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ソクラテスメソッド

アメリカの学校で勤務していたときに、社会科の先生がよく使っていた教授法はソクラテスメソッド(ソクラテス式問答法)というもの。ソクラテスセミナー(Socratic Seminar)とも言います。結構、一時期流行ったらしいと聞きました。

ソクラテスメソッドは、様々な意見を聞いて自分の考えを整理するための手法で、あるトピックに対して良い悪いの判断ではなくその背景にある事情を理解したり、自分だけの意見を主張するのに終始せず多様な意見に耳を傾け議論するための練習です。クリティカルシンキングの練習として使われています。

私が見学した社会の授業では生徒は教室で2重の円になって座っていました。内側の円の生徒がディスカッションをする生徒で、外側の生徒はその議論の様子を見ながら自分の意見を整理していきます。基本的にファシリテートするのは生徒自身で教師は議論に入りません。面白かったのは、必ず全員の意見を聞くことが重要視されており、まだ話していない生徒には必ず話を振るように指導されていたこと。自分の意見をどんどん主張する文化のあるアメリカならではの配慮です。

逆に、良くも悪くも平等主義が根付いている日本では行えば○○さんはまだ意見を言ってないけどどう?というアクションが自然に出てくるだろうと思ったのが、面白いと思ったのを覚えています。

以下に、ソクラテスセミナーのやり方を簡単に紹介しておきます。

1 議論するべき文章(題材)を選ぶ。できれば議論を深めやすく読みやすい量。
2 生徒に準備する時間を事前に与える
3 ソクラテスセミナーのルールを決める
3−1 生徒同士で軽く話し合いをさせる
3−2 自分の意見をサポートするための箇所を確認する
3−3 生徒同士の話し合いで分からない箇所は明確化する
3−4 どれぐらい意見を述べたか意識する
3−5 人の意見を邪魔しない
3−6 他人の意見を判断せずに、相手の意見に対する自分の意見を述べる
4 ソクラテスセミナーの開始:オープンエンドクエスチョンを使用して教師または生徒リーダーが始める。沈黙OK。1サークル15分程度。
5 振り返りと評価

ソクラテスセミナーの目的はその文章が正しいか間違いかを判定することではなく、その背景をより深く理解することです。

日本ではロースクールなどで過去の事例の検証をする時に使用されているようです。

自分の意見を持つ活動や、多様性を理解する活動、そして批判的思考能力を伸ばす活動は日本でも今後より一層そのニーズは高まります。ソクラテスメソッドの活用も広がるかも?しれませんね。



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Kae Takaoka
Teachers of Japanではティーチャーアイデンティティ (教師観)の発見を通じて日本の先生方がもっと自分らしく教育活動に専念し本来は多様である「教師」の姿を日本国内外へ発進しています。日本の先生の声をもっと世界へ!サポートいただけたら嬉しいです。