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「挑戦するな」に立ち向かい、グループホーム設立!~グループホーム設立秘話 前編~

こんにちは!
外部広報担当の三好です。

今回は読谷村・嘉手納町に8ヶ所あるという海邦福祉会のグループホームへ。
まずは福祉初心者としてグループホームとはどのようなところか、そして県内8ヶ所を続々と開拓した秘話を歴史とともに伺ってきました。今回もやはり!濃ゆいお話だったので、前編と後編の2本立てでお楽しみください。

「障がいが軽い人は、もっと自由でいいはず」。グループホームを作りたかった理由

さてさて県内に8ヶ所(!)あるグループホームですが、実はここまで増えるとは予想していなかったそうで。グループホーム設立の最初のはじまりは、前回お邪魔した入居施設に、理事長・知念隆生さんが抱いた疑問からはじまりました。

その疑問は

「なんでここの入所施設には、こんなに障がいが軽い人が多いんだ」

というもの。

ちなみに「入所施設」と「グループホーム」との違いは入居者の自由度にあるそう。「入所施設」は住まいから活動まで、すべてが施設内で完結します。つまり地域生活が困難な方が入居する場所。一方で「グループホーム」は、入居者が“暮らす”場所。それぞれ自分の部屋があり、仕事や外出は自由。好きなミュージシャンのコンサートに行ったりもします。

自分のお部屋もあります

当時、海邦福祉会にグループホームはありませんでした。隆生さんは「今入所施設にいる障がいが軽い方に、自由度の高い暮らしをさせてあげたい」と、グループホーム設立を推し進めました。

とはいえ理事長インタビュー記事でも書いた通り、当時の方針は「とにかく挑戦するな」であり、ポリシーは「安心安全例年どおり」。例のごとく「やったことがないことはやらないにこしたことがない」と一蹴されてしまいました。が、これまた例のごとく隆生さんは諦めず、何度も何度も掛け合いました。

「挑戦するな」に立ち向かい、平成20年グループホーム設立

ここで少し、ライター三好の個人的な所感を書かせてください。
先日テレビで「会社がホワイト企業すぎて退職する若者が増えている」という雇用のトレンドを知りました。成長実感がないからだそうです。若者たちが番組インタビューに対し「上司に怒られない。気を遣われすぎている気がする」と話し、おじさんたちが「今の時代怒るのはリスクですよ」と語っていました。私はそれを見てすごく「なるほど」「どっちの気持ちもわかってしまう」と思いました。

「ここにいたら自分がだめになる」と思ったらやはり、辞めるのが一番早いです。今や終身雇用は過去の話。成長実感がない会社に居続けるのは恐怖しかない。

だけど隆生さんは辞めることを選ばなかった。かといって成長を諦めることもしなかった。「挑戦するな」という方針に立ち向かう、という挑戦を選んだ。正確にいうと辞めようと思った時期もあるそうですが、辞めるならあっちから辞めてくれと言われるまでやってやろうと思ったそうです。

それは親だったから、家業だったから続けられたという見方もあると思いますが、逆に実の親であり社長に「挑戦するな」と言われるのって、相当心がくじけることじゃないかと思うんです。私だったら辞めて、他の会社に行くか起業するかして「成功して親に見せつけてやる」とか思っちゃうかも。だけどこの場所で、両親のもとで、辞めろと言われない限りは戦おうと決めた。それってやっぱり凄いことだと私は思いました。

ー話を戻します。
グループホームという場所をつくることは必然的に、今ある入居施設にいる症状が軽い方をグループホームに移し、障がいの重い方をたくさん入れるということ。現場や上から色々な反対意見があがるのは理解できますし、まして挑戦しないことがモットーなら「やらないにこしたことはない」となるのは当然です。が、隆生さんはあらゆる検証や数字を駆使して稟議を通し、結果、平成20年にグループホーム1ヶ所目の開設が決まりました。

読谷村のグループホーム「琉華」

「うちの区内で何をはじめる気だ」と区長が乗り込んできた!

隆生さんは1ヶ所目を開設するにあたり、あらたに「世話人」探しをスタートしました。世話人とは利用者に必要なサポートを総合的に行う人で、グループホームには必ずひとり必要なのだそう。そこで地域で働ける人を探していたところ、またひとつ壁にぶつかったと隆生さんは言います。

隆生さん「当時の区長さんが事務所に乗り込んできたんです。『うちの区内で何をはじめる気だ!』と。」

もちろん隆生さんは丁寧に説明をしましたが、障がい者の方が利用するグループホームと言われても、馴染みがないとピンときません。納得ができない区長さんから「わからないものに地域の人を紹介することはできない」とぴしゃりと言い放たれてしまいました。

が、この後予想外の展開が起こります。ここからのお話、私はとっても好きな展開でした(笑)。ということで後編へ続きます。


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