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her herbs #02 Chamomile




彼女にとってハーブは、かけがえのない友人であり、パートナー 。
愚痴を聞いてもらったり、慰めてもらったり、分かち合ったり、後押ししてもらったり、導いてもらったり、たまに、甘えてみたり。
ハーブ達はそんな彼女を、ただ見守り、寄り添い、受け止めてくれる。
これは、彼女とハーブとのあいだに生まれた、いつかの(いくつかの)ラブストーリー。



"her herbs" は、ハーブをひとつの生命体と捉えたパラレル・ワールドを舞台にした、kaiによるオリジナル・ライトノベルです。
この物語の主人公は、あなたです。どうぞ、あなた自身と重ねて、ハーブの物語を読み進めてくださいね。
物語のあとに、それぞれのハーブの性質や解説を添えています。
ハーブが好きなあなたも、ハーブに馴染みのないあなたも、どうぞ、ハーブの世界を覗いてください。

*解説部分では、さらに詳しく今回のハーブの性質や使い方を説明しています。ハーブティーの淹れ方や、料理に用いるヒントなども。気になる方は、ぜひ最後までお読みくださいね。


今回は特別に無料記事となります。







her herbs #02 Chamomile




子供のころは毎年、春休みになると山の麓に住む伯父さんのもとで過ごしました。
伯父さんの名前は、カモマイル。
背がひょろっと高く身体の線も細いけれど、一本芯の通った頼もしさのようなものが、どこか感ぜられました。私はカモマイル伯父さんのことが、大好きでした。
カモマイル伯父さんは、絵描きさんでした。
晴れた日には、キャンバスを抱えて「となりのトトロ」のサツキとメイの家の庭くらいに広い庭の一角に、べたんと座り込み、そのへんに生えている野花を描いて1日を過ごしていました。日よけのカンカン帽をちっちゃな頭にちょこんと乗っけて、まる眼鏡を掛けてじーっと植物を観察しながら描くその姿は、まるで牧野富太郎さんみたいだったな。
私はその横にレジャーシートなんかを広げて、昼寝をしたり、絵本を読んだりして過ごしました。私が暇をもてあましてキャンバスをそーっと覗きこむと、それに気づいたカモマイル伯父さんは、手を止めてまわりの草花をサササと摘みとって、簡単な花束を作ってくれました(庭の至るところに咲くマトリカリアは、かならず入っていたと記憶しています)。


「おめでとう」

カモマイル伯父さんはそうやっていつも、「おめでとう」と祝福のことばを私にかけながら花束を渡してくれました。
はて、とくになんにもおめでたいことは、いつだって思い当たりませんでしたけど、花束をもらって祝福なんかされた日には、なんだかそわそわとね、うれしくなったものでした。

カモマイル伯父さんは言います。


「生命は冬に死を迎えます。
そして、春になってまた生まれます。春は生まれ変わりの季節です。
春の花は、生まれ変わったこの世界を祝福するために咲くのですよ」


「いいですか、
生まれ変わる前には、一度、死が訪れるものです。
何かが終わることや何かを終えることは、
同時に、始まりでもあるのですよ」



そういえば、カモマイル伯父さんは昔、産婦人科のお医者さんをしていたそうです。
いやぁ、僕はどうしたって、「生命の始まり」を祝福するのが好きみたいです、と、春を迎えたこの世界をキャンバスに写しながら、カモマイル伯父さんは恥ずかしそうに、へへへと笑ったのでした。


Illustlated & Writing by kai





Chamomile カモミール

Matricaria rectita


【theme】 (ハーブのエネルギーが持つテーマ)

始まりを祝福する


【character】 (ハーブの性格 ・ 人格 ・ 個性)

カモミールは、細身の体型だが、豊かな生命力と包容力を兼ね備えた男性です。共感力が高く、女性的で柔軟な感性もあわせ持ち、同性愛者として生まれる場合も多い。芸術と花をこよなく愛している。人の良いところを見つけるのが上手で、誰かを応援したり、サポートすることに生きがいを感じ、頼られると力を発揮します。人生の切り替わりのタイミングで出会うことが多い。卒業式や入学式、結婚式などのセレモニーにはかならず出席するタイプ。


【chakra / aura】 (ハーブが対応するチャクラとオーラ)

第2チャクラ・第3チャクラ・第5チャクラ / 黄緑


【erements】
(火・水・風・土のうち、どのエレメントを多く持っているか / また体を温めるか冷やすか)

水、火 / 温めすぎず、冷やしすぎない(中庸)


【explanation】 (解説)

属名の「Matricaria(マトリカリア)」は「子宮」の意味を持ちます。子宮は「始まり」の臓器ですが、カモミールはまさに、あなたの人生が「始まりの時」を迎えるタイミングや、あなたが「生まれ変わる」時に、あなたの元を訪れます。
逆に言うと、無性にカモミールの存在に惹かれたり、思いがけずカモミールに出会った時は、「人生の切り替わり」や「新しい人生に踏み出す時」ということなのです。

カモミールは火と水、両方のエレメントを持つバランスの取れたハーブで、受け取る人によって差し出すエネルギーを変化させる特性があります。
例えば、その時のあなたに水のエレメントが必要なら、気持ちを落ち着かせ安心させてくれます。
火のエレメントが必要なら、勇気を与え、決断する力や意志を高めます。
カモミールはそれぞれの状況や環境に合わせて、その人の「始まり」をサポートをしてくれるのです。

人生が変化する時、人は不安になるものです。その時は、カモミールにたくさん相談をしてください。カモミールはあなたの「始まり」をしっかり支えてくれるでしょう。
また、カモミールは子宮のエネルギーも安定させると言われています。子宮が不調だと感じるときは、エネルギーを分けてもらうと良いでしょう。



【how to use】


~for herbal tea

・「カモミール」という名前をいろんなところで立て続けに見聞きした時や、カモミールティーにふと心惹かれた時、思いがけずカモミールティーをプレゼントされた時は、あなたが転機を迎えたり、新しい出会いを体験することを知らせるメッセージです。カモミールティーを飲んで、新しい時間を迎えましょう。

・引越しや転職、転勤、入学など、生活環境が変わるタイミングでカモミールティーを飲むと、その時のあなたに必要なエネルギーが与えられ、気持ちよく人生の新しいスタートを切ることができます。


カモミールティー以外にも…

・生花のカモミールを収穫してすぐに枝ごと水に浸し、ハーブウォーターにして飲むと美味しいです。

・ミルクティーもオススメです。


もちろん、「転機」や「始まり」を迎えようとしているタイミング以外でも、カモミールティーをぜひ飲んでくださいね。
カモミールが1番力を発揮するのは「始まりのタイミング」ではありますが、それ以外で飲んではいけないということではありません。
特に、子宮が不調だと感じるときは、ハーブティーを飲んでみると良いでしょう(ただし、治療や痛み止めなどの効果はありません)。

また、カモミールは中庸のハーブなので、1日のうちどの時間帯に飲んでも身体への負担はありません。また、その人の状況や環境によっては体を温めたり、冷やしたりしてくれます。カモミールはとてもバランスの取れたハーブなのです。



[カモミールティーの淹れ方]

乾燥カモミールをティースプーン1杯程度(約1〜2g)
80〜75度のお湯を350cc
蒸らし時間 / 5〜6分

沸騰してから2分〜3分程度時間を置いたら(だいたい80〜75度くらい)、ゆっくり注ぎます。しぶきを上げないよう注意しながら、細く、静かにお湯を注いでください。お湯を注いだら蓋をして蒸らします。オススメは5〜6分ですが、さらに長めに置いても良い。
カモミールは、沸騰直後のお湯より、75度くらいの粗熱がしっかり落ち着いたお湯のほうが、甘みが引き立ち美味しく入ります。カモミールにとってもその温度のほうが負担が少なく、力を存分に発揮できます(個人的なオススメは、さらに低めの70度〜65度のお湯で10分ほど置いてから飲むのが好きです。ぜひお試しください)



[カモミール・ソイミルクティーの淹れ方](1人〜2人分)

紅茶葉  ティースプーン1杯〜1.5杯 程度(約3g)
乾燥カモミール ティースプーン2.5杯 程度(約4g)
水 100cc
無調整豆乳 300cc
塩 ひとつまみ
メープルシロップ お好みで

① 鍋に紅茶葉と水を入れて、火にかける。沸騰したらクツクツとなる程度の弱火で1分。
② 1分経ったら火を止めて、①に乾燥カモミールを入れて全体をなじませて、密閉しないよう軽く蓋をして2分蒸す。
③ ②に豆乳と塩ひとつまみを加え、中火にかける。泡がフツフツと浮いてきて、沸騰直前になったら火を止めて、密閉しないよう軽く蓋をして1分30秒蒸す。
④ 茶こしで茶葉をこして、お好みでメープルシロップを加えたら、出来上がり。

Point
・豆乳は牛乳よりもコクや旨味が薄いので、代わりに塩をほんのひとつまみいれると美味しさがアップします。
・豆乳は封を開けてからあまり時間が経っていない、なるべく新鮮なものを使うと美味しい。
・このレシピは牛乳でも代用できますが、牛乳の場合は塩は入れません。
・牛乳の場合はハチミツがオススメですが、豆乳はメープルシロップの方がよく合います。ぜひ甘みを足して、召し上がってくださいね。

※ハーブの量は目安です。ハーブの保存状態や産地、種類によって重さは大きさが異なります。ご自身の感覚を1番信頼して淹れてください。

  



~for living

・引っ越しをした時や新しい仕事をした時などは、部屋に生花のカモミールを飾ると、新しく始めた物事を軌道に乗せたり、安定させてくれます。

・友人や家族の引っ越し祝いや結婚祝い、開店祝いなど、「始まりのプレゼント」として生花のカモミールやカモミールの苗をプレゼントしたり、カモミールティーをプレゼントすると、その人へ祝福のエネルギーを送ることができます。また、新しく始めた物事を軌道に乗せたり、安定させてくれます。

※花屋さんでカモミールが見つからない場合は、マトリカリアでも良い。




~for cooking

・ドライのカモミールを粗めのザルや濾し器などでふるいにかけ、花粉と花びらを取り出します。花粉と花びらは粒が細かいので、そのままお菓子に入れてカモミール風味を楽しむことができます。スコーンやパンケーキ、クッキーの生地などに混ぜ込んでみてくださいね。


[カモミールのパンケーキやスコーンに、ママレードを添えて]
カモミールの茶葉を食べた時にほんのり感じる苦味と相性が良いのは、ママレード。ぜひ、カモミール風味のパンケーキやスコーンに添えて味わってみてくださいね。

[カモミールとホワイトチョコのパウンドケーキ]
カモミールとホワイトチョコレートの相性が良く、特にパウンドケーキにすると美味しいです。


カモミールの細かい花粉と花びらはお菓子に使う。ホワイトチョコレートと好相性。




【guide for safety】 (使用時の注意)

・副作用などは知られていない。

・出産前後半年を除く産前産後の妊婦さん、3歳以上のお子さんも飲めます。
                                            

【! attention !】

・飲用後に異変を感じたら、飲用をやめ、必ず医師にご相談ください。

・当テキストは、医療・治療のためのものではありません。また、感じ方には個人差があります。

・当テキストは、kai自身が約10年間のあいだに行なった約1,500人のクライアントとのハーブを使った個人カウンセリングでの経験や、ハーブの声を受け取って独自に構築したオリジナル・テキストです。そのため、他文献と解釈に差がある場合がございます。ご理解いただきますようお願いいたします。

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