見出し画像

#008 記憶に残る俳優 by Ko Iwagami

割引あり

Ko Iwagami / 岩上紘一郎🦖Casting Director [株式会社カイジュウ]
・Casting Society of America [CSA正式会員]
・2024 D&AD Award Casting Category Jury
幼少期からハリウッド映画に憧れ、中学卒業後単身で渡米。米国New Mexico州の大学にて映画科を卒業後、『デュー・デート』『アベンジャーズ』『ブレイキングバッド』『ウルヴァリン:SAMURAI』などの制作に関わる。2015年、世界の舞台に日本から俳優を輩出することを使命とし、キャスティング会社「株式会社カイジュウ」を設立。東京とロサンゼルスを拠点に、大手グローバル企業広告、グラミー賞受賞アーティストMV、全世界人気リアリティー番組、配信系ドラマ/映画および劇場公開映画など、国内外問わず活躍の場は多岐にわたる。『The Hollywood Reporter』『The Japan Times』は「既存の枠組みを超える世界との架け橋」と評した。2022年より「Amazon Studios」Head of Casting Japanに就任し、Prime Videoオリジナルコンテンツのキャスティングの総括にあたる。
代表作:「全裸監督」シーズン2(Netflix)、「TOKYO VICE」(HBO Max / WOWOW、「PACHINKO」(Apple TV+)など。

Writer's Profile

決まるのは1名、でも...

1つの役を決める際、時に200名近くの俳優のセルフテープを見て、オーディションでお会いして、たった一人の「その人」を選ぶ。その他の俳優はその役ではご縁がなかった、ということではあるが、ここで全てが終わりという訳ではない。そこでキャスティングは「記憶に残る俳優」と出会うことが少なからずあるのだ。その出会いはオーディションのような対面式だけに関わらず、映画やドラマを見ている時にも突然訪れ、目を奪われる。それでは「記憶に残る俳優」とは、一体どんな俳優なのだろうか?

芝居が良ければ、記憶に残る

結局のところ、何を覚えているのかというと、

「良いパフォーマンス」を覚えている。
つまり、その時「何かを感じさせてくれた芝居」が記憶に残っているのだ。

監督やプロデューサーとキャスティングの候補出しをする際、正確な作品名、役名、俳優の名前まで思い出せるとは限らないが、出会った時に彼ら(彼女ら)が与えてくれた感覚を思い出して、そこから記憶を辿り、その俳優の具体的な情報を手繰り寄せていく。

ここから先は

483字

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?