見出し画像

元ヤングケアラーが感じたこと


先月↓こちらの投稿を公開しました。

今回の話はこちらに出てきた祖母の話が中心になります。
今回の投稿を読むついでにこちらの投稿も見ていただけると嬉しいです。

さて、早速見出しにある通りに元ヤングケアラーである僕が実際どのような生活を送っていたのか紹介していこうと思います。

家族構成

まずは簡単に家族構成と祖母の紹介をします。
<1年前の家族構成>
祖母(80代)



妹 
5人家族

<祖母について>
・数年前からアルツハイマー型認知症を患う
・物忘れが多い(鍵や携帯を無くす)
・道を忘れる
・話をすぐ忘れるので何度も聞き返す、繰り返す

簡単に言うとこんな感じです。

4つ目のことに関してはすぐに想像しやすいんじゃないですかね…。友達といて何度も同じ話をしてきたり、聞き返してきたりしたら腹が立ちますよね。それが毎日、数分おきですよ。笑
僕もたまにムカついて強い口調で言ってしまうことはありましたが、僕よりも家族はもっと酷かったです。無視をしたり、怒ったり、舌打ちをしたり。そんな感じでした。
そんな態度を示すと祖母ももちろん不機嫌になります。認知機能が衰えていても、感情を出す時は出します。(人間だもの。)

感情の話が出たので…怒りの感情はよく出ますが、喜びの感情はほぼ現れません。顔も笑いません。
僕が1番ショックだったのは、記憶が無くなるよりも笑顔がほぼ消えたことでした。
祖母の笑顔の写真を見る度に夜な夜な涙を流してしまうほどでした。
祖母の笑顔がある頃は家族も比較的安定していました。だから余計に…。笑

当時の生活を振り返る

その当時の僕の生活を簡単に紹介します。

学校のために朝7時頃に起床。(祖母はとっくに起きていて、家族が家を出るまで自宅にいます。10時頃には定休日以外喫茶店に通っていました。)
17時頃に僕や妹が帰宅。(だいたいテレビを流してます。ちゃんと内容が頭に入っているのかは分からない)

ここまでは一般の家庭の子と変わらないと思います。ここから下が大きく異なると思います。

まず、祖母が「買い物に行く」と言ったら僕が荷物運びで着いていきます。もちろん、無駄な買い物をしないように家にある食材等も僕が把握してから行きます。

(時々僕の帰宅より早く祖母が買い物に行っていることがあります。そしてたまに「家への帰り方が分からないから迎えに来てくれ」と言われることもありました。)

買い物を終えて帰宅すると、仕事から帰ってきた母がいます。祖母と母がいる空間はピリピリしていて、祖母が悪意なく問い返した質問に舌打ちしたり無視をしたり。どうしても祖母が可哀想なので僕は祖母の話を聞いてあげることが多くなりました。気づけば完全に話を聞く役になっていました。

そして父が帰ってくると親子喧嘩が毎日何回も起きます。(夫婦喧嘩もよくある。大人3人で喧嘩してる時もある。めちゃくちゃ怖い。その場から逃げずに聞いて耐えてた。笑)
「殺せ」だったり「死ねばいいんだろ」だったりそういう言葉が飛び交っていました。
酷い時はものを投げつけて罵倒していた事もありました。
(僕のトラウマのひとつです。大きな声や喧嘩、ピリピリとした雰囲気になるとパニックを起こしがちです)

祖母は相当ストレスが溜まっていたと思います。家族から邪魔者扱いをされてつらかったんでしょう。罪悪感もあったでしょう。

祖母の口癖は最期まで

「私が死んだらいいんやろ。そしたらみんなが喜ぶ」

でした。こう言わせてしまったことにすごく後悔の念、自責の念が絶えません。

死の数日前我が家を出ようと企んでいたことも死後明らかになりました。
また、僕が夜中にリビングの掃除をしていた時何度も殴り書きされた紙切れを見つけていました。
「早く死にたい。楽になりたい。何も楽しくない。」
この紙切れを見つける度、家族の誰にも見つからないようそっと処分していました。今でも家族は知りません。
見つける度に悔しさと同時にどこにぶつけていいのか分からない怒りが込み上げてきました。

僕が願うこと

少し話が逸れてしまいましたが、肉体的なしんどさも勿論ありますが1番は精神的・時間の負担です。

・ずっと喧嘩をしていて、休まる暇がないこと。
・話の聞き役や、手伝いをしていると時間が無いこと。
・宿題をやる時間が無いこと。または夜中に宿題を終わらせること。
・相談相手が居ないこと。

正直いって苦痛でしかないです。
だけど、たまに見せてくれる笑顔が救いでした。

しかし、このような家庭環境のせいで僕が自宅にいる時間は減っていきました。

下校も寄り道をして、数時間後に帰宅。帰宅後すぐに支度をし、外へ遊びに行く。色んな場所で屯をして、夜な夜な帰宅。帰宅してからはみんな寝ていてゆっくり出来る時間なので、スマホを触ったり、どこにもぶつけられない怒りを自分にぶつけたり。そんなことをしている間に3時頃になり、そこから寝て朝起きて学校へ行く。そんな毎日を中学3年生から送っていました。

世話に疲れて、生活が荒れてしまう。

これもヤングケアラーにはよくある事だと僕はとらえています。

(言い訳になってしまいますが、こんな家庭環境では家にいるくらいなら外に出て時間を潰した方がいい。勉強なんてやってられない。当時はそんな気持ちでした。笑)

生活が荒れることで不登校になったり、成績の低下につながったりという事案は多く発生しています。

実際僕も成績は下がる一方でした。
そりゃ、勉強を捨ててましたからね…。

10代の学生には酷な話です。
ヤングケアラーがいるにもかかわらず何も支援はない訳ですから。
もちろん学校側も把握していません。
そして、相談相手もいません。
しんどい思いを1人で抱え込んでいます。

そんなヤングケアラーが日本にどれだけいるか皆さん分かりますか?

1クラスに約2人はいる計算になるんです。

高齢化の進む日本では年々増加傾向にあります。
今後もさらに増えるでしょう。

しかし、政府の支援は全くと言っていいほど整っていません。

そもそも、周りの大人たちはヤングケアラーという言葉を知っているのでしょうか。

また、家族が世話を放棄して子供に任せているなんてことはないでしょうか。

早急に支援をしないと、子どもたちが自ら命を絶ったり、まともに学校教育を受けられなくなってしまいます。

元ヤングケアラーのひとりとして、苦しんでいる子たちを救えるような手段や方法が出てくることを切に願っています。

ps.文字数多すぎて無理やりまとめちゃった…
亡くなった後に聞いた話ですが、祖母はよく僕のことを親戚や知り合いに自慢してくれていたそう。率直に嬉しかったですが、感情を表すのが苦手な僕は「ふーん。」とだけ言い、話を終わらせてしまいました。笑

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?