"エマニュエル・トッドの思考地図"を読んで
また更新が滞ってしまっていましたが、ボチボチマイペースで再開していきたいと思います😅
今回は、最近読んだ本を、自分の思考の整理もかねてご紹介していきたいと思います。
「エマニュエル・トッドの思考地図」という本を読んで、研究に携わる者として共感できること・納得できることが多かったので、振り返ってみたいと思います。
「エマニュエル・トッドの思考地図」(筑摩書房 2020/12/23)
エマニュエル・トッドさんは、フランスの歴史人口学者で、現代政治や国際社会を独自の視点から分析し、ソ連崩壊やリーマン・ショック、イギリスのEU離脱などを予見したことで広く知られている研究者です。
自分のAmazonのオススメにでてきたので、思わずkindle版を衝動購入してしまいましたが、読み進めるうちに自分の中で腑に落ちることが多く、研究者として思考していく上で、なんとなく感覚として理解していたことが、うまく言語化されていて感動しました。
自分が感銘を受けた、府に落ちたトッドさんの言葉を自分の備忘録もかねてご紹介したいと思います。
"思いつく"ためには、脳のデータバンク化という作業がまず必要
"考える"ということは、椅子に座って自問自答を繰り返すようなものではなく、ひたすらに本を読み、知識を蓄積していくこと。
研究者の脳みそというのはデータを蓄積するもの。
というのも、アイディアを得ること、あるいは変量や変数の関係性や時間・空間における一致などに気づくことの裏では、なんらかの無意識のメカニズムが働いている。
そのために、膨大な情報をインプットし、そうした情報を完全に咀嚼し、はっきりと意識されなくなるところまで、無意識のレベルにまで深く沈殿させる必要がある。それには時間がかかる。
やがて無意識において別々の情報どうしが自然と攪拌され、あるとき新たなアイディアとして突然飛び出してくる。
研究とは旅のようなもの
思考する時に、最初に何をして、次に何をしなければいけないというような形式ばった決まりはなく、旅のようなものをイメージすると良い。
研究者というのは旅人。
そして、良い研究の進め方というのは、"カニ歩き"のようなもの。
カニというのは斜めに歩き、横に進む。そういう進み方こそが研究に必要。
アイディアを得るために、思っても見なかったような事柄に気づけるようにするためには、その研究の柱となる部分から外れた読書をすることが大切。
そういったルーティンの外に出る行為は、地に足がつかない状態を引き起こす。精神的に不安定になる。
しかし、頭の中で別々のカテゴリーとして認識されていた2つの現象の関係性を見出すためには、ある時点で脳が正常に機能するのをやめなければならない。
それは精神が均衡を崩した状況であるが、そういう時こそアイディアが浮かんでくる。
プロの仕事には芸術性が宿る
知識人に本当に必要なのは、プロフェッショナリズム。
プロの仕事や手つきには、おのずと芸術性が宿る。
何よりも、リスクを負う、思い切る勇気がある、というのが芸術的な学者の条件。
このリスクを負えるかどうかは、その人の性格以上に、その人自身が社会にどのように関わっているかということにかかっている。
と、自分が感銘を受けた中のほんの一部をかいつまんでご紹介しましたが、研究に限らず、今の時代のどんな仕事をする時にも通じる思考法が書かれていると思いました。
興味を持っていただいた方はぜひご一読いただけたらと思います。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
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今後も分かりやすい、簡潔な記事を心がけていきます🙇🏻♂️