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自分で明日を楽しい一日にする

「明日はこんな一日にするぞ~」
という理想がある日がある。

「明日はまず映画館でこれを見て、次にあれを食べて、その次に〇〇ちゃんに会う。あの好きな道を歩いて、〇〇の話をする。うん、イケてる一日になりそうだ。」

というところまで決めてある。考えるだけでニヤけてしまうような一日である。
わたしは何か予定を立てる時、自分の理想の一日がある時だけやたら積極的に動く。
遊ぶ当日になって、「なにするどこいく~?」も、もちろん嫌いではない。行き当たりばったり人生を送ってきた私だ。もちろんそれで楽しい経験もたくさんしてきた。

この理想の一日の件に関しては、なんというか、「人に楽しませてもらったり、盛り上げてもらうことを期待しない。自分が楽しませる」というのが正しいのかも。
今まで男の子としてきたデートだってそうだ。「うわ!!この道ロマンティックで最高!こんな道で告白されたいな~ねえちょっと告白してみてよ今ここで
なんて横浜のいい感じの道で突然言ったこともある。真顔で「俺、、ずっとかほちゃんのこと…」と寸劇が始まっても面白いし、「なんでだよ嫌だよ」
と笑いながら言われても楽しいから、別に告白はされてもされなくてもよいのだ。「こんな道で告白されたいな~(チラッ」と心で思ってるより、ずっと楽しい。「期待しない」というのは悪い意味ではなくて、「楽しくなりそうなら自分から言っちゃおう、やっちゃおう」というスタンスなのだ。

というわけで、昨日は「私の理想の一日」という企画に白羽の矢が立った遊びたい友達を遊びに誘って、「八王子に帰るから、入りにくいお店に入る会をしようよ」と提案した。
「いいね」と二つ返事があったので、「これはクールな一日になりそうだ」と、海外の映画の字幕のようなセリフが思わず口から出そうになった。

けどとりあえずその前に観たい映画があったので、少々早起きして目黒シネマに映画を見に行った。
昨日は何を隠そう2/1(誰も隠してないよ)。1日は映画サービスデーだ。お酒で脳みそをふやかす前に文化的なものにも触れておこう。

目黒シネマでは、「バッドマン 史上最低のスーパーヒーロー」と「地下室のヘンなアナ」という映画の2本立てだった。

内容は割愛するが、どちらも下半身の話が今まで見た映画の中でも群を抜いて多く、とても文化に触れた感じはしなかった。下半身には触れまくったような気がした。だが内容はとても楽しく、ハッピールンルンのまま電車に乗った。
だがここで私は気づいた。友達に「明日行きたいんだよね」と言っていたお店の閉店時間に間に合わないのだ。頑張れば10分くらいは見れたかもだけど、友達に「迷惑すぎるからまた今度にしよう」と言われて右膝を拳で叩き割った。チクショウ、理想の一日をかたどるピースが一つはまらなかった…。けど別のピースで埋めよう。気の取り直しはめっちゃ早い。
と、電車で運ばれていると次は左膝を叩き割りたくなった。京王線の北野で乗り換えなければならなかったのに、乗り換え忘れて京王片倉まで運ばれてしまったのだ。
「ごめんさらに10分程遅れる」と連絡したら「それが京王線の罠だよ」と悪い男にハマったね、みたいな返事が返ってきた。

ようやく合流して、八王子の街を練り歩いた。

何度酔っ払って歩いたことか知れないユーロード
陽が長くなってきた八王子
八王子で有名な石のオブジェとわたし

今日は「入りづらそうな店」に入るのだから、入りにくい店を見つけなければならない。
八王子には色んな通りがある。今回は中町にある「らぢお」というお店が入りにくかったので入ってみた。

中が見えないイコール入りにくい


お店の中は明るく、立ち飲みの席もあった。わたしたちはちょっと高い椅子のテーブル席に腰をかけ、ビールを2杯頼んだ。

我々の居酒屋を選ぶ基準で「ビールの値段」がある。ビールが600円以上する居酒屋だとここはちょっと高いかもね。となるのだが、ここは500円。一番良い値段だ。
そしてお会計の方法も独特で、竹でできた入れ物にあらかじめお金を入れておく。そうすると店員さんが、食べ物と引き換えにお金を持って行ってくれるのだ。

斬新なシステム


「もう楽しいね…」とわたしは心の中でつぶやいたけど、多分声にも出てた。
ちなみに今回は、「チーズオリーブナッツ系の店の気分ではないよね」という話をしていたのだが、お店の外にメニューが出ていなかったのでどんな料理があるのかドキドキしたが、私たちが一番歓喜するようなお品書きであった。神様ありがとう。

好きなタイプのメニュー

ビールが運ばれてきて、竹の筒の中の1000円が500円玉になって返ってきた。

かんぱい~とグラスをカッチンして、チロっと飲んだところで写真を撮ってもらう。同業の友達にはいくらでも頼めるけど、一般の友達に頼むのは毎度やや気が引けるが、わたしのいじわるな姑の様な細かい注文にも、皆少しも嫌な顔をしないで撮ってくれる。優しい友達を持ちまくって嬉しい。
写真を撮りまくったところでお料理も頼む。

出てきたお料理たちはどれも家庭的な優しい味かつお酒が進みまくる味でマキシマムだった。今、最高と表そうとしたけど、最高という言葉では筆舌に尽くしがたかったので、「最高 類義語」で調べたら、多分あの時のわたしたちはマキシマムと感じていたなと思ったので使ってみた。

マキシマム美味しかった肉豆腐

周りのお客さんたちのボルテージも上がってきたところで、我々は2件目を目指してお店を出た。

八王子の冬は厳しい。天国だったお店の外はあまりに寒すぎた。
正直もうマキシマムな気持ちを味わい尽くしたので、次はチェーン店でも良いかと思うくらいだったが、ホップステップジャンプくらいしたところに中の見えない入りにくいお店があったので、飛び込んでみた。

素敵なママが一人でやっているお店だった。
カウンター席のみだったので、わたしたちは肩を並べて席に着く。

やや酔っぱらって、人生についてくだを巻きだす独身アラサー女たちに、ママは優しく声をかけてくれた。
お酒はいつも通りハイボールを頼んだけど、日本酒なんかもあって料理も美味しい。お腹いっぱいだったのでたくさんは頼めなかったが、次は1件目で来ようね、と友達と固い握手を交わした。
近くに座っていたお客さんとの会話ももポツポツからベラベラへと変わり出した。
夜も深くなってきたところで、わたしたちはタクシーに乗り込んだ。

いつも友達が先に降りるところで、2000円をくれる。合計2000円くらいなのに。
お決まりのように「アンタは1000円よ」と1000円を突き返し、タクシーが再び走り出す。

一人になったタクシーの中、「なんて良い一日だったんだ…」と、ぼーっとする頭でうっとりした。
友達よ、あんたがいなかったらこの一日は成り立たず、映画を見て空を見つめるだけの一日だったかもしれないよ。なんなら映画さえ見に行かず、一日中Twitterとインスタとtiktokをループするだけの日だったかもしれない…アンタァ私の幸せダァ……友達も楽しかったって思ってくれてたらいいな…自分で幸せな一日にするとか言ってるけど、友達がいなければ幸せになれなかった、、、

なんて、幸せに浸りながらお風呂にも浸ったあと、「ちょっと転がろう」と思って転がったソファで、瞼の裏にまた八王子のネオンを見た。

おしまい

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