見出し画像

なんしちょーてて、出雲弁日記#1

バス移動は腰がえらい。

えらいって大阪の友達に言っても伝わらんかったなあ、とか思いながらラジオを聞いて外の景色を眺めちょったら、だんだん故郷に向かいバスが動いていく。途中、山が白く雪かぶっちょって綺麗だった。

なつかしき出雲地方、バスの車窓からの眺めはいつ見てもいい。

意外がられるけど、出雲は結構雪国で、喋り方もはっきり口を開けんズーズー弁に近い喋り方をする。だけんか少し東北訛りに似てて、そこに九州のイントネーションをちょっと拝借したみたいな感じに近いかもしれん、と勝手に思う。
近くだけど広島とか愛媛とかの人と喋ると、あんまり似とらんなあ、という気がする。

実家に帰って寝ながらスイカゲームしちょったら、「なんしちょーてて?」が飛んできた。
妹の最近の流行語らしく帰省中何回も聞いた。
私のいないところで何しちょー?って意味で聞いとるんだと思うけど、前はそんな言葉、言っとるの聞いたことなかったのに、どっかから貰ってきただな。

言葉は自分で作るより、人から貰うものなんだな、と最近思う。

私は一人暮らしを始めてしばらく、自分の方言が関西訛りになることに抵抗があった。

関西弁は大好きだけど、もちろんネイティブにはなれんし、せいぜいエセ関西弁にもならんし、どっちつかずで気持ち悪い。

なにより出雲弁は私の大きなアイデンティティであって、軸と言ってもいいくらいに大事なものだ。
だけん関西に限らず、標準語的に自分の方言が薄まるのも、他の方言の影響を受けるのも、あまり好きじゃなかった。

私がどんどん形を変えて、私じゃなくなっていくような気がして、しばらくは友達の言葉も、自分と切り離したところに置いとった。

けど、最近は新しい外の社会で出会った、大事な人たちが新しい言葉をたくさんくれるから、大事な人たちのくれた言葉で、今の私が出来てるって感じがして、なんか好きになってきた。

当然ながら妹も家族や、外の社会や人と関わって生きとるわけで、誰かからインプットして来た言葉を自分に落とし込んで、新しい語彙を増やして使っちょーのんだな、と思うと不思議な感じがした。

それが誰か、大事な人からもらったものなら嬉しいな、と姉心に思うのであった。

「そろそろかえーけん、ほんなーね」
おばーちゃんがお土産いっぱいくれた。ちょっと多かってはらふと。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?