Kaito Imahori 今堀魁人

北海道生まれ、北海道育ちのバードガイド。幼い頃から野鳥や自然に魅了され、北海道を中心に…

Kaito Imahori 今堀魁人

北海道生まれ、北海道育ちのバードガイド。幼い頃から野鳥や自然に魅了され、北海道を中心に撮影した写真を通して、その魅力や届けたい思いを発信しています。

マガジン

  • 動物たちの言葉

    自然のなかで生きる動物たちからの様々なメッセージを、言葉と写真を通して届けます。

  • 人生は鳥と共に 〜野鳥に魅せられた一人のバーダーのおはなし〜

    野鳥と出会って、今がある。 北海道紋別市で生まれ育ったひとりのバードウォッチャー。そんな私は、今現在バードガイドとして鳥に携わる仕事をしている。そんな今までの人生を物語として、当時撮影した写真とともに綴ります。

最近の記事

カムイを見た日。前編

この日は朝から何やら沖が騒がしかった。普段はわかるはずもないのだが、早朝から肉眼でもわかるほど水平線の先で鳥達が騒めいているのだ。 この日は仕事で午前、午後と船に乗って海へ行く。風が若干強く吹いていて、何とも揺れそうな天気だ。 ホールウォッチングの観光船に乗ると何とも奇妙な感覚を覚えた。先程まであれだけ騒がしかった沖が、ほとんど何の生物もいない。私たちの船を合わせて5隻も出航し2時間半探し続けたが、見られたのは小さなハシボソミズナギドリの群れとイシイルカだけ。どちらにも言える

    • カムイの木

        • 生き抜くための模様

          6月初めのある日、日の出前から道東の森を1人歩いていた。不気味なほどに音の無い朝の森。聴こえるのは私の足音と吐息のみ。どんなに耳を澄ましても風の音さえしないこの時期では考えられないほど静寂な世界。そんな森を歩きながら、必ずある自然に残された違和感を探す。 3kmほど歩いた頃だろうか。大きな音はしないけれど変に視線を感じる。この視線は誰だろうか。じっと息を殺し、意識を周囲に張り巡らせる。1分ほど経った頃、ほんの少しだけフッ…フッ…という音がした。音は足下の近く。私の腰まである

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        • 動物たちの言葉
          14本
        • 人生は鳥と共に 〜野鳥に魅せられた一人のバーダーのおはなし〜
          3本

        記事

          違う感性

          いつもと違う感性で撮る年に数回の特別な時。新たな試みが全くうまくいかず連日モヤモヤする心をリフレッシュできました。 違うモチーフでもやることは一緒。 自分はこの世界にあるものを感じ、見る人に想像を膨らませ、それぞれの作品をそこで作り上げてもらうことが大切なのだと教えていただいています。 今回のこの作風は真似なのでこの手法を盗んで自分の作風に取り込んで昇華させる。いつもとても素敵な時間で贅沢に学ばせていただいております。これからも精進致します。

          本当の野生の姿

          ピュルウ、ピルルという小声とパリパリと冬芽を啄む音。この距離感でしか聴くことができない音を楽しめる贅沢。 ひとつの生き物ことを知り、そしてしっかりと観察、様子を窺いながら本物と対峙すること。確実に見られるところでただ見ることも楽しいかもしれないが、人が干渉していない状態の野生の個体だからこそ知らなかった本性を知れる喜び、そしてこの空気感を楽しむこと。 最近餌を撒き野生動物を撮影する方や闇夜の中強いライトを当てて撮影する方の姿をよく見る。野生動物の本当の美しさは人の干渉しな

          本当の野生の姿

          +2

          写真展に作品が展示されます

          写真展に作品が展示されます

          別視点で見る美しさ

          別視点で見る美しさ

          モノクローム

          日暮と違和感

          若きカムイよ

          生きよ。

          あの兄弟の暮らす地に一ヶ月後改めて訪れると、大人の風貌で出迎えてくれた。まだ若干のあどけなさはあるが、周囲にはすでに親の姿はなく己の力で生きる時が来たようだ。 このキツネの兄弟に出会えるのもきっとこれが最後。静かに外に降り、同じ目線で同じ匂い、世界、時間を感じてみる。 キタキツネの世界は草の生い茂る世界が広がり、隙間からは兄弟の姿が見える。そして波の音や風の音がするたび海の香り、彼ら兄弟の匂いが鼻先をかすめていく。鼻息や擦れる砂の音、ほんの少しだけ出す微かな声が時たま耳元

          いろんな視点

          大人になる。

          静かな海を泳ぐ

          朝から濃い霧の中に包まれていた。視界はたった10mあるかどうか。とても遠くのものは見える気配がない。風は穏やかだが、それがいけなかった。海霧が海峡に溜まり消え去らないのだ。 風もなく、波もない。ひたすら船は見えない海上を行く先の見えないどこかへ向かって進ませる。聴こえるのは船のエンジン音と、船が走る波飛沫の音だけ。 何時間経っただろうか。船はゆっくりと岬の方へ出た。するとあの視界を奪っていた海霧が忽然と消え去った。風がここだけ流れている。上空にはまだ厚く、重い雲となって海

          静かな海を泳ぐ