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Vol.1 鳥との出会い

 まだ小学校にも入学する前の私の物心がついた頃、私のそばに一羽の大きなアオサギがいた。当時の私からすると身長と同じかそれよりも大きく、「こんなに大きな鳥が空を飛ぶ」それだけで胸が高鳴り、一種のウルトラマンのような憧れのヒーローのような存在だった……。

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大きな鳥に魅せられて

 私の故郷は紋別市という、北海道のオホーツク海に面した海辺の街である。私の実家は市街地から少し外れており、コンビニまで車で5分以上、友達の家に遊びに行くのだって子供からすると一苦労な場所だった。そんな私の遊ぶ楽しみのひとつがシジミ採り。なんだかジジ臭いと今では笑われてしまうかもしれないが、父のシジミ採りについて行き、湖に裸足のまま腰まで浸かり、足の裏の感覚で手のひらほどの大きなシジミを見つけるが面白くて、父が行くたびについて行ってはよくシジミを捕まえたものだ。そんなある日、湖畔にアオサギが佇んでいた。子供というのは不思議なもので、鳥が敵だと認識しないのか、わっとそばに寄ってもあまり飛ばない。例に漏れず私もその巨大な鳥に興味を持っていかれ恐る恐る近づいてみたのだ。流石に近くに行きすぎたのだろう、アオサギはそそくさと飛んで奥に行ってしまったのだが、その時の翼を広げた大きさと優雅な姿に心を撃ち抜かれてしまったのだ。

 その後、父の持っていた北海道の野鳥図鑑やクリスマスにせがんで買ってもらった学研の鳥図鑑を眺めるのは宝石箱を眺めるが如く、色鮮やかな鳥や変な姿の鳥など様々で、楽しくて仕方がなかった。


つづく。

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