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バックワードデザインで働こう!教職員の働き方改革

私の働くポリシーは残業しないこと。決められた業務時間内にいかに効率良く仕事を行い成果をあげることができるかはプライベートな時間と同じぐらい大切です。これは自分が毎日生徒と向き合う上でもとても大切なことだと思っています。

その際に有効なのはバックワードデザインで働くことです。「今日定時に帰るためにはどの仕事をどうやってこなすか」を最上目標として優先順位をつけて仕事の計画を立てています。

バックワードデザイン(逆向き設計)とは教育用語で、授業や生徒が到達すべき最終目標を最初に設定し、そこに向かうにはどうすればいいかをブレイクダウンして計画していくやり方のこと。授業で活用するのはもちろんですが、働き方にも活用できます。しかしこのことに気づいている教員はほとんどいません。

教員になる前も後も定時帰宅を徹底していた私ですが、特に、子どもが産まれてからは完璧なるバックワードデザイン型の働き方へと変わりました。

子どもがいて、保育園や学童のお迎えがあるとどうしても残業できません。家に仕事を持ち帰っても小さな子どもがいては家で仕事をすることも容易ではありません。子どもを預けて残業してもリズムを崩された子どもや私自身の体力や健康管理が不十分になり、結局は勤務時間時にも非効率に働くことになり悪循環です。もちろん、やむなく休日出勤したり、子連れ出勤したり、預けて働くいたり、家で仕事をしたりすることもありましたが、試行錯誤の末、最も効率的で生産的な働き方は、勤務時間内に仕事を終わらせること以外にないという結論にたどり着きました。これは、私が母親として働き続けるための選択であったとも言えます。

実際、定時で帰っているママさん教員(遭遇したことはないけどもしかしてパパさんも?)はほとんどこのバックワードデザインスキルを身につけた働き方をしているのではないでしょうか。ただ、問題はそれを働くスキルとはみなされずに「子どもがいて、早くに帰宅しなければならないから職場から早く帰っている職員」として多くの場合残念ながら否定的にみなされていることです。

定時に帰ると言うと、授業や業務を蔑ろにしていると勘違いされる方もありますが、もちろん、授業の質を落とさないことは大前提です。(残業や自宅で授業準備をしたからといっていい授業ができる訳ではありません。)

教職員の皆様はよくご存知でしょうが、残業される先生方はどこの学校でもたくさんいらっしゃいます。犠牲文化の上に成り立っている教員文化は残業=美しい(頑張っている先生)というレッテルが貼られるので、自己陶酔型で残業されるパターンも多いでしょう。(犠牲文化については以前書きました。)

しかし、育児からだいぶ手が離れるようになってきた現在、自分の働き方と反対側の立場で物事を見られる余裕が出てきて、あらためて気づいた事があります。それは、残業される先生方の働き方にはバックワードデザインの考え方は存在していないということです。あるのは目の前にある業務や、今までやったものを全てやるという曖昧な目標だけで、「何のためにその業務をするのか」という目的も議論もありません。ポイントは目の前にある全てのタスクをこなす(こなせた)ことに達成感と意義を感じている点で、これはできる仕事を出来るようにやっていくやり方とは真逆の発想です。

でも、これを授業で考えてみてください。

バックワードデザインで計画された授業では学習成果と目標を最初に決めることから始まります。CAN-DOリストがあればそこから見つけてもいいでしょう。例えば「自分の好きな食べ物を英語で言えるようにする」を最終目標にしたとします。次に考えるのは、どうすれば生徒が自分の好きな食べ物を言えるようになるかです。〜が好きだとい表現の仕方や食べ物の名前などを紹介したり、実際に使ったりする活動が入るかもしれませんし、生徒のレベルによって4技能の活動内容は変わってくるでしょう。

一方、バックワードデザインでない授業は「去年と同じワークを使ってレッスン1から順番にやっていくような方法です。目的はありませんし、生徒がどのような姿になっていて欲しいかというビジョンも曖昧です。でもワークを一冊教えた!という達成感は残ります。

残業をしている先生方はこれと同じことを仕事でしてることになります。毎年、同じワークを使い、同じように教える。そして、それに達成感と意義を感じているようなものです。

誰であれ、目の前に見えているものは自分が作り上げた幻想でしかありません。気づくか気づかないか、自分が働きやすいようにあなたが変わるか、変わらないか決める事ができます。そしてそれは、どの職場でも学校現場でもそう選択していいのです。

周りの人の働き方を変えることはできませんが、自分は変わる事ができます。あなたも自分の働き方のデザインの仕方を見直してみませんか。





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