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世界で最もハイエンドなVRヘッドセットを作る「Varjo」のCMOに技術や戦略を聞いてきた

VRスタートアップが盛んな国として名前がよく挙がるフィンランド。
そんなフィンランドに去年の12月にMESONのメンバーで視察にいき、様々なAR/VRスタートアップのファウンダーにアポを取って気になることを聞いてきました!

これから何回かに分けて、訪問したスタートアップの紹介と、MTGの中で得られた学びや気付きについて書いていきます。

第一発目は、世界でも最も高解像度と言われているヘッドセットを作っているハードウェアスタートアップ「Varjo」。

とにかく技術もチームも、事業の進捗も素晴らしいの一言でした。
彼らがVR、そしてARの未来をデバイスの側面から切り開いていってくれるのは間違いないので、この記事が皆さんが未来を想像する上での助けとなれば幸いです。


人の目レベルの解像度のVRヘッドセットを作っているNokia出身者たちのスタートアップ「Varjo」

彼らのヘッドセットの特徴は、とにかくその解像度。従来のOculusやViveの解像度と比較すると、約60倍も解像度が高いそう。

MESONのメンバーも実際にデモを試させてもらいましたが、その解像度の高さに雄叫びをあげてしまいました笑

航空機のシミュレーターのデモを体験させてもらったのですが、計器の細かい目盛りの一つひとつまでクッキリ見ることができました。


こちらの比較画像上でVarjoの解像度の画像、下がOculusの解像度の画像。
ここまで解像度が違うと、体験が全く別物だなという印象でした。


彼らがどうやって、このような高い解像度を実現しているかというと、レンズとスクリーンという通常のVRヘッドセットの要素に加えて、それらの間に高解像度のOLEDディスプレイとそれをスクリーンに反射させるためのミラーをセット。
さらにアイトラッキングをして装着者がスクリーンのどこを見ているかを把握し、OLED上にその視線箇所に対応した映像を流し、それが視線箇所にピッタリ照射されるようにミラーの角度を調整するというもの。

さらっと聞いただけでも凄い技術力なことが伺えますが、なぜこんな高度なヘッドセットを彼らのようなスタートアップが作れているか聞いてみたところ、ファウンダーの2人が元Nokiaのエンジニアで、Hololensの元になったプロジェクトをやっているメンバーとのこと。
(HololensはMicrosoftが買収したNokiaの基礎技術が基になっている)


彼らは一般消費者向けではなく、ToB向けのハイエンドデバイスとしてのマーケットを狙っていて、すでにBMW、フォルクスワーゲン、ボルボ、20Century Foxなどの錚々たる企業とパートナーシップを締結しているそうです(すごい…)。

デバイスの金額は一台、60万~80万円くらいを見込んでいるそう。
デバイス内で使っているOLEDは現状、ソニーのものを使っているらしいのですが、それ1つだけでも10万円以上するらしいです笑

クライアントのユースケースとしては、以下の4つを大きく想定しているそう。

・Industrial Design(自動車の設計などに使うためのツールなど)
・Training & Simulation(航空機のシミュレーターなど)
・Architecture(建築のモデル設計など)
・Entertainment(テーマパークなどの施設での活用など)

さらに彼らはARグラスも現在開発中だそうで、特別に未公開のデモも見せてもらったのですが、これまた凄まじかったです。
(非公開ですが、ブログには書いて良いと言われました)

解像度、実存感ともにホロレンズの比じゃない。
ホロレンズなどのようなオプティカルシースルー(※)ではなく、ビデオシースルー(※)なので、オブジェクトのマテリアル感や色、影の感じもリアルで本当にそこに実在しているようで、また視野角もかなり広いようでした。
もちろん、VRヘッドセット同様の解像度なので、ビデオシースルーならではの気持ち悪さもありません。

※ オプティカルシースルー、ビデオシースルーとは
Hololensのように透明なレンズを通して現実世界を見せるのがオプティカルシースルー、対してVRヘッドセットのように視界を全て覆って、ヘッドセット外部のカメラから撮った映像で現実世界をユーザーに見せる手法がビデオシースルー


オフィス内にはラボルームがいくつもあり、ヘッドセットのプロトタイプをガシガシ作っている人がいました。

VRヘッドセット、しかもこんなハイスペックなものをオフィス内でカジュアルに作っている様子はかなり驚きでした。


MTGをしたのは写真中央のJussi(CMO)。下北沢の焼き鳥屋さんが大好きらしく、日本に来た際には一緒に行く約束をしました笑


総じて感動しっぱなしのVarjo訪問でした。

ここまでVRヘッドセットの解像度が高くなると、ToBで大手クライアントでの活用が本格的に進んでいくなと思いました。(今までのものは解像度が低く、オモチャ感が否めなかった)

そうなると、ハイクオリティなVRアプリケーションを、クライアント毎にカスタマイズしながらも効率よく作れる会社がかなり大きく成長することだろうと思います。

※ この視察はメルカリの海外視察支援プログラムで費用をサポートしていただきました。社外の人間の視察費をサポートしてくれるなんて、神対応すぎますよね笑

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