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【サイレンの音は突然に】20代大病体験記 #02

#01に続く今回は 、脳に腫瘍を抱えた状態だったが、急ではないということで手術まで職場に戻ることになった社会人1年目の話である。なお、このシリーズでは脳腫瘍の病気についてよりも患者の日々の感情の変化やその時見えた光景について書いていこうと思う。

部長お疲れ様です

何日か経って職場に通常通り戻ったのだが、仕事中は何も異変が無い。
それどころか意図的なのか手術することも伝えられていなかったと思う。
ただ分かっているのは、頭の中に腫瘍というモノがあるということ。
知らないこともスマホですぐに調べるだろうに、当時は目を背けていたのかもしれない。

※ここからは記憶が飛んでいるので、聞いた話や後日思い返した話が大半になります。

退勤時間になり、残務を片付けていた頃
先に部長がお帰りになるということで、帰り際に「部長お疲れ様です」と挨拶をした。
その瞬間、身体中の力が抜けた。

気が付いたら、サイレンの発信元にいた。なんと、救急車に乗っていたのだ。
自分でも意味が分からない。なんで酸素ボンベが付けられているのか。
しかも、先にお帰りなったはずの部長が目の前にいらっしゃる。
状況が飲み込めなかったが、身を任せてそっと目を閉じた。

気が付いたら夜も深くなっていた。
どうやら、職場でそのまま倒れたみたいだった。
そして、1週間前に退院したはずの病室に戻っていた。

なんでここにまた?

それ以下にも、それ以上にも思うことは無かった。


次回、ただ過ぎる時間に


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