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中村貞以について

 次回の秋華洞カタログ、67号には中村貞以の昨品が二点掲載されます。その一つについて、ちょっと解説を書いてみたので、こちらにも転載してみます。 

 美人画の歴史を語るにおいて中村貞以の存在は欠くことのできない存在だが、大阪画壇特有のエグみとでも言うべき要素が殆ど見られない。これは師である大阪画壇の雄、北野恒富の影響から脱して自立しようとするベクトルがもたらすものかもしれない。
 美人画という言葉を余り好まなかった貞以は、装飾された女ではなく、生の女のリアルな姿をすくい取りたい、という彼ならではの絵画的誠意とでも言うべきものに基づいて画業を進めたように思われる。
 本作は昭和20年頃の昨品と思われるが、初期の独自のスタイルを追い求めた作品から変化して、しだいに形式よりも何気ないリアルさに画風が変化する半ばの昨品である。
 梅の香る季節に戸外をふと見上げる娘。シンプルだが、着物のブルー、襦袢の赤と唐草文様の赤、梅花の赤がリズミカルに配置され、娘の清楚で飾りのない心が表象されている。髪や生え際の表現は入念で、この時代の日本画家ならではのさりげないが真摯な仕事ぶりがわかる。

実はこの文章は長すぎるのでボツにしました。なのでこのnoteにのみ掲載する文章になります。

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中村貞以の評価・買取については


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また、その他、買取、評価、保存、修復などのご相談は

(文責:田中千秋)

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