりたいのか。という非常に定性的で感情的なものではないでしょうか。

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僕はそんな風に考えて最初の資料に心を込めていたし、もちろん今でもそう信じています。(異論は認めます)

2. パートナー探し

そんなこんなで1人でもくもくと資料をつくり、自分なりに想いがしっかり言語化されたところで、一緒に立ち上げてくれるパートナー(プログラマー)を探し始めます。この時点で多分思いついてから1週間くらい。

いえ、偉そうに「探し」なんて書いてますが、実はちょっと嘘です。僕には幸運なことに、最初からパートナーはいました。というより、決まっていました。

すぐに共同創業者として立ち上げに参画してもらうことになり、今回の事業譲渡でも一緒にCAMPFIRE社についてきてもらうことになったぴょん氏

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彼は大学のゼミの同期で、当時から一緒にビジコンに出ていたりしながらも、それぞれ別の会社に新卒で就職していて。当時から「いつか一緒になんかつくろうぜ」なんて話していました。

その「いつか」が「今」で、「なんか」が「tomoshibi」だと、何故か確信していた僕は、神奈川県の辺境である平塚市の彼の自宅を訪ね、彼に技術的なアドバイスと「一緒にやろうぜ」という(半ば強引に)返事をもらう為にプレゼンをしました。

何とその時、彼も丁度似たようなものを考えていたようで(アイデアとプログラマーのマッチング掲示板的なもの)すぐに「やってみよう」ということになり、まずはそれぞれ複業しながら(後述します)、開発に取り掛かりました。

恐らくあらゆる挑戦者にとって最初であり最大の壁、それは「最初の(そして最良の)パートナーを見つけること」だと思います。

特に僕のように非プログラマーの場合、正直もう既に、IT業界で起業するのは、前提として不利です。

それは、
①自らのイメージをプロダクトに反映する際に他人のフィルターを通す
②故にどうしても反映や実装、テストのスピードもワンテンポ落ちる
という非常にシンプルな理由です。

しかし、そのデメリットが、メリットに転じるケースがあります。
それが「最良のパートナー」がいる時です。

その場合、①はプロダクトが自分の間違ったエゴの塊になることを防ぐ濾過装置になり、②は限りなくゼロに/もしくは適切な判断をする為の時間に変わります。

僕のように思想先行型でプロダクトをつくる場合、その思想を同期しつつも、違う立場で、違うバックグラウンドからプロダクトを見てくれるパートナーが確実に必要です。そんなパートナーを最初から見つけられたことは、僕にとって最大の幸運であったと言う他ありません。

もちろん「仲間集め」のプラットフォームをつくっている以上、僕らはこの「最初のパートナー」を探すことの最適化にも注力したい。全力を尽くします。でも一方、こんなことを僕が言うのもアレですが、こればかりはもしかしたら、リアルな関係性だったり、そのコミュニケーションに宿る体温のようなものだったり、まだ僕らがインターネットに宿らせることができていない因子があるような気もしています。果たしてそれを最適化することが正解に繋がるのか、それはまだ答えが見えていません。最適化されていない、リアルで体温のある関係性の中でこそ「パートナー」は見つかる可能性もあります。

(僕とぴょん氏はベースがもう9年来の親友で、一緒に夜通しモンハンやったし、数えきれない程カラオケで狂ったし、授業中いいクエストあればマルチプレイでモンストしてたし、カンボジアで炎天下の中エンストしたバスから降りて立ち往生したこともあります。これ、だから何だって話なのですが、その共有した時間の分、僕らには共通言語があり、互いが何に喜び、何に怒るかを知っています。)

少し脇道に逸れてしまったのですが、僕はやはり、仲間集めは「最初の1人」がキーだと思っています。この「最初の1人」を見つけ、魅了し、共感を生み、パートナーへと。そのためにどうすべきか創業期に考えることは、後に何千人、何万人を魅了するプロダクトやサービスをつくる上で、とても大切なことではないでしょうか。

目の前の1人を魅了できない、共感を生めないアイデアであれば、それは多分少しズレているか、解像度が低い状態なのだと思います。(その人が余程ターゲットから乖離している場合は別ですが)

そしてその後、β版リリースを経て、創業から約一年弱での、今回の事業譲渡まで。やってきたことを、引き続きまとめていきたいと思います。

3. 最初の資金調達:クラウドファンディング

そんなこんなで僕はアイデアに想いを乗せて伝える為のツールと、それを具体化してくれるパートナーを得ました。この時点でようやく、スタートラインに立てた状態でしょうか。そんな僕らが次に取り掛かったのは、クラウドファンディングでの資金調達でした。

クラウドファンディングがなんたるか、の説明は割愛します。多くの人にとって、きっともう説明は不要でしょうし、気になる人はCAMPFIREが素晴らしくまとめてくれている以下をご覧ください。

今はとても起業しやすい時代と言われていて、その大きな要因の1つは「資金調達の容易さ」にあると思っています。各種用意されている創業融資や、エンジェルやVCからの調達等、デッド・エクイティ合わせて様々な調達方法が用意されています。そんな中、なぜ僕らがクラウドファンディングでの資金調達を選択したかについて、少しだけ。(他の調達方法との比較やメリデメについては長くなるので割愛します。)

クラウドファンディングを利用した、スタートアップの資金調達のメリットは、大きく分けて以下の3つだと僕は考えていました。

① プレスリリースの役割を兼ねること
② テストマーケティングができること
③ 同時に協力者集めができること

まず①について。
これはシンプルに、まだ法人登記前だとプレスリリースは打てないんです。そのタイミングでも、クラウドファンディングであれば、プラットフォームそのものの拡散力はもちろん、周りの友人や知人を巻き込んだ、瞬間最大風速的なPRをすることができます。もちろんキュレーターさんと相談して、その効果を最大化するような設計だったり準備をする必要があります。(僕の場合はReadyforさんにお世話になり、とても手厚く素晴らしいサポートの元、目標金額を達成することができました。)

次に②について。
これもまたクラウドファンディングの標準的な機能でもありますが、本リリース前に、どれだけの人が自分のプロダクトに共感してくれて、場合によっては実際に購入、課金してくれるかというテストマーケティングをすることができます。自分のアイデアから生まれたプロダクトが、どれだけの人に求められるのかを確かめる、良い機会になります。

最後に③について。
正直これが一番大きいと思っています。これはクラウドファンディング開始の前から始めるべきことではありますが、様々なバックグラウンドを持った人に「共犯者」になってもらうことができます。例えばプロダクトについてシェアしてくれる際にも「田中さんという人がやっている〜」ではなく「私も投資/参画している〜」という風にシェアに乗せる言葉も想いも、格段に変わります。

そんな理由から、僕らはクラウドファンディングでの資金調達を始めました。

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結果として、目標金額を上回る支援を頂くことができました。その経験から、これからクラウドファンディングに挑戦する人たちに、ぜひやってみて欲しいこと。それは挑戦中、もしくはその前から「アンバサダー(協力者)集め」をしておくことです。

僕らはまず、FacebookやTwitterでアンバサダーを募り、50名近い人が、まだパワーポイントの資料以外に成果物のないtomoshibiに賛同して下さり、アンバサダーとなってくれました。

クラファン開始とほぼ同時のタイミングでそのアンバサダーの皆様にお集まり頂き、僕から直接、このプロジェクトにかける想いや今後のビジョンをお伝えさせて頂きました。

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今思えば、最初の1人から、次の50人までの仲間集めが成功したことが、僕らのスタートダッシュに大きく影響することとなりました。

この中から、以後本格的にtomoshibiに関わってくれることになるメンバーも数名、出てきてくれました。

4. 戦略的なアライアンスとイベント

クラウドファンディングで初期の開発資金を集めることに成功した僕らは、ここから様々なメディアでのリリース告知をはじめ、本格的な開発、リリース準備に入っていくことができるようになりました。

β版の開発に際しては、あまり特別なことはしていないと思います。(ただCTOのぴょん氏がβ版リリースまでたった1人で持っていったことは褒めてやってください。)

限りあるリソースの中で、かつ毎日のように新しいプロダクトがリリースされる時代に、どうやってtomoshibiの影響力を最大化していこうかと考えた僕がとった戦略は「虎の威を借る狐」作戦です。結果としてこれが功を奏して、たくさんのメディアに取り上げて頂いたり、そこからたくさんのイベントやアライアンスが実現することとなりました。

もう少し具体的にお話をすると、非常に泥臭く地上戦的な「アライアンス構築」です。インフルエンサーを味方につけてSNSでバズらせる、エクイティを広告発散する等、様々な方法がある中で、僕はリアルな関係構築コミュニティ化に走りました。

今の時代、広告やSNSで瞬間的なバズを得ることはそんなに難しいことではありません。実際に「〇〇砲」なんて言われるように、フォロワー数万人を超える方がリツイートしてくださった瞬間に、ツイートは爆伸びします。しかし、僕はこれを疑問視しています。いや、結果としては素晴らしいことだし、もちろん無いよりはあるに越したことは無いのですが、本質的ではないという意味で。

そこで、僕らは「自分たちがサービスを届けたいユーザーを、既に抱えているサービス/コミュニティ」に対して、まずはイベントの共催を切り口に、アライアンスを構築していきました。(共催イベントから入るというのは、個人的にはとてもオススメです。告知→集客→当日→アンケートでのフィードバック→登録案内→結果検証と、実際にもっと深い連携をした時の効果測定をスモールに、でもリアルに行うことができ、双方にリスクもほぼありません。)

例えば、こちら。
CAMPFIREco-ba shibuya との共催で行いました。

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tomoshibiは構想当初から、どこかのタイミングで「資金集め」や「コミュニティ構築」という機能をアライアンスで補完する必要がありました。それをまずは、イベントで一時的に試してみる、という試験的な取り組みです。これにより「スタートアップ」というキーワードでの集客を一時的に強化することに成功しました。

そしてこちらは、Syncable さんとの共催で行いました。

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そもそもtomoshibi立ち上げの背景として、僕自身が二社のNPO法人や社団法人の理事として活動していたこともあります。そういった想いある活動をしている人たちにこそ、仲間が集まるようにしたい、と。そこでNPOのファンドレイジングプラットフォームであるSyncableさんとイベント共催をすることにより、NPOでも使って頂けるサービスであることを発信しました。

そしてもう1つ、こちら。
こちらはツクルバ中村CCOに最初にご相談し、お力をお借りしました。

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このイベントはプレイベント+本番4回という計5回に渡って開催し、計300人程を動員する大規模カンファレンスとなりました。最近特にSNSでバズワードになっている「コミュニティ」という言葉を、テクノロジー(主にインターネット)を使ってどう生活に結びつけて再定義していくか、というテーマで、賛同社を集めて開催したイベントです。これにより、tomoshibi は「コミュニティ」というカテゴリでも認知されるようになりました。

以上のように、tomoshibi というプロダクトに込めた想いやその機能を補完するように、それぞれ明確な目的を持って、戦略的にイベントとアライアンスを繰り返し、認知とコミュニティを拡大してきました。

もうお気づきかもしれませんが、今まで出てきた全ての共催サービスや企業様は、本来であればまだβ版でトラフィックも多くなく、マネタイズもしていない tomoshibi のようなサービスとは、別次元にいる存在です。

そういったサービス群と、ロゴが並び、まるで並列かのような存在感を持って、シェアされることによる効果。これもまた本質ではありませんが、信頼感や影響力の向上、そして後続してくる類似サービスや競合候補のブロックという意味で、非常に大きな効果を発揮します。

このように、イベント1つ1つに、明確な目的と最適なパートナーを見つけながら、地道に試行錯誤とコミュニティ作りを繰り返してきました。

5. 複業での挑戦とフルコミットへの切り替え

β版開発に並行して、上述のようなイベント等も開催していた中、実は僕らは全員複業型でのスタートアップとして挑戦していました。代表である僕自身も、正社員+tomoshibi から始め、フリーランス+tomoshibi のように変化し、最終的に tomoshibi フルコミになりました。

僕らが全員複業型でのスタートアップを選んだ理由やその想いは、以下にまとめてあります。(もちろん無料公開です/本文末にもリンクがあります)

ただ1つ伝えたいことは「起業家だって、自分と自分の大切なものを最優先に守っていい」ということです。

「起業したのだから、自己責任で腹を括れ」だったり「事業と会社を第一に考えるべき」だったり「本当に本気でやってるの?」だったり。たくさんの人からたくさんのことを言われます。その指摘は、もちろんある意味、正しいのだとも思います。

でも、挑戦するのは自分であり、一番影響を受けるのは家族やパートナーです。誰になんと言われようと、僕は僕と家族やパートナーを守ることを最優先に考えます。それで離れていく人とは、多分一緒に仕事をできません。それで構わないと思っていますし、起業家も自分なりの自衛の策を、そして挑戦の方法を持っていいと思っています。

僕の場合は、現実的に、事業としてしっかりと自分や家族を守れるようになる(可能性が明確に見える)タイミングまでは、複業で挑戦を続けるつもりでした。

これから挑戦しようとしていることがある人は、よく考えてみて欲しいと思います。挑戦と無謀は違います。決して美しいものばかりの世界ではありません。守るべきものは人によって違うし、守る方法は人によって無限にあります。よく考えた上で、自分にあった挑戦の方法を見つけて欲しいと思っています。

6. β版での検証から正式版開発へ

クラウドファンディング、イベント等を進めながら、β版でのサービス提供を続けた僕らは、年末あたりから正式版の開発へと舵を切って行きました。

β版を提供する最大の価値は、リアルなテストマーケティングにこそあると思っています。僕らはβ版を利用頂いたユーザーさんやプロジェクトオーナーさんに、たくさんのヒアリングをさせて頂き、そこからたくさんのインサイトを頂きました。

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上記はそのユーザーヒアリングを簡易的にまとめたものです。実際にプロダクトを使ってもらい、その生の意見をもらうことにより、正式版ではどのような機能を実装し、どの部分を修正すべきか、リアルな意見ベースで検討を進めていきました。

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結果として正式版では従来の「ヒト版クラウドファンディング」に「HR系サービス」の要素を抽出することになりました。(このあたり、今後の詳しくはまた別のnoteでまとめようと思います。ちょっと本旨から外れてしまうので。)

恐らくほとんどの起業家が当たり前に心掛けていることだと思いますが、プロダクトを作って終わり、というのは一番よくないことです。勿体無い上に、何よりファーストユーザーに迷惑をかける場合もあります。

ヒアリングの際に、可能な限りネガティブな意見を真摯に吸い上げることと、ユーザーがどんな既存サービスと頭の中で比較しているかを聞くと良いと思います。僕の中では、この2つの質問が最もクリティカルに課題にたどり着ける問いでした。(もちろんサービスによって違うとは思いますが)

自分たちの作ったプロダクトは、多くの場合我が子のように可愛くて可愛くて仕方のないものだと思います。見た目のUIをキレイにしたり、SNSや広告でどんどん世間に広めたくなります。しかし、それだけでは瞬間で消えます。多くの場合、もっとキレイでもっとイケてる感じのプロダクトを、もっとお金のある人たちが生み出してきますから。

そういった状況下で、よりプロダクトを育てるためには、多分リアルなところでの、泥臭いヒアリングやインサイトを得る方法を見つけないといけません。関係性のあるユーザーさんであれば、シンプルに「使ってみてどうだったか、コーヒーご馳走するので聞かせてください」でもいいと思います。カッコつけずに、ユーザーを頼りましょう。

7. 調達か事業譲渡か

正式版開発を始め、明確な事業展開も見えてきた2019年2月頃。今まで100%自己資本で、かつ複業型で挑戦してきた僕らは、1つ大きな決断をします。それはエクイティでの資金調達を試みることです。

β版での検証を踏まえ、正式版の提供を開始するタイミングで、思い切りアクセルを踏み込む為に、僕とCTOのぴょん氏はフルコミットに移行し、より運営体制を強化して行こうと決断しました。

何人かの投資家さんやVCが出資をご検討下さり、調達も大詰めに来ていた3月の半ば。出資相談で訪れた家入さんとの面談の中で「一緒にやらないか」というお言葉を頂きました。

インターネット界の仙人のような憧れの人、画面の向こう側にしか存在しない人のような家入さんの口からそんな言葉を聞けたことに、素直に舞い上がったことをここに白状します。

しかし当然、いろんな迷いや可能性が頭の中を交錯しました。起業家としての自分のエゴを考えると、華々しい「〇〇億での売却」や「創業○年でのIPO」なんてものに、興味がなかった訳ではありません。人並みかそれ以上に、欲だってありますから。

でも、ちょうどその時、チームのメンバーと正式版開発に当たって、tomoshibiとして大切にしたいことについて、リアルタイムに議論をしていたタイミングでもありました。

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僕らが最も大切にすべきことは「挑戦する人の想いを灯し続けること」であり、それ以外の全ては可変で流動的なもので、もっと言うと手段でしかない。そんな答えが、僕の中でもハッキリしていて、チームでも共有できていました。

そのただ一点を最優先に、僕らはどうすべきなのか。どの選択がtomoshibi にとっての使命を全うできる選択なのか。それを考える中で、答えは決まっていった気がします。

「仲間集め」を通して挑戦する人の想いを灯し続けることをミッションとして生まれたtomoshibiに「資金集め」の力が加われば、それは間違いなく、唯一無二の「挑戦のインフラ」になる。

そんな可能性がハッキリと見えていたからこそ、今回僕らは、創業一年という早すぎるとも言えるこのタイミングで、CAMPFIREへの事業譲渡を決めました。

この調達期間を経て思ったこと。
起業してから事業を創り上げていく過程は、いつだって経済合理性に目を背けることはできません。もっと言うと、人生で最も「カネ」に向き合う時間となります。

それはとても大切なことです。でもきっとその中で、たくさんの人が色んなバランスを崩し、諦め、挫折し、また狂っていくのだろうと思います。僕は何度も何度も、そんなお金と想いの間で悩みました。こうすればもっと稼げる、こうすればもっと投資家ウケがいい、こうすればもっとキレイな事業計画になる、なんて。

でもそんな時に立ち還れる、自分の最初の想いがあったこと。そしてそこに立ち還らせてくれた仲間がいること。その尊さを、忘れてはいけないと思っています。

8. さいごに

ここまでで、一万字を超えました。卒論並です。
貴重な時間を使って、そして貴重なコーヒー一杯分のお金を使って、ここまで読んでくださった皆様に感謝です。ありがとうございます。

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僕の大切にしている言葉の1つに「道徳を忘れた経済は害悪であり、経済を忘れた道徳は只の寝言である」と言う、二宮尊徳さんの言葉があります。

僕はこれを「想いのない事業ははたまた社会悪となり、事業にならない想いは絵空事である」と解釈しています。

起業家としてまだまだ未熟で、たった一年の経験しかない僕ですが、これだけは忘れずに、これからも tomoshibi を想いのある事業へと、育てて行きたいと思っています。

CAMPFIREの力と灯を借りて、より大きな tomoshibi へと育てて行けるように。1人でも多くの人が、新しい挑戦を始められる「挑戦のインフラ」をつくっていけるように。

これからもぜひ、応援して頂けますと幸いです。

9. 参考リンク集


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田中 駆 / Kakeru Tanaka
CAMPFIREグループ DANベンチャーキャピタル 取締役|株式投資型クラウドファンディング「CAMPFIRE Angels」事業戦略・プロダクト・マーケティング統括|TOMOSHIBI創業・CAMPFIREへ事業譲渡