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クリスマス カウントダウン #22 トムテ

北欧の人びとに親しまれてきたトムテ
詩人リードベリによる詩と
ウィーベリの穏やかでやさしい絵がなごませてくれる絵本が「トムテ」である。



しんしんと ひえる まふゆのよぞらに、
ほしが つめたく またたいている。
もりに かこまれた のうじょうでは、
すべてが ねむりに ついている。
つきは しずかに そらを あゆみ
やねや きぎに つもった ゆきを、
さえざえと てらしている。


めを さましているのは、
こびとの トムテただひとり。


トムテは北欧スウェーデンの農家や仕事場などに住んでいる小人である。
小さくて、目立たないうえに、人がくるとすばやくかくれてしまうので、その姿をはっきり見る機会はない。
何百年も生き続けて、その家の人びとが幸せになるように守っている。
つまり、家の守り神のような存在である。


そういえば、娘が幼稚園の頃、「こびとづかん」が流行った。
シュールなキャラクターに魅せられ、また、本当にいるんじゃないかと思わせるキャラクター設定がツボにはまり、「こびとづかん」なる本を片手に公園へ行き、こびとの痕跡探しをしたり、これはこびとの仕業だ!と娘と一緒に盛り上がったことが懐かしい。
「こびとづかん展」にも足を運び、こびとの世界を堪能した。


実際にはいない、のだが、
いると思った方が楽しい
いたら…と想像するのが楽しいのである


神様や妖精やサンタクロースも然り
(幽霊やおばけも…?)
信じるか信じないかはあなた次第です!
(都市伝説の決め台詞か!?)


ならば、信じよう


想像するのも
創造するのも
人間だからこその楽しみではないか


本の中でトムテはつぶやいている


月を見上げてふと、
「わしには まだ、どうも よく わからん」


夜回りをしながらふと、
「いや、なんとも むずかしい もんだいじゃ。
わしの てに おえそうもない。」


トムテはこどもたちを見守ってきた
こどもたちのおとうさんがこどもだったときも
おじいさんがこどもだったときも
ひいおじいさんがこどもだったときも


ひとは、どこから くるのだろう
こどもがおやになり、またそのこどもがおやになる
だが、どこへ いくのだろう


はるか かなたの たきのひびきが
かすかに たえまなく きこえてくる
「どこへ ながれて いくのだろう。
 みなもとは どこだろう」


人はどこからきて、どこへ行くのか
みなもと、源流はどこか
この世界、宇宙は謎につつまれている


神秘的、哲学的メッセージがこめられたことばは味わい深い。


にぎやかな喧騒をはなれ、
ひとり静かに過ごす夜に読みたい絵本である


今宵、
我が家のトムテは何を想っているのだろうか

静かな夜 トムテは見回り中だろうか

ひげマスク…トムテにマスクは不要である

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