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イベントフライヤーを作るためのポイントとは-ワークショップの舞台裏❷

イベント告知用のフライヤーを作るのは、服のコーディネートをするような作業かもしれません。そのイベントがより魅力的に見えるような方法を考えて、形にしていきます。

かがやくサイエンスの活動でも、これまでに学内外で行ってきたイベントごとにフライヤーをつくり、参加する方を募るなどしてきました。これまでに「作ってみてください」と任せていただいて作成したイベントフライヤーは、うれしいことにお褒めの言葉をいただくことが多いです。

今回は、デザインする際に何を考えてフライヤーに落とし込んでいるのか、昨年度行った保護者向けイベントのことを振り返りつつ、制作時にしていること・考えていることを振り返りつつ言葉にしてみます。

イベント告知フライヤーの目的は、必要としている方に参加申込みしてもらうこと

そもそも、このフライヤーは、参加申し込みを促すためにつくるものです。そのためには
・目を止めてもらうこと
・こちらが想定している方に届けること
・「参加しよう」と思えるよう心を動かすこと
などが求められます。これらを一つずつ考えて、デザインに落とし込んでいきました。


目を止めてもらうために、語りかけてみた

たくさんの情報が毎日とびかう中で、まずはこのフライヤーに目を留めてもらう必要があります。どうしようかな、と考えた結果、手に取ってくださった方に向けて語りかけているような言葉を置くことにしました。

駅前などでチラシを手渡ししている方に出会うことがありますが、会釈をしながら通り過ぎてしまうことが多いです。「今週オープンです」などと言葉をそえてくれたとしても、わたし個人に向けられたものではないなと感じてしまうから、足を止めることはありません。不特定多数に向けられた言葉を自分事として受け取るのって難しいですよね。

それが同じく駅前の路上だったとしても「あの、すみません」などと言われると少し状況が変わってきます。この人は、「私」に向かって話しかけていると思うと、相手を知らなかったとしても何の用だろうと気になって、つい足を止めてしまうことも出てきます。

この保護者向けイベントのフライヤーでは、
1 娘からの問いかけ
2 問いかけられた母親の心境
3 イベントでお伝えしたい内容を知らせる

というのを、誌面の上半分の主な内容としました。


想定している方に届けられるように、写真や言葉を選んだ

東邦大学がぜひ来てほしいと考える方にイベント参加してもらえるよう、写真や言葉を選び取っていきました。「対象:中高生の保護者のみなさま」とも書いてあるけれど、文字情報に加えて視覚でも訴えられるとイベントへの関心は高まるはずです。

フライヤー上部の写真は、中学生~高校生に見える女の子と、その保護者に見える年代の女性が公園のような屋外で座って話している雰囲気のものを選びました。オリジナルの素材を撮影できれば一番いいのですが、こちらはフリー素材として利用可能な写真サイトの中から、かなりの数の写真を見て決めたものです。

右側の、わたしが母親と捉えた女性は、横顔で、ピントが合っていない状態。一人称の文章として書いた保護者の、娘の進路選択サポートに、迷いや不安を抱えている様子が感じられて、探した中ではこれしかないなと利用させていただいたものです。

ちなみにこの保護者イベントは、お父様も参加可能。それでも「ママ」という表現や、母親に見える写真を選んだのは、中学生・高校生の女子生徒にとって、相談相手は母親が多いことはアンケートでも分かっていたし、同性の先輩である母親の影響はお子さんにとって大きいから。男性を避ける意図ではないけれど、プロジェクトとしてはお母さま方により知っていただきたいと考えて選んだものでした。実際、当日もお父様で参加してくださった方が複数いらっしゃいました。


「参加しよう」と心を動かすために、メリットを伝えつつ、参加のハードルが下がるように

「このイベントいいなぁ」「今の自分にも必要そうだな」と感じてもらえたとしても、参加申し込みをして、実際に大学まで足を運んでもらうのはとても難しいことだと思っています。

それでもえいっと申し込みしてもらうために必要なのは
・参加するメリットがきちんと伝わること
・参加ハードルになるものをできるだけ取りのぞくこと
だと考え、フライヤーの中に盛り込みました。

参加するメリットは、
・本校の学生が参加…お子さんの数年後のリアルな想いを聞ける
・学生200名分の本音アンケートの結果を共有
・イベントの内容や登壇者の紹介
など。

逆に、参加ハードルになりそうなものは
・参加費…無料イベントとわかるよう掲載
・申し込み方法…URLに加えQRコードも掲載し入力の手間を省く
など。


大学からの声が、保護者に伝わるフライヤーに

このフライヤーがなぜ作れたのかと振り返って考えてみると、わたし自身が東邦大学のこのプロジェクトに外から関わっているのが大きかったなと思います。各イベントを、参加者さんと同じ目線で見ることができるからです。これは外部のコーディネーターであることが、プラスに働いている部分かもしれません。

本記事で制作の例に挙げてきた保護者向けイベントも、私がプロジェクトに参加する前からこの企画はすでにあって、イベントタイトルも決まっている状態でした。2023年度に実施したものは、他イベントも同じです。プロジェクトに後から加わると、分からないことが多いし、意図が掴みきれないまま動かなければならない状況も多くあると思います。

そんな中でも、東邦大学「みんなが輝く未来のサイエンス」では、フライヤーの制作前に
・どのような考えでこの講座を設けたのか
・参加する方にどんな気づきを与えたいのか

など、企画意図を伺える機会を設けてくださっています。このすり合わせの時間がなかったら、週に1回程度しかプロジェクトに携われていない立場でフライヤー制作はきっとできないなぁと思うんです。

必要な情報は共有してもらいつつ、デザインの細部は任せてもらえます。お話をもとに、決められた条件の中でわたしが一番届くと思うものを提案できるのも、自由度が高いからこそ。これまでのコミュニケーションで「これならOKをいただけるはず」「これは採用が難しいだろうな」とマニュアルのようなものには落とし込みにくい感覚も、体感として掴めています。

「学校っぽくない」のご提案が安心してできるのも、こういう共通認識ができているからこそ。恵まれています。今年度もさまざまなイベントが予定されているので、これまでに得た知見を活かしつつ、より心に届くフライヤーがつくれたらいいなと思っているところです。

見てくださって、「もっとこうした方がいいよ!」とTipsなどお持ちでしたら、ぜひ教えてほしいです。感想などのコメントもお待ちしています。




東邦大学は、JST「女子中高生の理系進路選択支援プログラム」に参加し、女子中高生が理工系分野に興味や関心を高め、理系進路を志せるよう、イベントや発信活動などを行っています。

noteの他、各種SNSでイベントの情報や大学内の先生紹介などを投稿し、理系分野の楽しさが伝えられるよう頑張っているところですので、フォローで応援してほしいです!下記のlit.linkから各種SNSもご覧いただけます。


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