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2回目の帰国② ~負の感情~

こんにちは。今、メキシコは夕方6時です。

前回の続きで、日本に帰国していた時のことを書いています。
前回のをまだ読んでない方は下の記事から読んでいただけたらと思います。

グアダラハラからアメリカのダラスまでの飛行機はほとんど記憶がない。
フライトが朝6時だったので、一睡もできなかった。乗る直前立って搭乗手続きを待っていたのだが、その辺りからもう記憶がない。気がついたら、もう飛行機はダラスに到着していた。

「そう言えば、メキシコに来て初めての帰国の時もダラスだったっけかな?やけに空港が広いのは覚えている。」

まず税関を通らなければならない。コロナ禍ではあるが、結構人がいた。アメリカではスーツケースの引き取りは必要ないということなので、ここを通ればとりあえず日本までの飛行機には乗れるだろう。

列に並んで、順番を待っている時だった。右や左でチェックを受けているメキシコ人(おそらく。スペイン語が聞こえたので)が続々と違う列に通されていく。

税関のアメリカ人職員が他の職員にどうして他のレーンに移したと聞かれていた。

だってあいつ、おれの英語が分かんないだよ。おれもあいつの英語分かんないし

え!英語が分からないっていうだけで違うレーンに行かされるの!?ここ何年まともに英語なんか話したことないぜ!」と戸惑う自分。

何とか一発で通り抜けることができたが、スーツケースを引き取るところで他のレーンに移されていたある家族の話が聞こえてきた。

私たちはダラスに家族がいるから、それで会いに来ただけだ。それなのに、全然信用してる感じじゃない。本当に最悪。マジでムカつく。

だいたいこんな感じのことを言っていたと思う。メキシコのスペイン語は汚い言葉も多い。相手を罵倒する言葉なら、日本語より断然スペイン語のほうが豊富だ。

アメリカとメキシコは隣国同士。しかも日本と韓国あるいは日本と中国のように海を隔てての隣国ではなく、陸続きだ。戦争をし合った歴史もある。不法移民の問題が後を絶たないそうだ。

メキシコのスペイン語には「アメリカ人」を指す言葉がたくさんある。
中でも「gringo(グリンゴ)」という言い方はアメリカ人を軽蔑する言い方だ。所説あるが、昔アメリカとメキシコが戦争をしていた時に、アメリカ軍の服装が緑色だったことから、「green go!!(アメリカ軍、出ていけ!)」が訛って、「gringo」になったと言われている。誤解されるといけないので、自分はいつも「estadounidense(一番正式なアメリカ人の言い方)」と言うようにしている。

差別偏見軽蔑侮蔑妬み憎しみ

こういう負の感情が税関の人にもあったのだろうか?

英語が分かるわけない!メキシコ人のお前らには。
gringoってどうせおれたちをバカにしてるんだろ!メキシコ人のお前らは。
違法でアメリカに入ろうとしてるんだろ!メキシコ人のお前らは。

あの家族にはそれが伝わっているように見えた。

負の感情は寂しい。そこから先に何も知ろうとしないからだ。

そういえば、日本にいるときに、中国の人たちが今日本人の生活をまねて、どうやって自分の暮らしを豊かにしていくかを考え始めているとニュースで見た。日本の書籍がたくさん中国語に翻訳され、多くの人に読まれているそうだ。

そのニュースの中では、日本在住30年で大学教授をされている中国の方が、

「中国では日本について興味を持っている人は多くなっているのに、日本にはその傾向があまり見られない。あるのは、中国脅威論や嫌中といったものばかりだ」と嘆いていた。

確かに日本と中国もかつて戦争をした歴史がある。しかしそういう本があっても、自分の中に負の感情が湧くだけであまりいい気分にならないと思う。もちろんあまり戦争の歴史について詳しく知らないので、勉強する必要があると思うが、あまり大きいことは言いたくない。

でも、それで誰が幸せになるの?

負の感情に渦巻いていたアメリカのダラス・フォートワース国際空港を後にしながら、そんなことを思った。

続きは次回、


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