山吉屋の次男坊

映画史・映画学、および旅行やトレッキングについて

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最近の記事

エッセイ: 『ペルソナ』というベルイマンの映画論、演劇論、神学論

『ペルソナ』は、映画評論におけるエレベスト級の最高峰。仮面(ペルソナ)を被って生きる人間、アニムス、現実性と非現実性、神と人類の関係に向き合い、そして映画とは何なのかを問う映画……。 スウェーデンの巨匠、イングマル・ベルイマンは、「神の沈黙」三部作の後、本業だった舞台監督に戻りますが心労を追い、長期入院していた際に、この『ペルソナ』を構想したという。ルター教の敬虔な家庭で育ちながらも、幼い頃から神を見限っていたと告白していたベルイマンだが、「神の沈黙」シリーズでは何度も神

    • マックス・ファクターのハリウッド

      ハリウッドには、「ハリウッド・ミュージアム」というマイナーな博物館がある。ハリウッド大通りとハイランド・アベニューという絶好のロケーションにありながら、週末でも訪れる観光客は多くない。アメリカの古いアパートやホテルに良くある、かび臭いカーペットの匂いが漂っている4階建ての建物には、所狭しと11,000点にも及ぶ映画関連の陳列が行われている、映画好きにはちょっと気になる場所だ。 この建物がいつから立っているのかは知らないが、1928年にマックス・ファクターによって購入されたと

      • ハリウッド物語 ~ ハリウッドの始まりと名前の由来

        1883年、カンザス州の靴職人から不動産業に転じて財をなしていた当時55歳のハーヴィ・ウィルコックス(Harvey Wilcox)と、2番目の妻である若干25歳のディードラ・ウィルコックス(Diedra Wilcox)が、ロサンゼルス行きの列車に乗った。生まれたばかりの息子が死んだこともあり、新天地で新しい生活をしようと考えたという。その旅の途中でディードラ夫人は別の搭乗者だった女性と仲良くなり、イリノイ州かオハイオ州あたりにあった保養地(もしくは保養施設の名)についての話を

        • 5月5日 ー 金剛山から葛城山

          快晴の中、金剛山から葛城山のいわゆるコンカツを踏破。 12.8㎞、歩数18,822歩。スマホを家に置いてきてしまったので、友人から聞いた記憶だと工程は以下のようなもの。 8:00 ー 河内長野駅集合 11:00 ー 金剛山登頂 11:20 ー 白雲岳登頂 12:00 ー カヤンボの休憩所で昼食 1:00 ー 水越峠 2:30 ー 葛城山登頂 3:30 ー 下山 (櫛羅の滝コースが再オープン) 4:30 ー 御所宝湯 5:15 ー 居酒屋・八三一 カヤンボの小屋で飯にしてい

        エッセイ: 『ペルソナ』というベルイマンの映画論、演劇論、神学論

          エッセイ: なぜ市民ケーンは史上最高の映画と言われるのか?

          なぜ、1941年の『市民ケーン』は、80年以上を経過した今も映画史上最高の作品と言われるのか?単なる評論家たちの積もり積もった個人的感想程度のものなら、持続的に最高傑作として評価される理由にはならないだろう。ロック音楽を語る上でビートルズが欠かせないように、近代文学でシェイクスピアがなくてはならないように、『市民ケーン』は映画表現並びに映画産業に、ただならぬ影響を与えたマイルストーン的な作品なのである。 ■ 映画作りに革命を起こす まずは、制作の経緯から異質だった。ニュー

          エッセイ: なぜ市民ケーンは史上最高の映画と言われるのか?