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日本初のヴィーガンコンビニ&ファミレス VEGAN STORE主宰・鈴木翔子さんインタビュー(その1)

 2019年12月3日に日本初のヴィーガンコンビニ&ファミレスとして東京・浅草にオープンしたVEGAN STORE。オープンに先立って開かれたレセプションの様子はこちらでリポートしましたが、それから約1ヶ月半が経過した2020年1月27日、VEGAN STOREを運営するglobal meets合同会社代表の鈴木翔子さんに開店の経緯や今後の展開について取材しました。

見えてきた多様なニーズ

「12月1日のオープニング・レセプションの日、店の前にできた長い行列を見て、『こんなに大勢の方が期待してくださっているんだ』と思わず震えました」と話す鈴木さん。「物件の引き渡しからオープンまで10日ほどしかなく、オープン直後は仕入れが間に合わない商品もありましたが、今はだいぶ品揃えも豊富になってきました」

 鈴木さんは、VEGAN STOREの営業日は朝6時から夜11時まで毎日店頭に立ち、可能な限りお客様にも声をかけるようにしているそうです。その中で、「毎日、お客様の動きがどんどん変わるので、次に何が起こるのか、まったく予測がつきませんが、開業前には予想していなかったことも色々見えてきました」と言います。

「浅草という立地から外国人観光客のお客様が多いのではと予想していたのですが、午前中から午後早い時間にかけては逆に日本人のお客様の割合が多かったりします。浅草には大きなお寺もたくさんあるからか、精進料理を召し上がっているお寺のご住職がご家族でお見えになり、小さなお子さんが『このお店のものはどれを買っても大丈夫なんだね』と嬉しそうにしていたこともありました」 

おかげさまで、ヴィーガンの方だけではなくヴィーガンではないお客様もたくさん来てくださっています。ヴィーガンの方とヴィーガンでない方とでは関心を持つ商品の傾向がまったく違いますね。ヴィーガンでない方は、特にソーセージなどのもどき料理に興味を持つようです。また、チョコレートやハッシュドポテト、焼き芋や干し芋を見て、『これもヴィーガンなのか』と、ヴィーガンがけっして特別なものではないことを理解される方もいらっしゃいます」

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「一方、ヴィーガンの方に人気なのは、調理が簡単ですぐ食べられるレトルトのカレーやラーメンなどの加工品、小腹が空いたときにつまめるお菓子などで、どちらかというとジャンクなものが多いです。当初は、こだわりのあるヴィーガンの方が多く来店されるのではないかと、2階のレストランでナチュラル・ハイジーン(19世紀に米国の医師たちが提唱した菜食を提唱する健康理論)のメニューを多く提供しようと考えていたのですが、実際は、たとえばヴィーガンの豚キムチ丼など、もっとジャンクなメニューのニーズがあることがわかってきました」

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ヴィーガンと一口に言っても、こだわるポイントは様々です。台湾などに多いオリエンタル・ベジタリアンやオリエンタル・ヴィーガンの方は五葷(ねぎ、玉ねぎ、にんにく、ニラ、らっきょうなど)が入っていないかどうかということを気にされますし、欧米人のお客様ではヴィーガンでなおかつグルテンフリーでないと駄目、という方も大勢いらっしゃいます。また、ムスリムの方たちはイスラム教の戒律に則った方法で処理された肉でないと食べてはいけないので、ベジタリアンやヴィーガンも選択肢のひとつになります。その場合は、単に動物性材料を使っていないというだけではなく、調味料も含めてアルコール抜きでないといけません」

こうした多様なニーズに応えるため、レストランでは『どんな菜食主義の方にも全てのメニューからどれでも選べる様に色々な垣根を取払う』という方針の下、すべてのメニューを五葷抜き、グルテンフリー、アルコールフリー、MSG(化学調味料)フリーで提供しています。商品については現在は口頭でお伝えしていますが、外国のお客様は日本語の食品表示を読めないことが多いので、いずれは五葷抜き、アルコールフリーなどがひと目でわかるシールを貼りたいと考えています」

取り扱う商品の基準は「おいしくて、売れるもの」

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 鈴木さんが言うように、ヴィーガンといっても、何を気にするか、どこまでOKかという範囲は人によって様々です。肉・魚・卵・乳製品など動物性材料を使わないことは前提としても、こうした多様なニーズに応えるために、VEGAN STOREでは何を基準にして取り扱う商品を決めているのでしょうか。

商品を置く基準は、売れるもの、つまりお客様が求めているものということになります。何をもってしてヴィーガンかという解釈は人それぞれで、たとえば、動物保護のためにビニール袋などのプラスチック製品を避けたいと考えるヴィーガンもいます。そうした幅広い要望すべてを厳密にあてはめていくと、置ける商品がほとんどない、ということになってしまうかもしれません。海外ではNON MSG(化学調味料不使用)、NON GMO(遺伝子組み換え材料不使用)といった表示も一般的ですが、日本の食品表示では2次原料は表示義務がないのでなかなか判断が難しいところがあります。VEGAN STORE の役割はヴィーガンの認知度を上げることだと考えているので、『こうでないとヴィーガンでない』と押し付けるのではなく、ヴィーガンの良さが伝わるような商品を幅広く紹介していく方に重点を置いています

ヴィーガンの良さを伝えるには、おいしさは非常に大切だと考えています。ヴィーガンでない人がVEGAN STOREでおいしくないものを食べたら、一発で『ヴィーガンはまずい』と思われてしまいますよね。そうではなく、『ヴィーガンって、こんなにおいしいんだ!』と思ってもらえるようなものを提供していきたいと思っています」

「私自身は今はヴィーガンの食生活をしていますが、必ずしも『正しいヴィーガン』ではないかもしれない」という鈴木さんは「でも、だからこそヴィーガンでない方にも親しんでもらえるような店にできるのではないかと思っています」と言います。

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ヴィーガンをひとつの食の選択肢に

「ヴィーガンという言葉は、メディアでもよく取り上げられるようになりましたが、それがどういうものなのか、一般の方にはちゃんと伝わっていないのかもしれません。店頭にいると、ヴィーガンが注目されていると言っても、実際の認知度はまだまだだと実感します。VEGAN STOREには企業の視察で来店される方もいますが、話してみると、ベジタリアンとヴィーガンの違いもわかっていないことも多かったりします」

ヴィーガンはけっして特別なものではなく、イタリアンや中華、フレンチなど食のカテゴリーのひとつととらえていただければと思います。スーパーに中華やイタリアンの食材コーナーと並んでヴィーガンコーナーがあったり、外食するとき『昨日はイタリアンだったから今日はヴィーガンにしよう』とヴィーガンメニューにしたりするような感覚が広がってほしいですし、VEGAN STORE がそのきっかけになれば嬉しいですね」

その2では、鈴木さんのプロフィールやVEGAN STORE開業に至るまでの経緯をうかがいます。



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生活文化ジャーナリストの肩書で仕事をしています。 衣食住のこと、ボランティアでやっている読み聞かせやストーリーテリングのこと、趣味の鉄道、ベジタリアン&ヴィーガンの話など。

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