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幸せを感じれないことがいちばんの幸せなのかもしれない
知ることは恐怖だ。
新しいことを知るのはいつだって怖い。
知るたびに、無知な自分を恥じねばならないからである。
「もっと早く知っていれば」と、これまでの人生を嘆くことになるからである。
知ることは不幸である。
しかし、不幸を感じることで幸せを感じれるのが人間である。
つまり、知ることは幸せなのである。
『ビヨンド・ユートピア 脱北』という映画を観た。
北朝鮮から脱北を試みる人と、脱北者を手助けする人の一部始終を映した、ドキュメンタリー映画である。
再現映像は一切使われていない。
朝鮮人が祖国から逃げる様子が映像として記録され、世界中に公開されているのである。
世間知らずな私でも、この映画がとても貴重な映画であることは想像ができる。
北朝鮮の残虐性については、なんとなくだが知っていた。
独裁政権、管理社会、共産主義、
国民にアメリカや日本を敵だと教育していることや、
政権を批判した国民は厳しく処罰させられること、
国民のほとんどが貧しい生活をしていること、
脱北を試みる人が何人もいること、
知識としては、北朝鮮がどんな国であるか、ぼんやりとは知っていたが、その様子を実際に見たことはない。
脱北を図る人がどんな氣持ちでいるか、政権に都合の悪い働きをした人やその家族がどんな仕打ちを受けるのか、処罰の実態はどんなものか、
それらを映像を通して伝えてくれたのが、『ビヨンド・ユートピア 脱北』である。
同じ地球で暮らす人間として、絶対に見ておかなければならない映画だと思う。
この映画の内容は過去の話ではなく、今起きていることなのである。
人類はこれまでに何度も権力や武力を使って国を支配してきた。 13世紀のモンゴル帝国、16世紀のスペイン、ナチスドイツ。今の成熟した金融戦争社会で過ごしていると、それらは遠い昔のことのように思えるものだが、未だに自国民を武力や権力で支配しているかのような独裁国家が存在しているのである。
韓国人であるキム・ソンウン氏は、これまで1000人以上の脱北者を手助けしてきた。この映画は、キムさんの脱北支援活動を軸に、2組の脱北者に焦点が当てられている。
80代の老婆と子供2人を含めた6人家族が、実際に脱北する様子を密着で撮影したものと、
脱北者で韓国在住の母が、北に残してきた息子を脱北させるために手引きする様子を撮影したものと、
両組がキム・ソンウン氏の支援のもとに脱北の計画を遂行する。
映画で語られた北朝鮮の真実にも驚いたものだが、この映画の制作陣にも驚かされた。
実際に脱北する人たちに密着して取材をしているのだから敵わない。
死の危険が大いにある撮影である。制作陣の想いには心から敬服する。
私はこの映画を見て、今の人生がどれほど幸せかを実感した。
三十余年の人生、うまくいかないことを嘆いた日々も多かったが、そんな日々がどうでもいいことのように思えた。朝鮮人の苦悩に比べたら、日本で起きる悩み事なんて全部大したことないのである。
80代の老婆は脱北中、「今が一番幸せ」と口にした。
隣国中国で仲介者に助けられた際、まだ越えなければならない危険な国がいくつもある状況で、「80年生きてきて今が一番幸せ」と口にしたのである。
いったいどれほどの人生だったのか、私には想像もできなかった。
皮肉なのは、朝鮮人のほとんどの人が、北朝鮮という国の実態を知らないということだ。
偏った教育と国外情報の遮断によって、例えば今の日本のような豊かな生活があることを知らない。
ある意味では幸せなのかもしれない。
脱北に成功し、北朝鮮の真実を知り、韓国で安住の地を得た50代の方は映画の中でこう溢した。
「もっと早く知っていれば」と。
人間、幸せを感じれないことがいちばんの幸せなのかもしれない。
幸せを幸せと認識できないまま死んでいくのがいちばんの幸せなのだと思う。
だから、我々ば知らねばならないのだと思う。
少しでも、幸せを幸せと実感するために、
世界の実情をもっともっと知らなければならないのだと思う。
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【3月22日】
新作公開 / 制作クラウドファンディング開始
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あと31日
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