短編小説「ゆなさん」 あとがき
前回掲載した作品『ゆなさん』をお読みいただきました皆さま、本当にありがとうございました。
また現在、体調面からコメントやり取りを控えているのですが、それにも関わらずお言葉を寄せてくださった方々にも、心より御礼申し上げます。
ふだん作品のあとがきは書かないのですが(単に面倒臭がりなだけなんですが)、この作品については少しだけ書かせていただきます。
この作品を書きはじめた時、主人公の女性はまったく違う名前でした。
ですが書いていてなにかしっくりせず、別の名前にしようと思いました。じゃどんな名前にしようか。目を閉じた時、ふたりの方が浮かびました。
ひとりは、岩代ゆいさん。
ひとりは、あらしろひなこさん。
次の瞬間、おふたりの名の文字から一文字ずつ取った、「ゆな」という名前ができあがっていました。(ちなみに言うと執筆中、ひなこさんが『失恋記念日』という小説を掲載していて、そのなかの登場人物の名前が「ユナ」だったのを読んだ時には心底腰が抜けました。後出しじゃんけんになりますが、本当の本当に偶然です。どうか信じてください笑)
この街に来てまもなく、おふたりと出会いました。
今さら言うまでもなく、おふたりはほぼ毎日のように作品を更新し続けています。その作品にはいつも私のなかの感情を揺さぶられ続けています。時に泣き、時に笑い、時に驚き、時におののき、時に唸らされ、時には辞書の言葉では言い尽くせない感覚を覚えることだって……。
これからもそうでしょう。すべて読みたいのですが、なにせ膨大な作品群ですので、なかなか読み切れずにいる現状です。(すみません)
確かひなこさんだったはずですが、「わたしたち(ゆいさんとひなこさん)は、どこか深いところでつながっている気がする」と書かれていました。(勘違いでしたら重ねてすみません)
私も、そう思いました。
生きてきた人生も、積み重ねてきた時間も、出会い、別れたひとも、思考や哲学も違います。現状だってもちろんそうです。
でもなにかが、それも本当にいちばん大切な根や動脈が、どこか重なり合っている気がします。
そしてそれは、この主人公の女性にもつながっているものじゃないだろうか。
そう思った時、もうこの主人公の名前は「ゆな」以外には考えられませんでした。同時に書く手は止まらなくなりました。この感覚はかなりひさしぶりだったので、「まだ残っていたんだな」と、嬉しくなってしまいました。
すべて、おふたりのおかげです。
ちなみに「ゆな」が聴いていた音楽は、おふたりがそれぞれ以前挙げておられた、好きな曲リストのなかから、それぞれ取らせていただきました。もうひとつちなみに言うと、「ゆな」の乗っている車いすの名前『ヘンナノー号』は、いつも仲良くさせていただいているおまゆさんの夫さんの自転車の名前です。ちょっと借りちゃったよ。ありがとね。
私はどこかでおふたりを、道の少し先に見えるかがり火や、マイルストーンのように感じているのかもしれません。
そのかがり火を、マイルストーンをたどっていけば、私がこれからぶつかるだろう迷いに対するヒントが見つかるんじゃないか、と。
本当に自分勝手に思っていることで、おふたりには迷惑千万でしょう。
でももし許していただけるなら、これからもこのひ弱な私の、少し先で光る目印であり続けてはいただけませんでしょうか。勝手なお願いで申し訳ありませんが。
これからもよろしくお付き合いのほど、お願い申し上げます。
そして最後に、読んでいただいたすべての皆さまにあらためて御礼申し上げます。ありがとうございました。
いただいたサポートは今後の創作、生活の糧として、大事に大切に使わせていただきます。よろしくお願いできれば、本当に幸いです。