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宇宙技術広報を始める ②インプット、アウトプット、そしてアウトリーチ

2017年から趣味で宇宙開発を行う団体「リーマンサット・プロジェクト」に参加しています。リーマンサット・プロジェクトは「普通の人が集まって宇宙開発しよう」という呼びかけから宇宙にまつわる様々な活動をしている民間団体で、サラリーマンが「人工衛星(サット:Sat)」を週末に作っているのですが、理工学が専門ではない私にいきなり衛星開発なんて無理だわということで、本業に近い広報部で「技術広報課」を立ち上げて、技術広報課長をやっています。

先の記事では、①技術広報の3箇条について書きましたので、この記事では、エンジニアではない私が、「技術広報」を立ち上げて見出したインプット、そしてそこから拡がったアウトリーチ活動について書きたいと思います。

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1「技術広報」にとらわらないインプット

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C&DH系に入ってみた
エンジニアではない私ができる系はどこか、と考えた時、学生時代に当時画面ブラックのフロッピー利用でPCを操作し、通信もジジジガガガ世代だった私は、研究論文を書くのに必要なデータのまとめサイトを2画面照らしながらコード書いて作っていたのと、外国のデータを検索するのにUnixを使っていた(適当に操作しては情シスに怒られ、理解していないのに変なバグをみつけて褒められたりしたものの結局システムに興味がなかったので学ばなかった)ので、言語的なものならできるかも・・・と、C&DH系に入れてもらいました。C&DH系のメンバーにとっては、どこからわからないかわからない面倒な人が現れて戸惑うだろうなと思ったのですが、どう教えられるか考えますと最初からすごく親切でした。

まず、RSP-01の頭脳にあたるマイコンArduinoを学ぶということで、Lチカから始めました。さらに、温度センサーがどういうプログラミングで動くか、プログラミング解説講習会、C&DH系の基本設計書の読み方、理解の仕方の勉強会などを重ね、着々と進んできたかのように思いましたが、私が行き詰まったのは、16進数・・・だいぶ後になってこれは自動変換できるサイトを利用すればクリティカルな問題ではなかったことがわかりましたが、ここで宿題ができないまま、プログラミングを組んでいくことに躓いてしまいました。とはいえ、諦めたわけではなく、むしろプログラミングは自分でもっと基礎から勉強していきたいなと思ったので、OJTではないですが、機能試験の時にコマンドを打たせてもらったり、結果を記録したり等、プログラミング動作を教えてもらいながら動かせてもらうなど見習い修行中です。

基板の実装練習(はんだごて)や筐体の組み立てもやってみた
とにかく手先不器用コンプレックスがあったので、ものづくりの方は敬遠していたのですが、大丈夫教えますよ!というメンバーに支えられ、こちらはコツコツと練習をして楽しんでいます。

そして基板が、地図を広げて読むようなこんなトキメクものとは思わなかったので、新たな世界の発見でした。筐体の組み立ても、電気の世界が全然わからないので配線が全くわからないのですが、配線以外の部品についてはネジを回して組み立てていくというのが楽しかったのと、それぞれの構造がわかると理解が進むことがわかり、組み立てメンバーにネジの種類から組み立て方から、ひとつひとつ教えてもらいました。

2 技術広報としてのアウトプット

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イベントで、モックアップやエンジニアリング・モデル(EM)筐体の展示をして、1回のイベントで100人以上説明していくうちに、技術メンバーに頼らずに自分でも構造や技術がわかって説明したいと思うようになりました。また、技術メンバーが開発で忙しくてイベントに参加できなくなってきたこともあり、広報メンバーだけであっても技術の説明までできた方がいいなという思いもありました。

RSP-01開発プロジェクトに参加しつづけたことで一番大きかったのは、技術力も知識も全然担当レベルに至らない見習いのままでありながら、Cubesatという1つの筐体の中はどのような世界で、そこには技術各系がどう集約されているかを説明できるようになったことです。

ただのボックスにみえる筐体ですが、ばらすと中には・・・といった話は、老若男女問わず面白い!と話をきいてくれます。

さらに全体のストーリをつなげながら、例えば太陽電池がどういう役割で、開発するうえでの難しさはこうですと相手が興味を持った部品ごとの細かい話をするなど、相手にあわせた伝え方を工夫し解説できるようになりました。

3 アウトリーチ:拡がる身近な宇宙開発

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実は、私はJAXA宇宙教育リーダーとして、主に子ども向けの宇宙教育活動をボランティアでやっています。でも参加者は小学生が多く、理系や文系関係なく宇宙技術を楽しもう、作ろうという視点の持ち方が中学くらいからなくなり、高校や大学レベルでは理系に特化され、しかも将来に役にたつか、身をたてられるかの方向に向かうのが残念だなと思っていました。

特に自分の専門分野でなくても宇宙に興味があるからという大人を対象にした宇宙教室、宇宙技術を楽しむくらいのコミュニティがつくれないかなと思っていた時に、リーマンサットの開発プロジェクトに入ってみて、まさにここは大人の宇宙教室だなと思いました。

「共創」、「共育」という言葉を使うと、せっかくの緩やかなリーマンサットのコミュニティの良さを表すには足りない言葉かもしれませんが、ここに多くことが集約されているなと思いました。

あとがき

宇宙開発を趣味で自分のペースで好きなところをみつけながら参加できるのが、「リーマンサット・プロジェクト」の良いところ。次は、③技術広報記事のつくりかたについてご紹介したいと思います。

趣味で宇宙開発できるリーマンサット・プロジェクト興味がある方は、是非rsp.にご参加いただき一緒に開発できればと思います。

rsp.への参加はこちら https://www.rymansat.com/join

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