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(実践編)メガベンチャー VS シード期スタートアップ。 シード PdM が法務・知財で実際にやったこと

こんにちは、アウトドアギアのソーシャルコマース「EXPLAZA」の COO 内田です。今日はスタートアップにおけるPdM(プロダクトマネージャー)が、ホントに0から立ち上げる時にやるべきこと というテーマで書いていきます。

前回はメガベンチャーとシード期 PdM のやることの違いについて記載しました。↓ 2 枚の画像のような違いがあるようねというような事を、こちらの note で記載していました。

メガベンチャー PdM の役割
シード期 PdM 役割


こうみるとシード期 PdM の方が各分野に精通してる必要がありそうですが、そんなことは無いと思っています。メガベンチャーに比べて確実性と確からしさが求められにくいからです。なので、取捨選択して必要なことを決め、知らないことはキャッチアップして具体に落とし込む事 が大事だよね、ということを書いていました。

次に疑問になるのが「どこまでやれば?」という事だと思いますので、今日は、 弊社サービスの EXPLAZA の立ち上げ時期に実際に行ったことをまとめていこうと思います。具体例があったほうがわかりやすいかなと思い。

今回は話にあがることが少ない 法務(特に規約等)・知財(特に商標)・外部サービス利用ガイドライン準拠 に関して特に記していくこととします。どれも初期でも最低限やらないと開発の遅延や予期せぬトラブルに繋がるので大切な項目かなと思っています。


前提 : 立ち上げ時の EXPLAZA はどんなサービス?

まとめやすくするために、そもそも EXPLAZA が立ち上げ時にどんなサービスだったのかに触れていきます。図にするとこんな感じです。

立ち上げ時の explaza の構成と出来ること

アウトドアギアの口コミが投稿できるサービスとして EXPLAZA が存在していて、口コミ対象のアウトドアギアのマスターはアフィリエイトサービス(以下、ASP)を用いて構築していました。部分的に当時の UI でも貼っておきます。

立ち上げ時の EXPLAZA でできたこと

このために EXPLAZA サービス立ち上げで PdM として行ったことは、代表的なものだけで下記のようなものがありました。

EXPLAZA 立ち上げで PdM として行った事

今回は余りまとめられることのない「外部サービス観点(ここでは対ASP)」と「法務・知財(特に商標)」についてまとめていくことにします。カスタマーサポート・UI/UX 観点の話は、色々な方がコンテンツとしてまとめているので、そちらご参照ください。

対 ASP 観点

レビュー対象のギアのマスターデータは ASP からデータを  API で引いてきて作成しました。 ASP からデータを提供してもらいサービス運用をしているので、ASP の決まりごとには従わなければなりません。リリース時には下記の 2 つを意識する必要がありました。

  1. コンテンツ利用観点 : ASP のコンテンツを利用するに辺り遵守すべきこと

  2. システム利用観点 : API を利用するにあたるガイドライン・仕様

それぞれ確認対象と、それぞれを確認する場合のメガベンチャーの場合の担当は下記のようになると思います。全部をまるっと任せられないにせよ、最終的な OK を出せるのは担当と記載したチームになるのかなと思います。

しかしシード期には法務チームは無ければ、貴重なエンジニアリソースを仕様書を探索するために使うかだと悩ましい部分があると思います。なので PdM で巻取れるものは巻取りました。開発観点では複業で入っている kanji くん がめちゃくちゃプロアクティブに読み込んでくれたので、ほぼ任せっきりでしたが…。

具体的にコンテンツ観点でどのように対応するべきことを洗い出したのかを記載していきます。コンテンツの利用方法が記載してある箇所は利用規約やプラポリ・ガイドラインが該当しました。

利用規約やプラポリ、ガイドラインの詳細確認は Google Docs に情報をコピペして、注意すべき箇所があるのかを洗い出してました。具体的にはこんな感じです。

分からない事が出てきた時には 大手サービスを参考にする・PF に問い合わせる 事で確認が可能です。今回も ASP を提供していた楽天さんに問い合わせて、疑問点を潰して EXPLAZA として準拠すべき所を最終確認しました。

ちなみに問い合わせ先の楽天さんもどこか困り顔だったので、「ここまで厳密に確認されたことはなかった…」と言われたので、正直やりすぎかもなと時間の使い方を少し反省はしました…。とはいえ緩く実施するにしても、 レギュレーションに準拠できてるかそうでないかを把握しておくのは大切 なのかなと思っています。そうでないとリスクも何も分からないので。

文章を読んで確認するだけの数時間で、サービスがより健全なものになるならば PdM としては出来る限りの対処はするべきだと思っています。初めは時間がかかりますが、慣れれば規約やガイドラインも 30 分くらいで重要箇所のピックアップが出来るようになると思います。

法務・知財観点

次にサービスとして法務・知財観点です。

法務観点だと 2 つやることがありました。「ASP のガイドラインを自社規約等に反映」と「自社サービスとしての利用規約の作成です」。立ち上げ時の場合は、前者は PdM として動いていたぼくが、後者は知り合いのリーガルの方にお願いをしました。書ける事も少ないので飛ばしていきます。

そのため、知財(特に商標)観点で記載していきます。今年だけでも身の回りで商標の申請を怠っていたためにサービス名を変えたスタートアップを 2 件程確認してます。サービスブランドが確立されてからの変更となると、ブランド毀損もあるので、確実にやらなくてはいけない事なのかなと思います。

なお、サービス立ち上げ時には代表の kazuki が一通りやってました。ぼくの経験は立ち上げ時ではないのですが、やるべきことは変わっていないので今でも使えるやり方だと思っています。もちろんプロの方から見ると他にやったほうが良いことあると思いますが…。

では早速、商標として空いているかを確認して、商標登録をするフローについてまずは記載していきます。

  1. J-PlatPat  で登録済みの商標が存在していないかを確認する

  2. 商標が空いている場合には、商標登録申請を行う

1. 商標の登録済みかどうかの確認方法

まずは J-PlatPat ( https://www.j-platpat.inpit.go.jp/ )を開きます。そして下記のとおりに入力します。

すると下記のような検索結果となります。ここで「名称・区分」が一致している出願があれば、商標として登録するのは困難になります。そのため基本的には、別の名称を探す事になります。

ここから先は余り詳しくないのですが、同じ区分・名称であってもロゴが完全に判別できると特許庁が判断する場合には、申請出来る場合もあるようです。なのでどうしてもその名称を使いたい場合には、より専門的な対処をすれば使えるようになるはずです(間違ってたらご指摘ください)。

なお、商標の受付は出願順に決まります。そのため、審査中であっても先に申請されてるものがあれば、後出しは基本的できないのでご注意ください。

2. 商標の申請方法

商標の申請については、専門家の方が書いた詳しい内容が出ているので、あえてこちらで記載することは避けることとします。以下のあたりをご確認いただけるとゼロからやったとしても 2 日もあれば申請出来ると思います。

1 つだけ注意するべき事があるとすれば「特許印紙」を購入して利用をすることがあります。よく使う紛らわしいものに「収入印紙」があるのですが、間違えて窓口でこちらを購入してしまっても返金ができません。数万円かかるものなので、ここだけは慎重に…。


KPI 分析の準備とサービス品質管理(QA)

最後にプロダクト観点で QA と KPI 分析の準備について記載していきます。こちらは PdM として重要な内容なので皆当たり前にやると思うのですが、何かしらの参考になればと記載しみます。あまり公にしても良いことがないので、有料にて公開とさせていただきます。


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お酒と映画と読書が大好きで夜も眠れません。たくさん働きます。 プロダクトマネージャー ← 受託開発会社代表(コーディング/セールス/PM)。 fintech / プロダクト / 映画の呟きが多め。 ストーリーあるものが好き。