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【33】着物記者歴30年のライターも驚く「究極のきもの」とは? ひとまずご挨拶&これから篇

「蚕から糸へ、糸から着物へ」プロジェクト!
《私たちのシルクロード》
第33回 ひとまずご挨拶&これから篇


お蚕さんから糸を作り、染めて織って着物に仕上げる――この全工程をレポートする「蚕から糸へ、糸から着物へ」プロジェクトです。
それは「私たちのシルクロード」。


前回「染め織り篇」⑪では、仕上げ加工して京都から戻って来たプロジェクト作品の鑑賞会を行い、タイトル「Blue Blessing」(ブルーブレッシング:青の祝福)を発表しました。今回は、これまで毎週月、水、金と配信してきた定期的な連載の千秋楽として、先を見据えた話をいたします。

■まずは完走御礼

2021年4月1日から始まった本連載。比較的専門用語が多い、しかもプロジェクトメンバー本人達ですら戸惑うほど詳しく聞いて、思いがけなく文字数の多い連載でした。私だって3ヶ月の連載になるなんて思わず、取り組み始めた当初は1週間くらいで書き上げる見込みでした。

ところがどっこい。花井さんが提供してくれた写真の説明を求めると、そこには意味があり、歴史があり、「思い」がありました。これを書かずにはいられませんでした。

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お蚕さんたちがみごとな繭を結んでくれるまでどれほどの知恵と愛情がこもった労働が行われているのか、お蚕さんたちからいただいた糸が、どのように扱われ、着物となってゆくのか。専門的見地からすれば甘いけれど、それでも、ひととおりの道筋「シルクロード」を多くの方と共有できるよう、追い続けて来ました。

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本連載で紹介した養蚕、糸づくり、染織は、あくまでも「Blue Blessing」が創作される過程で行われたやり方です。それは長い歴史で培われた技術や、先達から教えていただいた工夫を受け継がせてもらえて実現したもので、地方により、人により、また同じ人物でも作品により、場合により、違ったやり方になるそうです。でも、「2020年秋からのシルクロード」の記録として、ぜひ残しておきたく思いました。

そんな骨太連載に、かなり多くの方が、伴走してくださいました。

フォローしてくださったり、スキを押してくださったり、お名前を覚えるほど関心を寄せてくださった方々もいらっしゃいます。また、本欄でなく、各メンバーに感想コメントをお寄せくださったも方々もいらっしゃいます。

《私たちのシルクロード》を一緒に完走してくださった皆様、おひとりおひとりの手を取って御礼を申し上げたい気持ちです。大変だったでしょ? ありがとうございました。私たちの心を込めた「ひとまず」の御礼をお受け取りください。

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見ているだけでパワーを充電できる、山鹿「お蚕ファーム」の桑です!
これまで、♥「スキ」を押してくださった方へのプレゼント画像にしていましたが、今回は大盤振る舞いで、ここまで到達してくださった方全員に桑のパワーを差し上げます。

■着姿をイメージしましょう

前回は反物の状態で鑑賞しましたが、今回は、より現実的に作品を味わってみましょう。反物をマネキンに着せ付けてみました。

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何を感じられますでしょうか。水は清き「心のふるさと」かもしれません。でも、そんな慕わしさがあるのに、一歩先行く洗練の美も兼ね備えていますね。令和の新時代。

絹糸の光沢が語る美しさは普遍的だけど、新しいものに出会えそうな「ときめき」とでもいいましょうか。そんな魅力を感じます。

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「着物好きさん」なら、今あなた、帯を考えていますでしょう? 私もですよ。白ですか? 黒ですか? それとも、やっぱり・・・・・・。

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そんな着物好き、コーディネート探究心のある方のために、お薦めしたいインスタライブがあります。この「Blue Blessing」を題材のひとつに「白からはじめる染めしごと展」のメンバーによるコーディネート提案を行います。なんと明日、6月26日(土)です。詳細は次項【第1弾】をご覧ください。

■でも、まだまだ続く

先ほど「ひとまず」の御礼をしたのは、定期的な連載は終わるけれど「不定期」の連載としては、まだまだ続くからです。「蚕から糸へ、糸から着物へ」プロジェクトは、細々とではありますが、これからも継続していきたいと強く思っています。

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企画は以下のように次々と生まれています。ぜひご注目ください。

【第1弾】「白からはじめる染しごと展」インスタライブに着物登場
本プロジェクトとは別組織ですが、吉田美保子さんの「Blue Blessing」は吉田さんが参加するグループ展、第2回「白からはじめる染しごと展」に出品予定でした。6月の開催を予定していましたが、残念ながら新型コロナウィルス感染予防の観点から11月に延期になりました。その代わり「白からはじめる染しごと展」主催で、明日6月26日(土)21時から、本プロジェクトの着物「Blue Blessing」や他の出品作にコーディネート提案を行うインスタグラムのライブ配信を行います。友禅作家さんや帯締めを出品される方が、「Blue Blessing」に帯や帯締め、帯あげをコーディネートしてくださるそうです。以下をご参照ください。
https://www.instagram.com/shirokara_kai/

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写真は第1回「白からはじめる染しごと」展でのコーディネートコーナー。

【第2弾】山鹿にプロジェクトメンバー初集結&仮絵羽仕立て初公開

本プロジェクトはコロナ禍のさなかに開始したため、メンバー4人はこれまで一同に会したことがありませんでした。下写真は5月3日のzoom会議。

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2021年7月10、11日にメンバー4人が初めて山鹿に集結して、ここで初めて「絵羽に仮仕立てしたプロジェクト着物Blue Blessing」を発表します。

仮仕立てとは、着物の衿(えり)、身頃(みごろ)、袵(おくみ)などの各部を裁断し着物の形に縫いつなげた簡略な仕立てのことで、これまで反物だったものを着物の形でお目にかけます。メンバーも初めて「Blue Blessing」を実見します。

本来は賑々しくお披露目の会をしたかったのですが、このご時世、無観客で行います。しかし、その模様を連載第34回「山鹿集結篇」として、7月16日(金)にご報告します。日が空きますが、よろしければまたぜひお訪ねくださいますよう、プロジェクトメンバー一同、心よりお待ちしております!

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【第3弾】「蚕から糸へ、糸から着物へ」プロジェクト動画を作成&発表

7月10日にせっかくメンバーが集合するのだから、動画を作成することが決まりました! 強力な協力者を得て、ただいま企画を練っているところです。「Blue Blessing」を味わいながらメンバー自ら解説し、本プロジェクトを総括する本格動画です。こちらは8月半ば頃を目標に完成させ、連載第35回として配信する予定です。遅れたらごめんね。

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【第4弾】新たなる出会い

期日は未定ですが、第5のプロジェクトメンバー、すなわち今回のプロジェクト着物をお買い上げくださった方のお許しを得られれば、お召しになった感想などご報告したいと考えています。実現したら第36回になります。

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【第5弾】もうひとつのシルクロード
第15回お蚕さん番外篇⑬「毛羽の生き方」でご紹介しました、選除繭(せんじょけん)や毛羽などで作品ができましたら、ご紹介します。こちらも期日未定です。

⑩毛羽と毛羽の糸

【第6弾】未来のシルクロード
春と秋の年2回養蚕を行っている花井雅美さんは、2021年春、春嶺鐘月(しゅんれいしょうげつ)の繭を育てました。なんと、今回も素晴らしい出来だったそうです! その喜びを皆さまと分かち合いたく、6月11日(金)に花井さんからメンバーに送られたメールの一部をご紹介します。

春蚕は猛暑に大雨と、なかなか大変な天候でしたが、脳みそ体力共にフルスロットルで最後の一滴まで絞り倒したので、どんな結果でも後悔なく受け入れる覚悟で収繭に挑んだ結果、めーーーーっちゃ、成績の良い春繭でした!
ここまで収繭量が良いと、逆に、ぎゃーくーに、びっくりしました。
ありがとう、、、お蚕さん。。。
育蚕中、中島さん、吉田さん、安達さんの、仕事に向き合う真摯な姿勢と情熱を、皆さまのメールと更新されていくnoteで感じながらパワーをいただいておりました。ありがとうございました。(6月11日 花井さんのメール)

そんな花井さんの春繭をぜひ見てみたいと思いませんか?

もう、すでにご覧になっていますよ。タイトル文字の上に置かれたトップ写真です。これまで何度となく掲載してきた今回のプロジェクト繭、2020年の秋繭ではなく、2021年春、できたてホヤホヤの春繭、冷凍前の生繭です。

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なんと、こちらから再び着物を作る計画が! 今回の春繭、花井さんが個人で買える生繭5.5㎏(上の写真)を、現在冷凍保存中です。

ご希望があれば、吉田美保子さんが行っているONLY ONLYのシステムで、完全誂えの着物を制作することができます。さらに、それ以前の糸づくり段階から、着る方の好みで糸の太さや撚り加減をオーダーすることも可能です。

「蚕から糸へ、糸から着物へ」プロジェクトは、購入してくださる方がいて初めて継続してゆける企画です。

ご希望の方は、最後にあります「染織吉田」サイト内「お問い合わせとご相談」からお願いします。
写真は2021年6月8日に撮影した、営繭(えいけん)中の春嶺鐘月。

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■「森羅万象にありがとう」

2020年7月3日、吉田美保子さんと一緒に初めて山鹿の「お蚕ファーム」を訪問し、花井雅美さんの養蚕に対する姿勢に思わず涙してから1年足らず。

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山鹿から埼玉、神奈川と追った「私たちのシルクロード」は驚きと感激の連続でした。その過程は歴史を追うようであり、人の生き方を学ぶようでもあり、着物記者歴30年のキャリアなどでは全然足りず、いつも背伸びして取り組んだ難しい仕事でした。と、同時にこのような貴重なプロセスを私が書かせていただけることを、この上なく有り難く、幸せに思いました。

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花井さんの仕事にも、中島さんの仕事にも、吉田さんの仕事にも、私はそこに「神」を見た思いがしました。「まごころを込めた真摯な仕事には神が宿るのだ」と。それは特定の宗教ではなく八百万の神とでもいいましょうか。

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吉田さんの作品を見て、シルクの文化を守り、育て、愛した、神々の降臨を見る思いがして、尊いと思いました。存在そのものが祝福される着物。それを身にまとうことは、すなわち大いなるパワーに包まれるということだと、そう思うとワクワクした気持ちになりました。

第32回に掲載した吉田美保子さんの言葉と同じ言葉を、ここに捧げたいと思います。「森羅万象に感謝します。本当にありがとうございました。」

最後は、柳川千秋さんが作成してくださった、本連載を振り返る動画をお届けします。33回分の連載が、ぎゅっと凝縮されて3分50秒の動画で見られます。作ってくれたのが今で良かった! 始めに作ってくれてたら、誰もこの連載を読んでくださらなかったかも。

と、いうことで、まだまだお目にかかる機会もありますので、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。少し先になりますが、次回7月16日(金)にお会いしましょう。

*本プロジェクトで制作した着物「Blue Blessing」を、お一方にお頒けいたします。ご希望の方、あるいは検討をされている方は、下の「染織吉田」サイト内「お問い合わせとご相談」にご連絡をお願いします。


よろしければサポートをお願いします。いただいたサポートは、本プロジェクトを継続させていくために使わせていただきます。