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【インタビュー】海邦福祉会理事長が理事長になるまで〈後編〉

こんにちは。
外部広報担当の三好です。

さてさて、前回は波乱万丈に理事長に就任した海邦福祉会理事長・知念隆生さんの事業継承や修業時代についてインタビュー内容を書かせていただきました。

後編では、県外福祉施設での修行を経て芽生えた福祉感や、事業継承後の葛藤や課題、乗り越え方などをご紹介!前編を読んでいない方はまずは前編からどうぞ。

前編はこちら
https://note.com/kaiho_fukushi/n/n3c4d41a7449a

修行を経て沖縄へ。まったく違う環境に唖然

日中は施設で就労し、就労後も障がいを持つ方と同居するという、24時間365日福祉に関わりながら3年半をすごしたのち、沖縄へ戻ることが決定しました。

障がい者の方との関わりしかり、経理や新規事業経験もある超即戦力の隆生さん。さらに大型施設で13年間勤務し、総務主任を務めた恵さんを連れて帰ってきたのだから、それはもう大歓迎されたに違いない...と思いきや。

隆生さん「帰ってきてまず驚きました。育ったところは最新の福祉を経験させてくれる環境だったことに対し、ここはとても古い体制が敷かれていて。育ったところは『とりあえず挑戦しろ!責任はとるから!』という方針だったんですが、こっちは『とにかく挑戦するな』という方針で。」

ギャップに驚いた隆生さんですが、修行で得たことをここで活かすことが使命だと考え、新しい挑戦を次々と提案します。が、長く古い体制でやってきたため、変化を受け入れてもらうことは容易ではありませんでした。

隆生さん「最初は宇宙人を見るような目で見られました。熊本と沖縄の障がい者は違うとまで言われて。とにかく相当嫌われました。だけど今思うと、彼らは僕が学生の頃からここで働いて、施設を守ってきた自負がある。彼らからしたら僕は『施設長の息子のアホな中学生』のままです。当時はサーフィンばっかりしてたし、あいつが継いだら潰れるぞと言われていたので。だけどそのアホな中学生がキャリアを積んで突然現れたら、それはたしかに受け入れるのも難しいかもしれませんよね」

先代のポリシーは「安心安全例年どおり」

とはいえ3年半もの間、濃厚な修行を重ね、新しいことにも果敢に挑戦してきた隆生さん。古い体制を受け入れることはそこで得た経験を無駄にすることになるし、その選択は「いずれ経営に携わるから」と、多くを学ばせてくれた修行先の理事長にも失礼だと感じました。そこで現場を改革していくことの同意を求め、理事長であり実の両親に交渉に行ったそうです。

隆生さん「僕は熊本でいろんなことを勉強してきた。アホな二代目がいいのか、それともどんどん勉強して経験値を高めて、それらを活かしながら経営する二代目がいいのか、どっちがいいかと迫りました。そしたらなんて言ったと思います?前者で、と言われたんですよ。今の状態を維持したいと。それを聞いた瞬間、ガクッとなりました」

聞けば、先代のポリシーは「安心安全例年どおり」。

それならなんのために自分は熊本まで行って、ここに戻ってきたのだと隆生さんは絶望しました。そのときの記憶は鮮明に残っており、座喜味城址の駐車場で恵さんと「どうする?熊本帰る?」「どこか別の施設で働く?」と話したといいます。が、今となってはそれも笑い話。やはりこのまま辞めるのは悔しい。どうせ辞めるなら、いっそ追い出されるまでやってやろう!とふたりは舵を切ったのです。

約10年の戦い。そして、チャレンジできる環境へ

そこからふたりの長い戦いがはじまりました。まず隆生さんは、新しい企画をどんどん提出。が、出しても出してもほぼ100%の確立で「ダメ」。企画書はいつも真っ赤な状態で戻ってくるのです。

隆生さん「何をやってもダメだと思わせる作戦だったんでしょうね。だけどその真っ赤を毎回クリアにして、何度も何度も再提出しました。本当に何度もです。すると最後、赤くするところがひとつもなくなったときに印鑑をやっと押してもらえるんですけど、なんて言われたと思います?『私は知らんからね!』って言われたんです(笑)。印鑑をつきながらですよ。」

とにかく企画を出し、真っ赤になったものを全部クリアにして戻す。印鑑をついてもらうまで絶対に諦めない姿勢を貫いた隆生さん。修行先の理事長に講習にきてもらうなど、説明もあの手この手で行いました。とにかくあらゆる手を使い、やらざるを得ない状況をつくる。その繰り返しです。

隆生さん「気が遠くなるような日々でした。だけど、何度も諦めずにやり続けることによって『自分たちのやりたいことはこうやってやるんだ』ということを周りに見せることができたのはよかったです。10年くらいかかりましたが、今はスタッフがいろんなことを挑戦できる環境を整備していますし、そういうメンバーが集まっています」

隆生さん「今は以前と比べ、重度の人も受け入れるようになったりと大変なことも増えましたが、その代わりスタッフが挑戦できる環境を整えました。たとえばスタッフから『入居者の自宅に家庭訪問に行く』という案が出て、実行したことがあります。訪問先で喜んでもらえたし、そこでご両親から話を聞くことでスタッフも勉強になったと言っていました。全員が自発的に考えて、つねに変わり続ける法人でありたいと思います」

現在の基本理念「笑顔と心ある場所づくりを共に」も、メンバー全員で言葉を出し合って考えた標語なのだそう。そしてメンバー全員分の理念を背負うかのように、隆生さんはとても豪快に笑う人です。その隣で微笑む恵さんの笑顔も、終始やさしい印象でした。(とっても大変だったはずなのに...!)

10年もの苦労を笑い飛ばしながら「笑顔と心ある場所づくりを共に」できる環境となった、社会福祉法人海邦福祉会では、現在あらたなメンバーを募集しています!学び続けたい、本当に自分が納得できる福祉を追求したい、という方にぴったりかと思います。
気になる方はぜひ⇩をチェックしてくださいね。
https://www.kaihofukushi.com/recruitement.php

次回はついに、ホームの見学に行ってきます~!


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