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種子島 ロケット見学ガイド

種子島でのロケット見学についてご紹介します。


宿泊場所とレンタカーを最優先!

ロケットの打上げ日が発表されてからコチラを見に来られた方は今すぐ宿泊場所とレンタカーを押さえてください。打上げ日の情報が流れて半日も経てば埋まってしまいます。奇跡的に空いていてもお高めの宿からしか選ぶことができません。

宿泊施設とレンタカーについては内容が偏っていますが私がオススメする宿や、種子島のレンタカー事情について書いたノートをご用意しておりますので、よろしければどうぞ。


ロケット打上げ見学場選び

種子島にいればどこからでもロケットが飛んでいく様子を見ることができます。見学場は一長一短で、どこが一番とは一概に言えませんが自分の目的に合った場所を選びましょう。いくつかおすすめの場所をご紹介いたします。

恵美之江展望公園

大崎射場から北に3.1km。最も近くから見ることができる公式見学場です。公式なのでカウントダウンのアナウンスもあります。ただし、事前抽選制なので必ず利用できる場所ではありません。過去には倍率が25倍にまでなったこともあるそうです。抽選申し込みは南種子町のHPなどをご確認ください。ちなみに、南種子町への30万円のふるさと納税の返礼品として、数量限定で年間パスポートも存在します。

恵美之江展望公園で撮影(焦点距離300mmで撮影)

恵美之湯

大崎射場から北に3.5km。恵美之江展望公園近くの宿泊施設です。宿泊客以外も駐車場代2000円を払うことで敷地内で見学することができます。非公式ではありますがJAXAやIHIの職員の方も訪れ、拡声器でカウントダウンしていただけます。こちらで見学を希望される場合はお電話で予約しましょう。ちなみに当日は屋外に仮設トイレが設置されます。

恵美之湯で撮影(焦点距離420mmで撮影)

宇宙ヶ丘公園

大崎射場から西に7.2km。市街地に近い公式見学場です。カウントダウンのアナウンスもあります。手前に山があるので機体の根元は打ち上るまで隠れて見ることができません。

宇宙ヶ丘公園で撮影(焦点距離300mmで撮影)

長谷展望公園

大崎射場から北西に6.4km。市街地に近い公式見学場です。公式見学場の中でもダントツで駐車場が広い場所です。カウントダウンのアナウンスもあります。打上げが第1射点からの場合はVABと射点がほぼ重なり、ロケットも園内の場所によってはほとんど隠れてしまいます。

長谷展望公園の北側で撮影(焦点距離300mmで撮影)
長谷展望公園の南側で撮影(焦点距離300mmで撮影)

南種子町営陸上競技場

大崎射場から西北西に7.1km。市街地にある公式見学場です。カウントダウンのアナウンスもあります。市街地にあるので宿泊地から徒歩でも向かいやすいのが特徴です。

その他

良い見学場所は他にもあります。ただ色々考えると、少なくとも最初は公式見学場か恵美之湯にした方が良いと個人的には思います。その他のスポットは種子島の土地に慣れてから、ご自身で調べて行ってみて下さい。

某所で撮影

余談

狙って見るものかどうか怪しいところですが、飛行中の飛行機から飛んでいくロケットを見ることもできます。


ロケット見学

①機体移動

機体移動とは打上げのためのロケット運搬作業のことを指します。「大型ロケット組立棟(VAB)の大扉の開閉」「ロケットの搬出」「射点へ移動していくロケット」と見どころは沢山あります。打上げ見学をする際は機体移動も合わせて是非ご見学ください。

VABから姿を現すH-ⅡAロケット47号機(18:34)
吉信第1射点に到着したH-ⅡAロケット47号機(18:49)

機体移動の時間は20分間程度。いつ始まるかは当日発表されるのでSNSに張り付いて情報収集しておく必要がありますが、大体打上げの半日程度前になります。打上げ日時が確定した段階で機体移動の時間帯に目星をつけておき、当日は近隣で観光しましょう。

見学場所には小型ロケット発射台付近、ロケットの丘などがおすすめです。VABの開閉が見たい場合は小型ロケット発射台付近、より近くで見たい場合はロケットの丘が良いと思います。

小型ロケット発射台付近
ロケットの丘

注意事項:陸上立入規制

機体移動後~打上げ後に射点から3km圏内とJAXA関連施設は立ち入り禁止になります。道路も規制されます。陸上立入規制の範囲内には広田遺跡などの観光地も含まれているため、スケジュールを組む際は十分考慮しておきましょう。

西之表港の掲示板

②打上げ見学

良いポイントから打上げを見学しましょう。長谷展望公園が良い例ですが、同じ見学場内でもポイントごとに景色は変わります。事前に見学場のどこから見ると良いか調べておき、当日は常識的な範囲で早めに見学場入りすると良いと思います。

H-ⅡAロケット48号機の打上げ

見学場は見晴らしがよく、周囲に遮る物が無いので、天候の影響をとても受けやすいです。当日の天候に適した服装、傘やレインコート、カイロや飲料水などを用意して快適で安全な見学をしましょう。持ち物などについて書いたノートをご用意しておりますので、よろしければどうぞ。

③打上げ後の大崎海岸

打上げ90~180分後に大崎射点近くにある大崎海岸の門扉が開放されます。この時間はその時々に依るのでSNSか現地で事前に確認しておきましょう。陸上立入規制が解除されても門扉は閉鎖されたままの可能性もあります。

大崎海岸入口門扉の掲示物

打上げ後に大崎海岸を訪れるメリットは射点に残った移動発射台や、放水で濡れた射点付近、射点から吹き飛ばされ砂浜に落ちている断熱材などを見られることです。打上げ後にしか見ることができない貴重な景色ですので、打上げの際は直ぐ帰らずに是非立ち寄ってみてください。

吉信第1射点(寄り)
吉信第1射点(引き)

大崎海岸入口門扉から吉信第1射点までは片道で800mあります。砂浜を往復1.6km、しかも途中には川(轟川)を渡る場合もあるので、体力と履物にはご注意下さい。

大崎海岸から見る大崎射場

入口門扉を通った先に駐車できるスペースがあります。現地に注意書きもありますが、砂浜まで降りてしまうとスタックする可能性があるのでご注意ください。

「この先スタック注意」

④夜光雲

ロケット打上げ後の空には夜光雲という雲が発生することがあります。日の出、日没の前後が見つけやすいそうです。打上げ後に空が晴れていましたら是非探してみて下さい。また、東打ちで天気が良ければ関東など離れた地域でも見ることができるんだとか。


ロケット打上げに関して

打上げ日の予測

打上げ発表直後は移動手段、宿泊場所、レンタカーの予約で大忙しになるため、予測をたてておいて心構えだけでも準備しておくと良いと思います。

以下の8点が打上げ日の予測に有用な情報です。

  • 公式発表やニュース

  • 種子島への機体搬入状況

  • VABで組み立てられるロケットは同時に2機

  • 組立から打上げまで最短で2ヵ月程度

  • 予備日も含めて打上げの予定期間は3週間程度設けられている

  • 打上げ発表は遅くても1ヵ月程度前

  • 種子島-鹿児島の航空便の予約状況

  • 内閣府の宇宙基本計画

朝・日中と夜の違い

打上げは朝・日中と夜で2種類の楽しみ方ができます。朝・日中は空に伸びるロケットロードを見ることができますし、夜は真夜中でも煌々と種子島を照らすロケットを見ることができます。私がお話した現地の方は「」を推されていました。打上げ時刻で見学するかどうか判断するのも良いと思います。

打ち上げる方角

ロケットに積載している衛星や探査機によって打ち上げる方角が変わります。詳しい解説は割愛しますが、静止軌道衛星や深宇宙探査機の場合は東打ち、極軌道衛星の場合は南打ちになります。

打上げ見学においては、過去の写真や映像を参考にして同じように撮ろうとしても、打ち上げる方角が違う場合には思ったように撮れないなんてこともあると思います。

打ち上げる方角は海上保安庁のHPから確認することができます。

逆光

打上げ時刻、見学場所、打ち上げる方角、天候によってはロケットが逆光になってしまうこともあります。例えば恵美之江周辺からだと昼間は逆光になってしまいます。

ロケットの打上げ見学は目だけでなく音や振動でも楽しむことができる体験ですので、深刻に考える必要もないと思いますが、写真や映像を撮ろうとされる方は当日の太陽の位置なども少し気にされていた方が良いかもしれません。

おすすめの滞在日数

打上げは延期する可能性があるため、延期を見越した滞在日数にしておいた方が良いと思います。個人的には2泊3日は少なくとも欲しいです。

延期について

どれだけ青空が見えていようとも、機体移動後でも延期する時は延期してしまいます。最後は運です。延期の際はJAXA、三菱重工、南種子町が情報を配信します。気象条件が好ましくない場合や、機体トラブルがある場合は諦めるしかありません。

H-ⅡAロケット47号機の2回目延期決定時の空模様
注釈:延期理由は高層風

延期後の動き

射点への機体移動前に天候不良で延期が決まった場合、打上げ日時(ウィンドウ)は回復の見込みがあれば翌日~数日後に再設定され、回復の見込みが無ければ大幅に変更されます。

機体移動後に延期になった場合は、充填された液体燃料を抜いて再びVABに戻されます。その後、点検も行われるのでウィンドウの再設定まで日を要します。

機体トラブルがあった場合は解決するまでウィンドウは設定されません。

作品に登場する打上げ

ロケットの打上げは種子島を舞台にしている多くの作品で描写されています。好きな作品と同じ時間帯、同じ場所で見学するのも面白いと思います。

  • 秒速5センチメートルでH-Ⅱロケットをモデルにした打上げが描写。作中では夕方に増田の路上で見学。

  • ROBOTICS;NOTESの回想シーンとオープニングムービーでH-ⅡAロケット17号機の打上げが描写。作中では朝に宇宙ヶ丘公園から見学。

  • ROBOTICS;NOTES Pleiades Ambition最終話でH-ⅡAロケット21号機をモデルにした打上げが描写。作中では夜に宇宙ヶ丘公園から見学。

  • ROBOTICS;NOTESのアニメ最終話で架空のロケットの打上げが描写。作中では日中に恵美之江付近から見学。

  • 宇宙兄弟でアマテラスⅠ(架空のロケット)の打上げが描写。作中では日中に竹崎展望台から見学。

天気予報

打上げは気象状況に左右されます。打上げ前日~打上げまでの24時間の天気が問題ないか小まめにチェックしましょう。射場には避雷針がありますが雷の予報が出ていたら基本的にアウトです。また、打上げ当日が良くても機体移動がある前日の予報が芳しくなければ高確率で延期になります。天気の確認にはJAXAや協力企業が出している天気予報を活用しましょう。

不安な時は10日前あたりから予報を見ましょう。


ロケットの陸送

ロケットは製造後に愛知県から船を使って種子島の島間港に運搬されます。その後、種子島宇宙センターまで公道を使って陸送されます。巨大なコンテナがゆっくりと進む風景は圧巻だと思います。

陸送は交通トラブルを避けるために基本的に夜間に行われます。日程は現地からの情報を入手するしかありません。


おわりに

この記事が少しでもご参考になったら嬉しいです。

それでは、のっちよー。

南種子町上中交差点

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