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宇宙技術広報をはじめる ①技広の3箇条

2017年から趣味で宇宙開発を行う団体「リーマンサット・プロジェクト」に参加しています。リーマンサット・プロジェクトは「普通の人が集まって宇宙開発しよう」という呼びかけから宇宙にまつわる様々な活動をしている民間団体で、サラリーマンが「人工衛星(サット:Sat)」を週末に作っているのですが、理工学が専門ではない私にいきなり衛星開発なんて無理だわということで、本業に近い広報部で「技術広報課」を立ち上げて、技術広報課長をやっています。この記事では、エンジニアではない私が、なぜ「技術広報」を立ち上げてみたワケと見出したもの、そしてそこから拡がったアウトリーチ活動について書きたいと思います。

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技術広報とは?

一般的に「技術広報」といっても、各社それぞれの定義や役割があるようです。ビジネスを生業としている会社であれば、「自社製品の技術的な広報活動」と定義できると思いますが、リーマンサット・プロジェクト(以下「リーマンサット」またはrsp.)は会社でもない趣味の団体のため、「rsp.技術部の各プロジェクトは何を開発しているのか、そもそも宇宙で使う『技術』とは何か」を伝える活動であると考えています。

技術広報は誰でもできるものではない?

となると、宇宙『技術』のことがわかる人でないと広報できないのではないか?となりがちです。しかし、リーマンサットには、そもそもエンジニアリングのことがわからない広報メンバーと、広報のことがわからないエンジニアが多数いるのだから、それを繋げばいいだけです。そして実はその両方をやりたいけれど、「できない」「苦手」と思い込んでいる人もたくさんいます。そもそも技術系の人は、「書くのは苦手」「コミュニケーションが得意ではない」と思いこんでいる人が多く、広報系の人は、「理系は苦手」「興味はあるけれど、自分もつくれるとは思えない」と思い込んでいる人が多くいるように感じました。もちろん、「技術」とか「広報」とかには「全く興味ない」という人もいますが、一番もったいないのは、宙ぶらりんな『両片思い』(rsp.人事部長Nさんの言葉)。これを繋げば、リーマンサットらしい「技術広報」ができると考えました。

そもそもリーマンサットが大切にしていることの一つは、「できる、できないではなく、やりたいことをやる」、そして動いてみること!
ということで、技術部長や技術部プロジェクトマネージャー(以下、PM)にオブザーバーに入ってもらい、「宇宙開発に必要な技術は案外身近である」ということを伝えたい広報メンバーが集まる「技術広報」課を立ち上げました。

技術広報課がやっていること

 (1) 記事作成とオウンドメディアでの発信
-技術部の各プロジェクト(人工衛星、ロケット、ローバー)の進捗レポート
-宇宙技術に関するマニアックな解説記事
-宇宙が身近に感じた体験ブログ記事
-技術メンバーへのインタビュー
※オウンドメディア媒体:ウェブサイト、Facebook、Twitterなど

(2) 雑誌など外部メディア向け記事作成・企画調整
-技術関係雑誌(ラズパイマガジン等)からの依頼の記事作成と取り纏め
-技術関係雑誌や技術とは関係ない雑誌(天文雑誌や一般誌)への企画提案

(3) 開発技術紹介につながるイベントでのプレゼン、講演会への登壇

はじめの一歩

立ち上げ時の技術広報メンバーは、超小型人工衛星の開発についての知識はゼロ。
超小型人工衛星RSP-00のPMからはゴリゴリの開発進捗一覧表が定期的に送られてくるのですが、まず人工衛星の開発は、電源の開発は電源系というように各機能で○○系と分業作業しているので、全体をみながらも各系が何をやっているのかは、さっぱり読み取れませんでした。これでは進捗レポを書けないので、技術部長に相談しつつ、各系のミーティングに行くなどして技術メンバーに突撃インタビューして話を聞きながら、素直な視点での開発レポート記事を書けばいいよね、フェースブックに写真とあわせて本文は10行からでもいいから始めてみよう、というところから始めました。

技術広報の3箇条:両片思いの解決法

インタビューというのは、最初はお互い緊張して、質問と回答みたいなやりとりで終わってしまいます。しかも今話かけていいタイミングなのかもわからず、開発の邪魔になってはいけない・・・などと気を使い始めると、なかなか話を引き出すことが難しいです。でも、やっぱり面白いことをしているし、知りたいという好奇心から、めげずに何回も話かけていくうちに、「コミュニケーションがそれほど得意じゃないし、聞かれたらちゃんと答えなきゃと思うから」と口少ない人が割といることがわかったり、「聞かれるのは嫌いではないし、興味を持たれるのは嬉しい」、「書くのは苦手だから、記事を書いてもらえるのはありがたい」、「広報イベントとかにも興味があるんだけれど、何やればいいのかわからないし」という言葉を技術メンバーからポロポロ聞くようになりました。

他方、エンジニアではない広報メンバーからすると、リーマンの開発技術への強い好奇心と技術メンバーへの尊敬のまなざしはあるものの、さっぱり理解できていないことをいちいち聞いてはイラつかせるのではないかという思いが最初はあります。しかし、趣味の団体だからなのか、リーマンサットの技術メンバーは、興味関心を持っているなら教えるよ、という優しい人が本当に多いです。

技術広報の3箇条

第1箇条:技術を理解している人が発信すべきとのしがらみは捨てよう  

とにかく、わかるようになってからというよりは、「面白そうだな、どんなことやっているのかな、どうなっているのかな」と心に思うものがあったら、調べてまとめてみようという感覚が大事。調べ方や理解があっているかは技術を理解している人やまとめ方がうまいメンバーに確認すれば良いに尽きるのです。そこらへんを繋ぐのも**技術広報**のお仕事だったりもします。

第2箇条:まず工場や開発現場に何度も行ってみるのも大事!

百聞は一見に如かず。自分はここに興味関心があると伝え続けると、どこなら理解して伝えられるか、わかるようになります。

第3箇条:広報と技術メンバーを双方の活動に巻き込もう! 

リーマンサットでは、年間数多くの広報イベントを実施/参加しています。私がリーマンサットに入ると決めたのもイベントに参加してからです。メーカーフェアでの技術メンバーの説明や展示が面白かったこと、広報部と技術部のメンバー全体がリーマンサットなのであって、それを全体で取り纏めるイベントの総合的な巻き込み力が凄いなと思ったことがあります。

たぶん私の最初の仕事は、入ったばかりの頃に開催されたメーカーフェアで団体説明をし、技術的な質問が来たら、ひたすら技術メンバーに振り分けることだったと思います。イベントとか勉強会等は、直接的にすぐ効果が出るようなものではないのですが、じわじわとしみだしていくような人との繋がりの拡大ができるチャンスでもあり、地道にやっていくことが大事だと思っています。また、外部との繋がりだけでなく、一緒に広報活動をやっていくことで内部との繋がりと、自分たちの活動や技術をどう伝えたいかという新たな技術広報的な視点や課題をみつけることも多いです。

あとがき

宇宙開発を趣味で自分のペースで好きなところをみつけながら参加できるのが、「リーマンサット・プロジェクト」の良いところ。次は、②技術広報のインプット、インプットそしてそれらがつながるアウトリーチについてご紹介したいと思います。

趣味で宇宙開発できるリーマンサット・プロジェクト興味がある方は、是非rsp.にご参加いただき一緒に開発できればと思います。

rsp.への参加はこちら https://www.rymansat.com/join

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