海人くんの声は夜空に溶けた月灯りのようだ。
海人くんのどこがすきなの?よくされる質問だ。
彼のことはなにも知らないのだ。一方的にすきで知っている気になっているけれど本当の彼は1ミリも知らないし知る権利すらない。
すきという言葉で彼への想いを表現するのは、わたしの稚拙な語彙力では大いに困難ではあるのだが。彼の海により深く深く落ちていく瞬間は、声を聴いたときである。やさしい彼に似合う。そんな声。いつも、いつもメンバーへの愛を紡いで。温度のあることばをメンバーにおくる。そこに乗る彼だけの音。
甘い。彼の声を聴いて大多数が抱く印象であろう。確かに甘い。しかし、彼の声は糖度が高い故一度口にしてしまうとなかなか離れることができない。あらゆる隙間にふわぁっと入ってきて、こころに存在する核を揺り動かす。そして、なにかが溢れ出し涙となって止めどなく流れていく。溢れ出したあとは、しゅわぁっと夏のアスファルトが撒いた水を吸うようなにかを吸収する。存在することばや感情では説明できない『なにか』。
これは彼のやさしさにふれた瞬間。
人が抱く感情を全て集めて塊にしたようなそんな声なのである。"それ"はプラスの感情だけではない。どうしようもなく泣きたくなるような。鼻の奥がツンっとなるような。突然叫び出したくなるような。マイナスの感情でさえその声にひっくるめられているから、苦しくもなる。そして彼の声が奏でる音はものがたりを創り出す。唯一無二の彼の声。
それは、どこまでもひろがる果てないこころの中に、ぽわぁっと朧げな光を放つ。
夜空に溶けた月灯りのようだ。
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