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「学び方を学ぶ」がPBLの本質

こんにちは!
株式会社すみかの月館です。
教育と社会を近くする」会社を運営しております。
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私は、高校教員からプログラミングスクールに転職し、「安心して挑戦する環境を作る」をミッションに株式会社すみかを設立。学校には、探究コーディネーターとして探究学習・キャリア教育のコーディネート、企業には、3歳から大学まで届けられる教育特化型プログラムを開発しています。

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最近は、探究学習が日本全国で進んできたこともあり、”PBL”も耳にする方やご存知の方も多いかと思います。

High Tech Highに訪問し、世界各国の教育関係者が視察に来るほど注目されている、PBLの授業を見学し、HTHにて10年以上PBLに取り組む先生からもPBLの意図や意義を教えていただきました。

今回は、これからPBLを始めようとしている方、PBLに関わろうとする大人や企業の方向けに「PBLとは何か」についてお声がけしたいとお思います。

そもそも、PBLってなに??

PBLは、「Project Based Learning(プロジェクト型学習)」と呼んだり、「Problem Based Learing(問題解決型学習)」と呼んだり、します。
Project Based Learningのプロジェクトが、Problem Based Learningの意味も包括するので、今回はProject Based Learningにまとめて話をさせていただきます。

生徒が自ら課題を発見し、解決に向かうための調査や実験の一連の流れをプロジェクトと呼び、プロジェクトに基づいた探究学習をPBLと呼びます。

では、そもそもプロジェクトとは何でしょうか?

最近読んでいる『「プロジェクトマネジメント」実践講座』に『プロジェクトの意味とは?」が書かれていたので、その内容を引用したいと思います。

PROJECTの「PRO」は「前に、前方に」JECTは「投じる、投げる」意味が込められています。仕事で言えば、まさに前にある未来の目標に向かってアクションを投じていく姿そのものがPROJECTの単語に込めれています。
(中略)
プロジェクトとは「独自の目的・目標を設定し、それを期限までに達成させる一連の活動」です。

『「プロジェクトマネジメント」実践講座』

「独自の目的・目標」は「今までやったことない要素を含むもの」であり、期限とは「開始日と終了日」が明確になっているものであることを指しています。
そう考えると、私たちの身の回りには「プロジェクト」で溢れています。高校生までの生活の中でも受験・旅行・学校祭・パーティーなど「これはプロジェクトである」という意識の有無に関わらず取り組んでいますよね。

身の回りたくさんあるプロジェクトですが、PBLとは一体何なのでしょうか。

藤原さとさんの著書『「探究」する学びをつくる:社会とつながるプロジェクト型学習』には、High Tech HighでのPBLの定義を示しています。

ハイ・テック・ハイのPBLだけが世界で唯一のPBLではない。実際のところ、学校の数だけ独自のPBLがあるという認識でよいかと思う。ハイ・テック・ハイはPBLを以下のように定義している。
 「生徒たちが発表成果物・制作物・出版物を作って一般公開するまでの一連のプロジェクトを、デザイン・計画・実行することで得る学び」
ここで特徴的なのは、中心に据えられているのが、「発表成果物」「制作物」「出版物」をつくって一般公開する、という行為である。そして、思想的には、やはりロン・バーガーの「エクセレンスの倫理を養う」、つまり最高のアウトプット、美しい展示に向けて最大限の努力をする、という倫理観をプロジェクトを通じて養うことにあると私は理解している。ハイ・テック・ハイには大工職人の息遣いを常に感じる。

何気なくここでも「プロジェクト」という言葉が出てきましたが、HTHでは、生徒が自ら課題を設定して何かに取り組むことよりも先生が用意したPBLの授業がほとんどです。先生がPBLデザインを作る過程においても生徒から意見をもらう「PBLチューニング」と呼ばれる機会も用意されているようですが、基本的に先生がPBLをデザインしています。

学び方を学ぶのがPBLの本質

与えられた課題に対して、「何がゴールなのか」「ゴールに向かうためには何が必要なのか」を生徒が議論して、生徒自らそのゴールやゴールに向かうまでの複数選択肢あるものを1つに絞り、ゴールに向かって走り出す。

でも、疑問に残るのは、「そこまで先生が用意したら、探究とは言わないのでは?」という疑問でした。

ただ、PBLの本質は「探究的な学び」であり、PBLを通して学び方を学ぶのです。「学び方を学ぶ」とは、あるプロジェクトを題材に、課題設定から解決する(or発表する)までの流れを学ぶことにあります。

探究だけでは、アイデアを妄想して終わるケースもある。

日本では、探究と探究的な学びが混在しながら議論されるケースも多いです。ただ、探究だけが絶対的な正解でもないです。

探究は、自分が学びたいこと、気になったことを取り組んでいくことですが、それは時に「料理経験はないけど、この世に存在しない誰もが喜ぶクッキーを作りたい」という課題設定をして、解決策を練るのに半年費やし、作り出したものは、誰も喜べるものじゃないくらい美味しくない。というケースもあり得ます。

生徒の想いは尊重するし、否定されるものでは有りませんが、そういう思いがあるなら、「まずはクッキーを作ってみる。」というPBLを最速で実践してみることをオススメします。

最近の相談はアイデアベースが多くて、そのアイデアは肯定されるべき素敵な思想の元に出てきたアイデアだと感じています。

だからこそ、もっと行動量を増やして、たくさん失敗して、「どうすればもっとよくなるか」という思考に時間を費やした方がいいと思うのです。

それが、「学び方を学ぶ」の本質だと思っています。

私がHigh Tech Highの存在も、ひょっとするPBLの存在も知る前に私は無意識にPBLをコーディネーターとして学校に提案していました。それが「先輩インタビュー」という企画の企画概要書でした。

このように生徒が何を取り組めばいいのか、わかることは生徒が新しいことを学ぶ上での不安をなくし、生徒が「取り組むこと、学ぶこと」に集中できる環境を用意することができます。

ただ、PBLをやる上でも大事なエッセンスはありますが、これを書くと長くなってしますので、簡潔にいうと、

ゴールが明確であるが、
・ゴールの具体的な内容は生徒が選べること
・ゴールに向かうまでのプロセスも複数あること、
・生徒に取り組む動機があること

の3つは欠かせません。

これを意識したPBLを弊社は企画しております。
またの機会に現在進行形のPBLを紹介したいと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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