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税務調査の話 その1 〜調査官のノルマ〜
元国税職員による税務調査のあれこれを記事にしていきます。初回は調査官のノルマについて。
ノルマはあるのか
結論から言うとありません。
ただし、目標数値があるので、これを実質的にノルマと考える職員も多いと思います。
目標数値は、国税局の主務課(法人課税課、個人課税課等)が定め、各税務署に割り当てていきます。法人課税部門でいうと、調査件数、増差所得、不正所得、不正発見割合等を目標管理しており、主に対前年比でこれらの数値を算定しています。
なお、増差所得とは、申告所得額に対して調査による修正申告等でどれだけ所得が増えたかを表し、そのうち仮装や隠蔽によるものを不正所得といいます。
調査官の目標
税務署に対しては、上記の項目で目標数値が割り当てられますが、各調査官に対しては、調査件数のみが割り当てられます。なので、調査の結果、数字が出なかったとしても、営業マンのようにきつく詰められることはあまりないでしょう。
ただし、各税務署の第一統括官(一統括。いっとうかつ)は、国税局の主務課から増差所得等についてはっぱをかけられ、第○統括官(ナンバーとうかつ)は一統括からはっぱをかけられ、その部下の各調査官は…という連鎖が起こりますので、税務署全体で数字が出ていないと調査官への当たりも自然ときつくなります。
申告是認
調査の結果、修正申告等が行われないことを申告是認(単に是認とも)といいます。
是認が続くと居心地が悪くなってきます。最近ではパワハラのようなことは少なくなっていると思いますが、責任感が強い調査官ほど居た堪れなくなります。筆者は、後輩の女性事務官が職場でワンワン号泣しているのを見たことがあります。
筆者の場合
税務署や時代によって様々かと思いますが、筆者が在籍していた当時の税務署では、年間の調査件数30〜40件が目標でした。
仕事が軌道に乗った3年目から30件以上処理できるようになり、退職した4年目では半年で20件処理、うち不正が9件(45%)とこの数値だけ見ればトップクラスの調査事績だったと思います。
一定額以上の不正所得を発見した場合、国税局に対して報告することになるのですが、この報告の常連でもありました。なので、退職直前に表彰も受けています。退職の際には、お前がいなくなったら数字が出なくて辛いよ、などと上司から言われました。社交辞令もあるでしょうが(笑)
おわりに
シリーズ初回ということで、自己紹介を兼ねて概要程度の内容となっていますが、今後、具体的な調査の内容やエピソードを記事にしていきたいと思います。
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