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【今週聞いたこと】もう何が事実か分からないという世の中って怖くないか?

先週に引き続いて、その週に聞いたこと見たこと読んだことの中で、印象に残ったことを書こうという、このシリーズ。前回はこちら↓

今週は、2020年アメリカで起こったGeorge Floydが亡くなった真相について。
彼の逮捕時に、警察官の膝が彼の首元を強く押さえつけたために呼吸ができず亡くなった、とされる事件。これをきっかけに、全米で大きなデモや暴動に発展した。この事件について、実は、警官が身につけていたカメラの映像からは、膝は首ではなく肩に置かれていて、警官到着以前にすでに呼吸しづらい様子が別の映像で捉えられていた。また、体内からは致死量を大きく超える薬が検出されたとする検査結果が出ていた。というような内容が盛り込まれた本とそれを映像化したドキュメンタリー、についての記事を読んだのが今週。
(記事:https://www.weekendavisen.dk/2024-21/samfund/tilbage-til-gerningsstedet(有料))

この本に書かれていることは一部でも正しいかもしれないし、全くのデマかもしれない。何が事実なのかは私には分からないし、ここでそれを議論することはしない。記事を読んで思ったことは、私には何が事実なのか分からない、ということ。色々関連記事やニュースを読み込んで、現地に出向いて現地の人たちと話して、そうして分かることはあるかもしれない。でも日常見聞きする一つ一つの事件について、そんなことをする時間も気力も体力も資金も何もない。そうして、情報に振り回される人、になっているのだろうな。

そこで思い出したのが、先月話題になった、デンマークの政治家が流したAIを使ったフェイクビデオ。去年、デンマークの現政権が祝日の一つを廃止したのだが、それに反対している政治家が作って流したのが、AIで作った首相が「新たに別の祝日の廃止も決めたという発表をしている」というもの。映像も音声も本人そっくりだが、よく見ると画像右上に小さく「AI生成」と記載がある。この政治家にとっては、政治風刺、表現の自由の一環のつもりなのだろうが、政治家としてはやりすぎ。(まして、この人、国会議員であるだけでなく、反対政党の党首。)気に入らないから、相手のパロディ映像を作って流す、なんて幼稚。ということは差し置いても、国民を混乱させるような精巧な映像を使うやり方は、政治家への信頼を低下させる。

その上を行っているのが、かのプーチン。プーチンは、民衆に流れる情報をコントロールしてると思ってたのだが、どこかで聞いたのが(どこで聞いたのか思い出せないのが悔しいところ)、逆にデマなどを積極的に色々流すことによって民衆を混乱させ、どれが事実か分からなくさせるのだそう。私なんて、まさにいい鴨。(その悪知恵、なぜ良いことに使えないのだろうか、、。)

もう何が事実か容易には分からない世の中になってきているのかな、と思ったけど、ずっと昔からそういう世の中だったけど、気づかなかっただけで、昔と今と違うのは、「事実が分からない」ということがより明確化してきた、ということなのかな、とも思えてきた。つまり、一つであるはずの事実だけど、複数の「事実」が至る所に流れていて、昔よりもずっと簡単に(知りたくなくても)知ることができるようになってきた。

世界中で若者のニュース離れが広がっているが(それについては以前、下記の記事に書いてみました)、悪いニュースばかりでなく、どれが事実か分からないニュース、これじゃあニュース見る(読む)気なくすのも一理ある。


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