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[Blenderを始めてみたいなと考えているイラストレーター、絵師向け】Blenderを始める際のアドバイス&勉強の仕方について

こんにちは!MVを作っている動画クリエイター兼イラストレーターの
無印かげひと(@kage86kagen)です。

今回は、「Blenderを始めてみたいな」と考えているイラストレーター、絵師向けとして、「Blenderを始める際のアドバイス&勉強の仕方」を紹介したいと思います。

Blenderは無料で使用できる3DCG制作ソフトで、PCさえあれば誰でも使用できるのですが、このソフトはイラスト制作を目的とする場合にもすごく重宝します。

もしかすると、「イラストを描くのに3Dソフトっている?」と思う方もいるかもしれませんが、例えば複雑な背景はBlenderで制作したり、キャラクターのリアルな光源を表現するためにBlenderでキャラクター人形を設置しそれに光源を当ててロケハンする…といったように、イラストを描く時の補助ツールとしてかなり使えますので、Blenderを利用して絵を描く方も年々増加しています。

ただ、イラストレーターや絵師が「3D」と聞くと、「す、3DCGって作るの超難しそう…」、「3Dで作る時間があったらイラストで描いた方が早くね?」と思う方もいるかもしれません。(筆者もそうでした。)

でも、Blenderを活用できるようになると、イラストのクオリティを短時間かつ効率よく上げることができたり、新たな画風や表現方法を生み出すといったメリットを得られる事が可能です。イラストのスキル向上を目指す方にはうってつけです。
(実際に、厚塗りや重厚感あるイラストを作るプロのイラストレーターのメイキング動画を見ると、Blenderを使用している風景を頻繁に見かけます)

もちろん、イラストの補助ツールとしてではなく、完全にBlender1つで作品 を制作するために学んでいきたい!…といったように、
イラストをやりつつ趣味として3Dを作る、または絵描きから転身して3Dモデラーになるといった方向けにも、当記事は役に立つと思われます。

この記事ではそういった方向けに、「3DCGは怖くないよ!」「Blenderを学ぶにはこうすればいいよ!」といったように、3DCG制作に対する敷居を極限まで下げられるように執筆しました。

これから3D制作について勉強されるイラストレーター&絵師にとって、少しでもお役に立てられれば幸いです。

この記事の解説内容
●3DCGを作れる無料ソフト「Blender」とは?
●「Blenderを始めてみたいな」と考えた絵描きへのアドバイスや勉強の仕方についてざっくり解説
●超初心者におススメしたい、初めに見て欲しい解説動画YouTubeチャンネル


Blenderとは?

まずは、「Blender」について簡単に説明したいと思います。
Blenderは一言で言うと、「誰でも無料で使用できる3DCGソフト」になります。
誰でも…とは言いますが、今のところPCしか対応していませんので、PCでお絵かきをしている方に適しています。

通常、3DCGソフトというのは、庶民からして見ると目ん玉が飛び出るような高価な製品になるのですが、このBlenderは有料のソフトに引けをとらない機能が満載でありながらも無料で使用できるという、とんでもないソフトです。
しかも定期的にアップデートしてくれて、使いやすさや機能がどんどん上がっています。

近年では、アニメ業界においても他3DソフトからBlenderに乗り換えて、Blender を主戦力として利用している会社が増えているそうす。
例えば、「シン・エヴァンゲリオン劇場版」を制作した株式会社カラーも利用しているそうで、Blenderを開発している財団に開発資金の提供もしているとか...。

ただ、中にはプロの3Dモデラーから「現場では全然使えない!」「現場に入るなら○○ソフトだ!」「Blenderはあくまで個人で使用するものだ!」という意見もあるそうですが、個人に限らず実際に大手アニメ企業も使用していますので、絶大な信頼感はあるソフトになります。


「Blenderを使用する目的、目標」を決めておこう

ここまで読んで、「よし、じゃあBlenderを始めてみるぞ!」と思った方、その意気込みは素晴らしいですがちょっとお待ちください!

勢いで始める前に重要なアドバイスをお送りしますが、Blenderを導入する前に必ずして欲しいことがありまして、それは「Blenderを使用する目的・目標を決めておく」ことです。

「自分は何を目的としてBlenderを使用したいのか?」、「最終的にどんなものを制作したいのか?」を自問自答し、
例えば「自分はイラストで背景を描くのが苦手なので、背景を作るためにBlenderを勉強するんだ!」…と決めておくことです。

なぜ目的を明確にしておく必要があるかというと、理由は下記のとおりになります。

・Blenderでできる事・機能が、あまりにも多すぎるので、「私は○○を作るためにBlenderを始めるんだ」という目的を設定しておかないと、その目的以外の機能にも目移りし、「あれもこれも」と吸収しようとする→結果的に学ぶ内容がブレてしまうから
・その結果、自分がやりたかったことにいつまでも手が届かず、挫折しやすくなるから
・イラストの補助として使用される方の場合、そうなる未来が予想できるのであれば、Blenderに時間をかけるよりも本命のイラスト制作に時間をかけた方が良いから(経験になるだけでもお釣りはくるけれど)

端的に言うと、目的や目標をあらかじめ定めておかないと、途中で挫折しやすくなりますので、先に設定することをおススメします。

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上記についてもう少し詳しく解説したいと思います。

Blenderを触ったことが無い人にとってはイメージが付きにくいと思いますが、Blenderには本っっっっっっっ当にたくさんの機能が備わっています。
そのため、「Blenderを骨の髄までしゃぶり、全ての機能を使いこなすようになるぞ!」と意気込んだとしても、それを習得には数年かかる...と言われているほどです。

ましてや、イラストを描きつつBlenderも習得するとなると、今までイラストに費やしていた時間をBlender勉強に割く事になるためイラスト制作を本命にしている方の場合は、画力磨きがおろそかになります
イラストのクオリティを上げるためにBlenderを始めてみたものの、イラストの勉強時間が減ってかえってイラストが下手になった…という事も無きにしも非ずです...。

実は、「Blenderの挫折」は、勉強を始めて早1ヶ月~数ヶ月ほどで挫折する人がかなり多いらしく、継続して使い続ける人は結構少ないんだとか。
(これはイラストレーターや絵師に限らず、「俺、趣味は何もないんだけど、3D制作を趣味として始めようかな…」といった人も同様です。)

思い付きでBlenderに飛び込み、1ヶ月で挫折、Blenderを触った経験はできたものの、対して得るもの無く止めてしまう...。
結果的に良い経験になるor続けられるのであれば御の字ですが、早いうちにBlenderを挫折してしまった場合、費やした時間の多さに後悔する恐れもあります。
これを加味し、あらかじめ目的や目標を設定した方が自分のためにもなると思います。

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ちなみに、Blenderを使用する目的や目標について筆者を例に挙げますと、Blenderを勉強するきっかけになったのは「MVの演出として使える素材やエフェクトを自作してみたい」、「トゥーンシェーダー風の3D作品を作りたい」という目標が原動力となって、2021年夏からBlenderを始めました。

ガッツリ超リアル系3D作品を作る!...というよりは、イラストと融合させたような、2Dと3Dの狭間のような質感や表現が出来ることを目指した感じですね。
(トゥーンシェーダー風:3DCGをセル画のように見せる表現のこと。これを使っている作品を例に出すと、ゲームで言えば「ゼルダの伝説 風のタクト」、「原神」などがあります。)

こういったことを踏まえ、「Blenderを始めてみたいな...」と考えている方は、まずは「自分がBlenderを使う目的、目標」をある程度定めてから始めるようにしましょう。


Blenderでできること

Blenderで「水を吐くフグ」を制作している様子。フグをモデリングした後、「ノード」という機能を使って質感やテクスチャなどを貼り付ける作業をしている画面。

次にBlenderで出来る事を紹介したいと思うのですが、機能がたっっっっっくさんありますので、目的やアイデア次第で実に様々な表現やイメージを実現することができます。可能性は無限大です。

筆者の目標のように「トゥーンシェーダー風の3D作品」を作ることもできますし、リアルな車や飛行機の制作、ディズニー3D作品のようにリアル寄りの人物アニメーションをモデリングできたり、花びらや炎、煙などの素材やテクスチャも制作することが可能です。

ここで、ほんの一例になりますが、Blenderで出来る事を以降から紹介してみたいと思いますので、参考にしていただければと思います。
逆説的になりますが、Blenderで出来る事を確認してから自分が使う目的を見つけるのもいいかもしれませんね。

  • 3D作品を作ることができる (超簡素なものから超リアル3DCG作品、ローポリまで作れる)

  • 作った3D作品に動きをつけて、それを画像や動画データとして出力できる (動画編集ソフトのように「タイムライン機能」がある)

  • 光源を設定でき、3Dに陰影を付ける事が可能

  • 外部素材を利用すれば、それを3Dの背景に設定することもできる (”HDMI”という360°見渡せる背景データを利用した作品も制作可能)

  • 2D風の3DCG作品を作ることができる (トゥーンシェーダー風)

  • 3D作品を制作し画像出力すれば、背景イラストとして利用できる

  • 重力も表現できるし、水、煙、火の粉、爆発などのエフェクトも制作可能

  • 3D作品にテクスチャ、質感、エフェクトを設定することができる (ノイズ風、透明水彩風、油絵風など)

  • なんと、3D空間に絵を描くこともできる! (「グリースペンシル」という機能を利用する事で、3Dの世界に直感的に絵を描くことができる。ただし、慣れるには結構時間がかかる)

  • Vtuberのような3Dを制作でき、これを動かすことができる etc…

ね?すごいでしょう?

前項で「必ず目標を設定してからBlenderを触って欲しい」と言った理由について、少しでも分かっていただけたと思います。
イラストレーターや絵師としてこれらを全て習得するには数年かかりますし、機能を全て覚えたとしても”宝の持ち腐れ”になりますからね…。
なので、「なんでも作れる3D職人」を目指さない限りは、自分がやりたい事を明確にし、それに沿って勉強していくのがベストです。


一例として、Blenderを利用して筆者がイラスト制作したものを紹介します。

こちらのイラストは、人物や空はクリスタでイラスト制作、背景の「ビル群」はBlenderで制作しました。
Blenderでビル群を制作した後、これをpngで出力、クリスタに持っていって、若干加筆して完成としています。

こういった使い方も可能ですので、イラストレーターや絵師がBlenderをある程度使えるようになると、より効率的かつクオリティ高いイラストが制作できるようになります。



Blenderの勉強の仕方について

先ほどのイラストの背景である「ビル群」を制作している画面。実はビルの原形は5つのみ制作していて、これを増殖させてたくさんあるかのように設置している。

ここまでは「Blenderを使用する目的」と「Blenderで出来る事」を紹介してきましたが、ある程度目標を定めた事が出来たら、次はBlenderの勉強方法について知っておくことをおススメします。

特に、「Blenderをインストールした!じゃあ何から勉強すればいいの?」迷っている方向けとして下記を紹介したいと思いますので、方向に迷っている方は以下の順番で学んでいくことをおススメします。

①まずは基本的な使い方を勉強する
マウスやキーボードの操作方法、作業画面の見渡し方、どのタブにどんな機能があるかを大まかに把握、制作した後のデータの出力の仕方についてを学ぶ

②自分が作りたい作品の「メイキング動画」を4~5本見る

③その後、いったん自力で制作してみる

④あとは②、③を繰り返して、Blenderスキルを自分のものにしていく


何はともあれ、まずはBlenderの基本的な使い方を学ぶ必要があります。ペイントソフトと比べると動作や挙動が結構異なりますので、最初は画面を動かすことにすら手間取るかもしれません。
ここをしっかり押さえた後に、②~③を繰り返していきましょう。

学ぶための教材はいろいろありますが、一例として「YouTubeなどでメイキング動画を検索してこれを見る」、「オンラインスクール、講座などカリキュラムが組まれているものに入会して勉強する」といった方法があります。

勉強の道筋を立てるのが苦手な人は、オンラインスクールや講座を利用する手もありますが、講座で学ぶ内容はYouTube上でもたくさん見つける事ができますので、まずはYouTubeに投稿してくれている「Blenderメイキング動画」で感覚を掴むのもいいかもしれません。

自分は独学だとやりにくい…要領を得ない…という場合は、講座に入会するのもよいでしょう。授業を組んでもらっている分、効率的かつポイントを抑えながら学ぶことができます。



独学で学ぶ人へのおススメの動画

スイセンと花瓶を3D制作した後、これらにキーフレームを打ってアニメーションとして動かしたもの。画面手前の「ノイズ」については、AfterEffectで付与している。

かく言う筆者は、独学でBlenderを学んできました。
その際の教材にしたのは、もっぱらYouTubeに投稿されているメイキング動画になります。

投稿されている動画の中には、超初心者でもストンと理解できるほどとても丁寧に解説してくれている動画もあります。
こういった動画を見つけて、片っ端から勉強していくのも全然ありです。

むしろ、中には有料講座以上に分かりやすい解説動画もありますので、まずはこれらの動画を試しで視聴した後、引き続きYouTube上で勉強するか、有料講座を購入するかを選択するのも良いかもしれません。

たくさんありすぎてどれから見ればいいか分からない!」という方向けに、以降から筆者が実際に学んできた動画をいくつか紹介したいと思いますので、これらを見た後に自分が作りたいジャンルに近しいメイキング動画を探していきましょう

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【初心者向け】世界一やさしいBlender入門!使い方&導入〜画像作成までを徹底解説【3.6対応】

こちらの動画は、Blenderのダウンロードからインストール方法、基本的な使い方、そこから実際に簡単な3Dの制作風景を解説している動画になります。
インストールから実際に作るまでをひとまとめにして投稿されているので、初めてBlenderを学ぶ方にはとてもおススメの動画になります。
筆者もこの動画からBlender入門の扉を叩きました。

サムネイル画像にもありますが、この動画では「どうぶつの森」の家具のようなほっこり可愛い作品を制作しています。
この動画を見ながら実際にBlenderを動かすと、見るだけよりも知識は吸収率は数倍違うと思いますので、ぜひ動画を見ながら自身の手で制作してみてください。


【超入門】今からはじめるblender3.0 ~導入から画像出力まで~

こちらも先ほどの動画と同じように、インストールから実際の制作までを一連にした、超初心者向けメイキング動画になります。
ただ、先ほどの動画と違い、この動画では「マテリアル(質感)」の設定の仕方も一緒に教えてくれています。

サムネには5個の林檎が映し出されていますが、よくよく見ると5個とも質感が異なりますよね。Blenderではこういったように、ガラスや摺りガラス、発光した物体、さらにはテクスチャといったものも貼り付ける事が可能です。
質感も一気に学びたい…という方には、こちらの動画がおススメです。


【blender初心者】スプーンを超簡単モデリング!

こちらは、Blender の基本的な動作を学んだ後に見ていただきたい動画になりますが、どちらかというと「リアルな質感の3DCG」を制作したい方向けになります。

サムネにあるスプーンは「映り込み」の描写が超絶リアルなのですが、Blenderではこういった表現もすぐに適用する事が可能です。
また、この動画では「ライティング(光や照明の設定)」、「カメラ設定」についても詳しく説明していますので、これも見て損はない有益なメイキング動画になります。


#00 天使のBlender2.8入門 キャラの下絵を設置しよう!

こちらは「イラスト制作補助として使用するためのBlender使用方法」…というより、完全にBlenderのみで制作する生成物の解説になりますが、 「キャラクター」のモデリングを専攻して学びたい方かつ、Blenderの基礎知識をある程度学んだ方向けに役に立つメイキング動画になります。

この動画では、ゆるキャラのモデリングからテクスチャ付け、「ボーン」や「ウェイト」というものを設定し、最終的に「アニメーション」として動かす…といった作業を順番に解説している動画となります。 

イラストも描け、自身で3Dキャラクターをモデリングし、アニメーション付ける…という方はそうそういませんので、このスキルを習得するとそういった仕事面においてはかなり重宝される存在となるかもしれません。


Blenderが使えるとイラスト制作の補助ツールとしてかなり重宝するのですが、その勉強を始める時が一番ハードルを感じやすいと思います。
目標を立てた後に順を追って勉強していけば自ずと使えるようになっていきますので、Blenderが気になる方はこれを機に始めてみてはいかがでしょうか?


まとめ

●Blenderは無料3DCG制作ソフトだが、イラスト制作の補助ツールとしてもかなり使える
(複雑な背景はBlenderで制作したり、キャラクターのリアルな光源を表現するためにBlenderでキャラクター人形を設置しそれに光源を当ててロケハンするetc…)

●挫折や後悔を防ぐため、Blenderを導入する前には「Blenderを使用する目的・目標をあらかじめ決めておく」ことがとても大事

●Blenderはたっっっっっくさんの機能はあるので、だいたい何でも制作できる

●Blenderは以下の順序で勉強するのがおススメ
①まずは基本的な使い方を勉強する
マウスやキーボードの操作方法、作業画面の見渡し方、どのタブにどんな機能があるかを大まかに把握、制作した後のデータの出力の仕方についてを学ぶ
②自分が作りたいジャンルの「メイキング動画」を4~5本見る
③その後、いったん自力で制作してみる
④あとは②、③を繰り返して、Blenderスキルを自分のものにしていく


最後までご覧いただきありがとうございました!

それでは!



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