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陰と陽と

カメラを洗う
ぬるま湯の中で
泡立てたスポンジでやさしく洗う
ボタンを外して
ブラシを使って
中までゴシゴシ洗う
シャワーで流して
洗浄機の中へ入れて機械浴
消毒済んだら
いっちょう上がり!


「あと何分で上がる?」
「あと2分!」
「じゃあ、次の人、もう呼び入れていいね。」
「いいよー」


カメラを洗う?
洗えるの??
機械浴?消毒?


カメラとは写真をとるカメラであるが、
体の中、胃の中、腸の中を撮るカメラ
つまり内視鏡である。
スコープとも言うが、カメラの方がイメージしやすい。
そしてこのカメラのお値段は…
聞かないほうがよい。
壊したら…
首がとぶことはないにしても 
自分の首をしめることにはなるだろうな…
修理費以上の売り上げに貢献しなければならない。
つまり、カメラの件数を増やすということだ。
今だって怒涛の忙しさでフル回転で業務をまわしているのに、これ以上になったら…


とにかく壊さないようやさしく丁寧に扱うこと。


カメラ洗浄場は戦場である。


戦場を抜け、外へ出ると自然と空に目が向く。


暗黒の世界から光さす世界へ


実際、体の中は真っ暗闇なのである


光源装置によって明るく照らされ、鮮明な画像が映し出されるのだ。


なんだ、結局みんな腹黒いじゃないか、
などとくだらないことを考える。


自分の胃や腸の中を見て、
「いい霜降り具合でした」と言う人
「ホルモンみたいだった」と言う人
「キレイですね」と言う人
色々である。


今日も暗闇のなかで臓器たちは動いている
ひっそりと
しずかに
目には見えないが
リズムを刻んでいる

何だか神秘的である

でもやっぱり
空を眺めている方が好きだなぁ(笑) 

夏のような冬の空

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