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人気大手Slerで1年間働いてみた

こんにちは。今回はちょっと腰入れて書きます。
2019年に大手Slerに新卒入社し、現在2年目に突入している私が「1年間働いて感じたこと」を赤裸々に語ります。こちらの記事は自分の感想はもちろん、仲の良い同期と話しいてる中で共感したことを書くのでなかなかにリアルな情報をお届けできると考えております。Sler業界に興味があるけど、実際どんな仕事するの?ってところが知りたい方にはお役に立てるかと思います。

記事の構成としては以下です。①〜③は一般的な知識になるので知っている人は飛ばしてください。
①Slerって何?
②Sler業界のざっくりとした構造
③ITサービスを作るための仕事の流れ
④私が1年間で経験した業務内容
⑤1年間大手Slerで働いてみた感想


それではいきましょう。
①Slerって何?
まず軽くSlerって何?からご説明します。IT業界は基本的に、「顧客が作りたいと言っているサービスを代わりに作る仕事=請負」と「自分の会社が作りたいサービスを作る仕事=自社開発」の2種類に分けられます。そしてSlerは前者です。なので、「こんなITサービスが作りたい!けど自分の会社では作れないから、あなたの会社にお願いします。」と言われて、「任せてください。私たちならITサービス作れます!」と言って仕事を取ってくるのがSlerです。
次にSler業界のざっくりとした構造をご説明します。

②Sler業界の構造
よく言われるのは、建築業界と同じとか、ピラミッド構造とかですかね。
ピラミッドのトップに一次請けのSlerが入ります。自分が勤めている企業は、一次請けに該当します。その下の階層に、二次請け、三次請けと続きます。
仕事の流れとしては、「こんなITサービスを作りたい!」と言っている企業・政府から、一次請けのSlerが「自分やります!」と言って仕事を受けます。そして一次請けのSlerは「こんな業務量、自分たちだけではできない!誰か手伝ってくれ」と言って、二次請けに仕事を依頼します。二次から三次への仕事の流れも同じ感じです。

③ITサービスを作るための仕事の流れ
大きく分けて「ウォーターフォール」と「アジャイル」に開発手法が分かれます。
そして自分が経験したことのあるのは前者のみですので、「ウォーターフォール」の流れをご説明します。
※アジャイルについて知りたい人はググってください。自分のアジャイルのイメージは「とにかくやる!」です笑

ウォーターフォール型の開発手法は、仕事の流れを最初に定義し、それ以降はその流れに逆らわず、まるで滝が上から下に流れるかの様に仕事を進めます。
流れは以下です。各工程の細かなご説明は割愛しますが、イメージだけでも掴めるようにざっくりとだけ注釈をつけます。
「要件定義・要件検討※1」→「設計※2」→「製造(コーディング)※3」→「試験※4」(→「リリース※5」→「運用※6」)
※1.顧客の「こんなサービスを作りたい」という要望を深堀、どんなサービスを作るかの定義を行います。
※2.要件定義・要件検討で固まった要望を元に、システムを作る(コーディング)ための設計図を書きます。
※3.設計工程の成果物である設計書に沿って、コーディングを行います。
※4.顧客が作りたいと言っていたサービスがバグなく作れているかを確認します。
※5.上記で作成したサービスを世の中に出します。
※6.どんなシステムも障害は起こるので、その対処を行います。

④私が1年間で経験した業務内容
私は1年間「要件定義・要件検討」の仕事をしてきました。大手Slerと呼ばれる企業に入社した場合、ほとんどのケースで「要件定義・要件検討」に携わっていくことになります。というのも、②でご説明した通り、顧客から仕事を取ってくるのは一次請けの企業だからです。仕事を請ける際に「要件定義・要件検討」を始め、様々な調整ごとが発生します。それらをまとめて上流工程などと言いますが、一次請け企業は、その上流工程の仕事で手一杯となります。なので③でご説明した「設計」以降のフェーズは、②でご説明した通り、二次請け、三次請けに依頼する形を取ります。
※全くの例外がないとは断言しませんが、ほとんどこのパターンと言っても差し支えないと思います。
ひと口に「要件定義・要件検討」をしてきたと言っても、あまりイメージがわかないと思いますので、もう少し詳細に書きます。

・要件検討書の作成
顧客のこんなサービスを作ってくれという要望に対して、システム的にここまでなら実現可能と判断した上で、「こんなサービスになります」をまとめて提案する資料の作成

・設計・製造Rvにレビュワーとして参加
上記で自分が顧客と握った要件を元に、二次請けの会社(以下BP(ビジネスパートナー))に設計・製造をしてもらい、それが要件通りになっているかを確認

・顧客からのQAに回答
システムに関する仕様(これってどういうルール?みたいな)質問に答えていく。その際に、システム・IT技術に関して詳しいBPさんに自分も質問し、そのBPさんからの回答を元に、顧客への回答を行う。
※大手Slerという企業では、入社の際にITに関する素養は全く求められないと思ってくれていいです。なぜなら、ご説明した通り、BPさんがいるのでITに関する詳しいことはBPさんに聞けば解決してしまうためです。

・システム移行計画を作成
新規サービスをリリースする際に、既存システムへうまいこと変更を加えるのが移行作業と言った感じですが、その計画の作成

他にも細かいことはやってきましたが、メインはこんなところでしょうか。
あと、本当に簡単な設計・製造タスクをやりましたかね。数行直せば良いような笑
うちの会社では年次が経てば立つほど、設計・製造タスクを自分でやることはないので、一年目の特権として後学のためにやらせてもらいました。

⑤1年間大手Slerで働いてみた感想
やっと本題です。前提をご説明するために長くなってしまいました。では大手Slerで働いてみた感想を記載します。
※あくまで大手Slerの中の私が配属された一部署での経験に対して、一個人が感じたことです。

一年働いてみた感想としては、大きく分けて3つあります。
一つ目、「いちいち顧客に確認を取らなくてはならないので、めんどくさい」です。Slerの仕事は、顧客となる外部企業からの請負なので、「こっちの方が良いと思ったんで、言うの忘れてたんですけどこうしときました!(ドヤッ)」というのは、仮にとてもいい内容であっても、Slerとして失格の仕事になります。何か些細な変更でも生じる時は、必ず顧客に確認を取ります。例えるなら、「めっちゃ今日歯磨きしてきたんだよね、と言っている相手の歯に海苔がついている時、これは取ったほうがいいですか?それともめっちゃきれいにしたと言っていたから、それが付いていることがあなたのきれいと考えて、取らない方がいいですか?」みたいな笑
すごく大げさに言っていますが、自分的にはこんなイメージが正しいかと思います。そんなの相手からしたら勝手に取ってくれ(実際いきなり歯についてる海苔取られたらびっくりしますが)と思うようなことも、仕事柄一応聞くということはあります。
逆に、顧客にいい提案をして自分がした提案通りになる、とか自分がした提案で顧客の中で良い議論が生まれるとかした時には、楽しさを感じることができます。自分的には、めんどくさがりな性格もありますが、圧倒的に面倒だなと思う回数の方が多いです。

二つ目、「高度なITスキルは身につかないので、現在の仕事が将来役立つスキルとなっているのか実感がない」です。これはSlerの中でも悩みとしても結構聞きます。というのも、やっている仕事内容としては「顧客と会話し、今後やること決める」ことなので、実際にITスキルを使ってゴリゴリな開発をするのはBPさんです。もちろん、大手Slerの中でもITスキルがとても高い人はいますが少数です。大手Slerで働く際に求められるのは「仕事を管理し、推進するスキル」と「BPさんが言っていることの正当性を判断できるレベルのITスキル」だと私は思います。「仕事を管理し、推進するスキル」というのは、「この仕事を誰にお願いする。期限はいつまでにする。ボトルネックはここだから気を付ける。期限が迫ってきているから、あの人を急かす。とか色々」です。「BPさんが言っていることの正当性を判断できるレベルのITスキル」とは、簡単にいうと「基本的なIT知識」です。というのも、最終判断を下すのはBPさんに仕事を依頼した我々なので、BPさんの仕事が正しいのかを見極めないといけません。それができないと、仮にBPさんが「あの「1+1の答えは何になるか」という調査依頼もらっていた件ですけど、確認の結果「1+1は0」となります!」と言ってきた場合、「ありがとう!そうなのか、「1+1って0」なんだ。初めて知ったよ。OK、じゃあこれで顧客に報告しとく」と言って、後で大変なことになります。そして責任をとるのは、もちろん一次請けの大手Slerです。なので、BPさんの仕事の正しさを判断できるレベルのITスキルは必須、あとは論理の正しさを指摘できる論理的思考力も大事です。

三つ目、「大勢で仕事をするので、自分がした仕事の成果を感じづらい」です。これは特に感じますね。一年目で他の人の力を頼らないと仕事を前に進められなかったことも大きな要因としてはあると思いますが、前述したように基本的にBPさんに作業を依頼しなくては仕事が進まないので、どこまでが自分の成果なのかよく分かりません。
例えば、「顧客に新しい定食を作って欲しいと言われます。私は中でも小針を担当します。その小鉢の内容は、顧客と相談し決めます。いざ小鉢の内容を、お浸しにすることに決めました。そのお浸しは、料理の知識がない自分では作れないので、料理の専門家に作ってもらいます。ちゃんと作れてる?きんぴらじゃないからね?お浸しだよ?とか言います。お浸しができました。お浸しを定食の一部として、商品化します。顧客は「この定食はうまい」と漠然と言います。さてあなたの成果はなんですか?達成感を感じることができますか?」
どうですかね。「定食全体を総括して出来栄えを管理する」人だったら、成果を感じることができるでしょうね。例に出てきたお浸しを担当した人は、新人なので小さなところしか担当できないのです。スキルも経験もないからこれは仕方がないことです。若手特有の悩みだと思います。2年目の私の感想という括りなので、書きました。

以上が、大手Slerで1年間働いてみた感想です。
どうでしたか?読んでいただければお分かりになるかと思いますが、現状あまり仕事を楽しめていません!笑
今、必死に楽しさを探しています。必死に楽しさを探した結果、自分には向いていなかったとして、転職をすればいいだけです。
これは一個人の感想として受け止めていただけると幸いです。
長くなりましたが、ここまで読んでくださりありがとうございます。少しでもお役に立てたら嬉しいです!

PS.ちょっとくだらないかもしれませんが、福利厚生が良いので一年目から都内の良いところに住める。私は調子に乗って、茗荷谷の15建てマンションの15階で生活をしています。
あと、人気企業なので少しだけ自慢できます。


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