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生理の貧困 〜過去と現在〜

「生理の貧困」とは
つまり、生活に困窮して、生理用品を買うお金がない状況のことを指す。
コロナ禍がもたらした様々な貧困
不安定な非正規雇用の働き手が多い女性を苦境に追い込み、ついには「生理の貧困」をもたらした。

オンライン署名サイトでは「生理用品を軽減税率対象にしてください!」と訴えるキャンペーンが展開され、これまでに約5万人が賛同の署名を寄せたという。

調査では金銭的な理由で生理用品の入手に苦労したことがあると答えた女性は2割に上り、交換する頻度を減らしたり、生理用品でないものを使ったという人もいた。

「生理の貧困」という言葉にも驚いたが、
物があふれる現代において、最低限必要なものすらも買えない状況はショックであった。

以前読んだ『戦争は女の顔をしていない』の中に描写された1場面が思い出された。

この物語は第二次世界大戦に従軍したソ連の女性兵士たちの証言を記したものである。
著者はノーベル文学賞を受賞したジャーナリスト、
スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ氏

ソ連では第二次世界大戦で百万人を超える女性が従軍し、看護婦や軍医としてのみならず、兵士として武器を持ち、戦車に乗り、戦った。

その中の証言のひとつを以下に記す

わたしたちは男たちより、もっと頑張った
男に劣らないことを証明しなければならなかった
男たるにはどうしたらいいのか?
男ではいられません、考えはそうでも女の身体が…
これは生物としての女ですから
暑い夏
私たち女性は二百人ぐらい、
その後ろを男たちが二百人ぐらい、
毎日三十キロ進む
私たちが通った後には
赤いしみが砂に残った
女性のあれです
隠しようもありません
私たちが穿いているズボンは乾ききって
ガラスのようになる
皮膚が擦れて、切れて、傷になる
いつも血の匂いがしていました
何もくれなかったんですから
脱脂綿や包帯は負傷者のためのもの
わたしたちの分なんてとんでもない
下着の袖をもぎ取って使ったわ
男たちが茂みに干したシャツを盗んだわ
柔らかい草を探して脚を…わかるでしょ?
拭き取るんです
それで脚が緑色になった
渡河点に着いたとき爆撃が始まった
男たちは必死で物陰に隠れようとした
でもわたしたちは爆撃の音なんかかまわず、
河を目指して走った
水に入って
すっかり洗い落とすまで水につかっていた
破片が飛び散る下で数人の女たちはそのまま水の中で死んでしまった
恥ずかしいって気持ちは
死ぬことより強かった
もしかするとその時初めて
男でありたいって思った

戦時下での想像を絶する過酷な状況
耐え難い苦痛
なんて精神力なんだろうか

しばし呆然とした

時は現代、
多種多様な生理用品があふれている
決して贅沢品ではない
かかっても月千円以内だろう
それすらも買えない現実

明日食べるものですら確保できないとなれば
切り詰めるしかない

しかし、そうまでして切り詰めなくてはならない状況をまずは恥ずべきではないか、

軽減税率対象にする、無料配布する、
根本的解決にはならないだろう

切実な声に向き合えているのだろうか

今は戦争中ではない

ものは有り余っている

格差を生んだ原因、
それを解消しない限りは
何も変わらない

想像してみてほしい
戦時下の状況を
お金やモノは最終的な解決策とは言えない

できることは、まず「知る」こと
無知は罪である
無知は恥である
知らぬは一生の恥である

「知る」ことは
「知らなかったこと」を「知ること」でもある

過去を振り返らずして 
今を生きることはできない

なぜ歴史を学ぶのか

それは生きるために必要であるから
ただ生きるため ではなく
よりよく生きるために…

『戦争は女の顔をしていない』
はマンガにもなっている。
マンガも原作もどちらもおすすめである。
まずはマンガから入るのも「知る」手段として有効だと思う。





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