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【会計ニュース】監査報告書記載誤り大量発生について

12/22に日本公認会計士協会より本件の調査結果が会員向けに発表されています。本稿では、その概要と感想をお伝えします。

訂正に至る経緯

2020年3月期においては、監査報告書の様式が改訂され、また、「監査上の主要な検討事項(KAM)」の早期適用が行われたことから、監査報告書の記載誤りが大量に発生してしまった。

協会の調査によれば、2020年7月31日までに2020年3月期有価証券報告書の訂正報告書を提出した会社125社のうち、49社(39%)が監査報告書の訂正に係るものであった。

分析結果

49社の訂正内容は、改正関係が20件、改正関係以外が43件(1社で複数の誤りがあるため49件とはならない)。協会では、誤りの内容を詳細に分類していますが、改訂前の様式を使用したり、誤字だったりの単純なミスでした。

EDINETのみの誤りが39社(79.6%)、原本の誤りが10社(20.4%)ということで、8割は軽傷ということでしょうか?(もちろんそんなことはないので、こういった分類には若干違和感あり

発生原因については、以下のとおり。

監査チームのチェック不足 13件、在宅勤務による影響(時間的制約、紙面チェックができないなど) 5件、品質管理担当部門のひな形が誤っていたことによる影響 2件、会社とのコミュニケーション不足 9件、監査法人以外に起因 29件。

 言い訳できない原因ですね…

協会の結論

監査人の唯一の対外的な成果物としての監査報告書に多数の記載誤りが発生している事実は、単純な誤記という問題ではない。監査報告書が適切に利害関係者に開示されることを確保するためには、監査報告書の原文の作成において注意を払うとともに、会社が作成したEDINET提出直前の文案と監査報告書原本との同一性を適時に確かめることの重要性を再認識し、その手続に十分な人員や時間を確保することが望まれる。

感想

結論的には、協会の言うとおりです(ここには引用しませんでしたが、やや監査人よりの課題を掲げています。そこってあまり根本的な問題じゃないなあと思いました)。

筆者の監査法人時代を思い返すと、監査報告書のチェックって、上司が口うるさく言わないと、さらっと流してしまう傾向にあるんじゃないかと思います。対外的な成果物はこれだけなのに…。それが単純ミスで訂正しますって、クライアントだけじゃなく、公認会計士への社会的信頼も揺らいでしまう気がします。

ちなみに、こういう品質管理の話題になると、中小監査法人の問題でしょって思う方がいるかもしれませんが、日本を代表する兆円企業を担当している大手監査法人でもこの単純ミスがありました。どことは言いませんが…。

監査法人の公認会計士の方には気を引き締めてもらいたいですね。

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