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(理論編)メガベンチャー VS シード期スタートアップ。PdMの役割とその違い

こんにちは、アウトドアギアのソーシャルコマース「EXPLAZA」の COO 内田です。今日はメガベンチャーとスタートアップにおけるPdM(プロダクトマネージャー)の役割の違いというテーマで書いていきます。 

ぼくの今までの仕事はほとんど PdM としてのキャリアでした。学生企業では開発会社の代表として PdM の動きを。その後、メルペイで PdM として正式に役割を全うしつつ、社会人学生として PdM 論で修士課程を修了しています。アカデミックの世界から見た PdM 論について過去の note も記載したりしてました。

そんな僕が感じたメガベンチャーとスタートアップにおける PdM の役割の違いについて記載してみたいと思います。 事業戦略とプロダクトチームの活動の一致 という主目的は変わらないですが、日々の活動は全然違うと感じています。

メガベンチャーにおけるPdMの役割

前提として、理想的なプロダクト推進に必要な職種は最低限下記が必要なのかなと思っています。そしてもちろんメガベンチャー等大企業では、必要な職種に担当チームが存在しているはずです。

理想的なプロダクト推進に必要な職種

そのため、プロジェクトを推進する PdM の役割は次のようになります。

十分な担当者が存在するときの PdM の役割

まずは ① なぜ・何を作るのかを決めたら②各プロフェッショナルと協力してリリースのために調整を行う ことになります。

十分なプロフェッショナルが会社によって用意してもらっているので、 PdM は「なにを・なぜ・いつまで」に作るのかに集中できます。 それ以外の事はプロフェッショナルが専門的な知識によって、必要な事はやってくれるのが大きい会社の特徴です。

なのでメガベンチャーで働いていた時の PJ における時間の使い方は主にこんな感じでした。四半期ごとに目標が変わる環境だったので、 1 つの PJ の期間は 3 ヶ月という前提です。

  • 開始 2 週間 : キックオフ MTG & 要件の骨子を作り切る

  • 〜 4 週間 : プロダクトチームにタスクを分割しつつ、機能要件を作り切る

  • 〜 1.5 ヶ月 : 機能要件を元に、各担当者とリリースに向けた調整

  • 〜 2 ヶ月 : 各プロフェッショナルのリリース向けのタスクも決まっている

  • 〜 3 ヶ月 : PJ を全うする & 次の四半期の計画

スタートアップにおける PdM の役割

一方スタートアップの場合には、必要な職種に対して担当者は用意されているケースのほうが少ないでしょう。必要最低限の開発をやりきるためのメンバーしか会社に用意出来ないケースがほとんどじゃないかなと思います。

スタートアップにおけるプロダクト推進に必要な担当者の有無

とはいえ本来的には、プロダクトグロースのためには一通り組織における機能としては会社に用意されている必要があるはずです。 そのため、一般的なソフトウェア開発をしているスタートアップでは、下記のような機能分担によりプロダクト開発を行っていくことになります。


一般的なスタートアップにおける職種と機能

基本的にはその役割の性質から PdM がその機能を担うことになります。権限移譲によって役割を分担することもあると思いますが、それでも基本方針を設計・企画するのは PdM が多いのではないかと思います(要件考えてる人がやるのが一番早いので)。

持ってる機能が変わるのでもちろん役割も代わります。メガベンチャーと圧倒的に違う点は、PdM が知らないなりに何とかする という役割が追加されていることです。その代わりメガベンチャーではあったプロフェッショナルとの調整はほぼ必要なくなります。


スタートアップにおける PdM の役割

もちろん大企業で気にするほど多くの事を、スタートアップでは気にする必要はありません。またアジリティが高い & 注目度が低いので、問題が起きてから修正するので問題ないケースがも多々あると思います。

そんな中でスタートアップ PdM は 事業を 1 ヶ月後に 100 倍に成長させるために必要な事 を見極めて、そのために必要なものをそれぞれの機能毎に優先順位つけて動くことは最低限必要なのかなと考えています。

なので今現在 PJ 毎の時間の使い方は主にこんな感じです。 2 ヶ月ごとに目標管理をして経営の PDCA を回しているので、 1 つの PJ 期間は 2 ヶ月という前提です。

  • 開始 1 週間 : キックオフ MTG & 要件の骨子を作り切る

  • 〜 3 週間 :

    • デザイン概ね完了 & 開発が順調に進捗している

    • プロダクトチーム以外の法務・CS・知財などの企画 → タスク化

  • 〜 6 週間 : 

    • 開発完了 & QA 実施されはじめる

    • 広報・マーケティング・営業などのタスク化が完了して動き出している

  • 〜 2 ヶ月 : PJ 完了

話が変わる & 余談ですがこのスタートアップ PdM の役割はまさに起業家の活動そのものだと思っています。せいぜい追加されてもファイナンスくらいかなと。なので シード期スタートアップでは代表自身が PdM の役割を担うべき という話が出てくるはこういったところからなのかなと思っています。


スタートアップでは代表が PdM をやるべき?

大企業とスタートアップの PdM の役割の違い

かんたんにまとめると、以下の通りになるかなと思います。

  • (両方)いつ・なぜ・なにを作るのかを決める

  • (大企業のみ)プロフェッショナルとリリースに向けた調整

  • (シード期スタートアップのみ)事業運営に必要な事のうち、成長に必須なものを全部何とかやりきる

とはいえシード期スタートアップの PdM が全部をやる必要は無いと思います。出来ないことを解決する方法なんてそんなにパターンは無いと思ってます。↓ のプロセスをサボらずにやりきるだけだと思っています。

知識不足な仕事をやりきるための流れ

おわりに

次回はシード期真っ只中の EXPLAZA で、 2022/8/22 にリリースした WEB 版において、実際にどんなタスクをどんな風にやっていたのかを記載してみようと思います。赤裸々案件です。

他社の利用規約を読み、わからないことは必要な人に聞いて情報収集を行い、必要な事は自分で調べてインプットをして …。 毎週違う役割の人間として振る舞っていたので、


お酒と映画と読書が大好きで夜も眠れません。たくさん働きます。 プロダクトマネージャー ← 受託開発会社代表(コーディング/セールス/PM)。 fintech / プロダクト / 映画の呟きが多め。 ストーリーあるものが好き。