いかにしてプロデューサーと手を取り合うのか。PとDの適切な分業関係
プロデューサーの仕事と、どうやって彼らとうまくやっていけばよいのかという質問をもらったので書いてみようと思う。
残念ではあるが、受託開発だと、非常に多いケースではある。
プロデューサーという仕事は何なのだろうか。ゲーム制作側から見るとわかりにくいのでその説明と、制作側から見ての視点を書いてみよう。
その後、どうやって協力していくのか、どうすればプロダクトが売れるのかを理解できるのかを書いていく。
プロデューサーとは何か?
アイドルマスターが流行ってから、しきりにプロデューサー(略称P)という立ち位置が、「売れるようにする偉い人」みたいな感じで一般化されるようになった。
ゲームプロデューサーも、売れるようにする偉いひとで大体あってはいる。ここではディレクターとの役割の違いを通じて、プロデューサーの仕事を見てみよう。会社によって微妙に領域が違うが、プロデューサーの仕事の範囲は大まかに以下のとおりである。
以下の手段を使ってビジネス的に成功をすること
・お金、時間関係を管理する
・予算管理、スケジュールマネジメント、ビジネスプラン作成
・外部交渉をする
・外部発注、協業、資金調達、経営層との交渉
・市場に対してのアプローチをする
・ターゲットセグメント選定、マーケティング、プロモーション立案
・制作チームの座組構築
・外部発注、内製チームメイク
・制作ゲームの制約
・どんなゲームを、誰に、どういうふうに、マネタイズモデル
そして、いくつかの領域はディレクター(略称D)と重なっており、相性が悪いプロデューサーとディレクターだとかみ合わないみたいな状態が発生する。
なおディレクターの仕事領域は以下のようである。
以下の手段を使って面白い(売れる)ゲームを作ること
・予算とスケジュールの範囲内で売れるゲームを作る
・チームを作る
・ゲームのコンセプト・企画・仕様を作る
・ゲームの実装・アート・演出・サウンドを管理する
・デバッグ・QAを管理する
PとDは、外側向きと内側向きであり、またその接触点であるので、スケジュール管理やチームメイク、プロモーションなどで重なるところがそれなりに存在する。重複する領域についてはPとDで得意な方が得意な部分を受け持つのが良いと思う。
受託の場合
発注元(パブリッシャー)のプロデューサーと受託開発(ディベロッパー)のディレクターという組み合わせは、昨今のゲーム市場において比較的よく見られる構造ではあるが、ことソーシャルゲームにおいては適切に連携して、成功に導くための難易度が格段に上昇する。ただでさえパブリッシャーとディベロッパーで文化の違いが存在するに、収益のゴールが異なるという決定的な違いがあるからだ。
また、パブリッシャーとディベロッパーという関係性の上下によって、協力関係なのにも関わらず、PのオーダーをDは受けるしかないという状況というのはよくある。オーダーが納得感のあるものだったり、必要なものである場合は問題がないが、そうじゃないものが出てくることが多く、受託開発の厳しさを感じることも多い。
こうした場合の、正攻法の攻略法は、まず相手と信頼関係を作る。相手のニーズ理解する。相手とWin-Winの関係を作るといった、ビジネス上の基本となるものではある。自分の友人にはミーティングの第一声に「私が何をしたらあなたは昇進しますか?」とストレートに聞くというやつもいる。
また、Dの側としては、Pが納得するような十分な実績を作ることや、相手が納得をできる論理展開をすること、相手の話に共感をすることなどで多少解消できたりする。また、成功すれば、同じPとDで新作を作るというのはよくあることなので、2回目であれば多少はお互いに理解が進んでいるだろう。
また、ややテクニカルな方法として、ホットリーディングを行うという方法がある。これは占いやカウンセリングの方法論ではあるが、営業的にも使える。事前に相手の状況をFacebookやTwitter、会社のIR、その会社の文化、その会社での知り合い等で調べておき、事前に相手の状況、ニーズをシミュレーションして、予測して話し合いを行う方法だ。
相手のニーズ、人柄、事情をシミュレーションで導き、それに合わせて交渉デッキを組んでいくとよいだろう。それと、この方法も相手との協力体制を作るためであって、相手を打ち負かそうとするためではない。
こういったビジネスのテクニックは、外部交渉が必要となるディレクターになると必要になるので、覚えておいて損はないだろう。
また、受託開発のディレクターと、内製開発のディレクターの指向性の大きな差として、会社から何が求められるかは大きく違う。
受託開発ディレクター:コスト内でクライアントを納得させて開発を終わらせる。深く面白くは作るが、広くはしない。
内製開発ディレクター:コスト面より、ヒットするタイトルを作れるかを模索する。どうすればヒットできるかの探索を行う。
パブリッシャーのビジネスというのは、資金力をもって勝率5割で配当3倍といった案件を何個も同時に回すことである。これにより安定的に収益をあげ会社の目標を達成することにある。
一方で自社開発の場合、少ない資金を少ないタイトルに投資し、当たりが見えたら戦果拡大で追加投資、当たれば配当は数百倍、というものである。
そのため、それぞれにおいて求められているタイトルが異なるのである。
受託開発ディレクターは、前述のビジネス構造が存在するため、そもそもクライアントの要求されたものを作るというミッションであり、より売れるための企画のピボット(軸ずらし)は要求されないことが多い。売れるように作ろうとして、この部分を行うと、会社からもクライアントからも怒られる。
内製開発ディレクターは、Pの部分も自分でやらざるを得ず、どうすれば売れるのかという模索が必要となる。この部分を担保しない場合、自分が作りたいゲームを大体作るため、売れない狭いゲームができる。
受託開発で成功した会社が、自社タイトルを出そうとして大失敗することがよくある。受託開発から内製開発へのシフトは、「求められるタイトルの違いを認識していない」or「求められるタイトルの違いは大したことがないものだ」と経営層が考えていることが多く、座組や権限の渡し方で失敗をするため何度も爆死をしてしまう。そして、やがてあきらめることが多い。
求められるタイトルの違いを認識していたとしても、実際にできる人がいることは少なく、ディレクター側が何とかするか、経営側がPとしてうまくやることが要求される。これは実はかなり難易度が高い。
さて、ここで最初の質問に戻ろう。
「『プロデューサーのこだわり』が、現場から見ると荒唐無稽であることが多く、チームへのヘイトも溜まりやすい印象なのです。」
プロデューサーは、本当に何も考えていない場合もあるが、セグメントマッチ率を考えて手段(仕様)を話している可能性がある。この場合は、手段ではなく目的を話してもらうことで、統合案の提案などが可能になる。
価値観が違う人との話し合いは、こちらの理論ではなく、相手の理論での整合性を取る必要がある。そのためには、ある程度の信頼感を作った上で彼らの論を理解し、こちらの理論との統合をするとよいだろう。
ディレクターとしての「売れる」に対してのアプローチ
プロデューサーに「売れる」という機能を全部お願いすることも可能ではあるが、ディレクターサイドでもできることは可能であるし、理解をすることで相互の理解ができる。また会社によっては、プロデューサーの機能自体が薄いこともよくあり、オリジナルを作る場合は禁断のプロデューサー兼ディレクターなんてこともよくある。
なので、ディレクターとしても、「売れる」という状態を認識・担保しておいた方がよいのは間違いがない。というわけで、「売れる」とはどういう状態なのかという話をしたいと思う。
モバイルゲームではあるが、私の考える「売れる」とは大雑把にこのような形になっている。
売り上げ=認知×セグメントサイズ×セグメントマッチ率×面白さ×課金率×課金額
プロデューサーが、担うのはその前半部分の3つである。
認知×セグメントサイズ×セグメントマッチ率
セグメントとは、市場の中で共通のニーズを持ち、製品の認識の仕方・価値づけ・使用方法、購買に至るプロセス、すなわち購買行動において似通っている顧客層の集団のことである。
認知とは、プロモーションによりセグメントの何割の人にゲームを認知させることができるかである。
セグメントマッチ率とは、作ったゲームがどれほど対象セグメントに対して受け入れられるかである。
ディレクターは、プロデューサーの担当範囲と重なる部分もあるが、後半部分を担当する
セグメントマッチ率×面白さ×課金率×課金額
Pは、外側の認知から接続を担当し、Dは接続から面白さだったり、(FreeToPlayだと)マネタイズを担当する。
要するに市場にいる特定のセグメントにどうやって認知してもらい、プレイして面白さを感じてもらい購入してもらうかである。このためには、自分が所属するセグメントだけでなく、自分たちが作ろうとしているゲームの対象セグメントについて広く深く知る必要がある。
経験豊富なPは多くのDとコネクションを持っており、新作の性質に合わせてDの指向を考えたうえで発注をするのでお互いに作りたいものが作れてうまくいくことが多い。しかし発注可能なDにそれほど選択肢がない場合は、対象セグメントの経験が少ないDをアサインせざるをえないことがよくある。こうしたときに、Dは自分の好きなものを作るか、それとも対象セグメントの好きなものを作るのかで、大きくセグメントマッチ率が変わってしまい、結果が大きく変わる。
マーケットセグメント上の戦い
ディレクターは、自分が好きな範囲は詳しく知っているが、知らない範囲には全く興味がないというタイプが多い。ただこれは、売れるという観点において、選択の余地がなくなるためあまり好ましい状態ではない。
私のディレクターとしての2作品目は、超有名IP(版権)のソーシャルゲーム展開であった。このゲームを作っているときに、チームの自分のアイディアに対する反応を見ることで、自分が好きなタイプのゲームを作るとマイノリティすぎて売れないのだと悟ってしまった。私はシミュレーションゲームが好きなのだが、残念なことにシミュレーションゲームは日本では売れないのだ。なので、そのIPのターゲットセグメントを定義し、そのターゲットに向かって作るという方向性にその後変えていった。
一般的なディレクターのイメージとは違うだろうが、私はある程度私の嗜好と違うゲームを理論とレビューで作る。毎回、このゲームが当たらないと会社がピンチという状況だったため、自分の好みを超える必要があったのだ。
ものすごい売りになるタイプのディレクターでない限り、自分の得意領域の周辺に理解できる領域を増やしておかないと、特定の状況でしか戦えず、複数のプロジェクトで成功を続けることが難しいだろう。私は、そうした必要の結果、理論化に進むことになった。
また、ディレクターの必須スキルとして、ターゲットセグメントのマッチ率のシミュレーションがある。ディレクターは、自分の嗜好だけではなく、いろいろな人の話を聞いて彼らの考え方、生き方、感じ方を抽象化してストックしておく必要がある。
ターゲットセグメントの知識・認識は、いわば戦場の解像度みたいなもので、これがない場合、得意領域で戦わない限り勝てないだろう。得意領域で常に戦えればよいが、都合が良い戦いが常に待っているわけではない。市場の動きや、市場の間隙のほうが、あなたの得意領域で戦うメリットより大きいかもしれない。
例えば極端な例だが、女性向けゲームや、子供向けゲームを頼まれた場合、「自分の趣味はこうだから」で作ってもそれは当たらないだろう。市場のセグメントは広く、十分なヒット作を見込めたとしても、そのターゲットのことを認識せずにものを作れば、独りよがりのものができることになり、失敗する可能性が高い。
たとえば「アンパンマンのリアルタイム戦略シミュレーションゲーム」が売れるかどうかを考えてみればいい。これはどう考えても売れない。これは極端な例だが、対象セグメントのことを考えずに、ディレクターが好きなものを作ってしまい、マーケットから受け入れられないというケースは度々発生する。
仮に自分がそのIPを好きであったとしても、それはクリエイターとしての好きであって、消費者としての好きではないかもしれない。クリエイターはマイノリティであるがゆえに、よい悪いではなく自己のポジションとマジョリティ自体を知るということが必要になる。
プロのディレクターとして、得手不得手はあるとしても、ある程度の範囲のものを作れた方が良いと思うし、そちらの方がディレクターとしては長期的に生き残っていけるだろう。ゲームのデバイスやシステムや操作などは変わるが、人間のセグメントは基本的には変わらない。次世代の得体のしれない新しいものがやってきたとしても、対処しやすくなるだろう。
マルチセグメントの攻略
ターゲットセグメントのシミュレーションができるようになると、マルチセグメントに対するリーチというより大きい仕事ができるようになる。昨今のソーシャルゲーム業界では、少ない開発費、広告費で現状戦おうとするとマルチセグメント攻略が必須になってくる。また、大きな開発費、広告費でもより効率よく戦えるようになる。大きい仕事をしたいと思ったら、ターゲットセグメントのシミュレーションだけでなく、マルチセグメントを攻めるスキルが必須になる。
うまくできているプロダクトほど、複数のターゲットセグメントの好みを生かしつつ、それぞれのセグメントが嫌だと思うところは消してあって、だれがプレイをしても面白くなるような設計をする。ある大ヒットしたゲームをみて、自分だったら自分向けにもっと面白くできると思うのは自由だが、それはゲームを正しく評価できていない。誰でも面白く感じるということがどれだけ難しいことかを理解できていない。
ディズニーの映画は、子供がみても、親がみても、恋人同士でみてもそれぞれ「共感先が違う、目が覚めるような物語」を見せてくれる。それをあたかも同じストーリーとして受け取っているかのように見せている。
子供も大人も楽しめるというのは、子供を下に見るのでも大人を軽視するのでものなく、それぞれがほしい物語を違う立ち位置で解釈できる物語にするということである。非常に難しい技術ではあるが、論理的に可能ではある。
日本では機動戦士ガンダムがこの手法を使って、大人の鑑賞に耐えうるアニメとして大ヒットをした。機動戦士ガンダムでは、アムロの視点、ブライトの視点、シャアの視点、モビルスーツ同士の戦い、そしてレビル将軍、ギレン・ザビ、連邦、ジオン公国と各種視点が多層的に表現されているため、視聴者の身の丈にあった目線で作品を楽しむことができたのだ。
このほかにも、トレーディングカードゲームというジャンルそのものを作ったマジック:ザ・ギャザリングでは、Timmy, johnny, and SpikeやVorthos,Melvinという設計方法が使われている。こちらについては次の記事が詳しい
Timmyはパワープレイヤーで派手なカードを好む、johnnyはトリックプレイヤーでコンボを好む、Spikeはガチプレイヤーで勝ちを目指す。Vorthosは世界観やフレーバー、Melvinはゲームシステムそのものを好む、といった具合だ。
一見するとこれらのタイプは重ならないので別のマーケットセグメントのように見えるが、MtGではカードの設計段階からこれらのプレイヤー像を意識して、それぞれに向けたカードを作ることで多くのユーザを獲得している。
私もゲームを作る際は、これらのプレイヤーモデルを参考にして、単純に強いキャラクターや組み合わせると強いキャラクター、他のプレイヤーと協力すると強くなるキャラクターなどを用意して、多くのセグメントに受け入れられるように努力している。
このようにいろいろなセグメントを理解して、モノを作ることによって広い範囲から受け入れられる大ヒットゲームを作ることができる。たまたま、ヒットができてしまうことはあるが、理解をして作ったほうが確率は高くなるだろう。
マルチセグメントの成功事例:パズドラ
マルチセグメントの成功事例としてパズドラがある。パズドラがどのように成功したかは2012年のCEDECで山本大介プロデューサーによって語られており、その発表内容は以下にまとめられている。ちなみにこれはPとDを兼任しているケースだと思われる。
パズドラでは当初「20代~30代のサラリーマン」「女子高生・主婦など」の二つをターゲットセグメントとしていた。前者は「RPGが好きだけど、最近は複雑なゲームを遊ばないゲーム好きユーザー」、後者は「簡単なパズルなどを遊ぶカジュアルユーザー」として大枠としてゲームの初心者から中級者を対象として開発がすすめられた。
山本氏は業界歴が長く自身もゲーマーであるため、初心者から中級者の感覚をネイティブで理解することができない(と思われる)。そのため、彼は自身の奥さんにゲームを遊んでもらう通称「嫁レビュー」を通じて、初心者がどのような感想を抱くのか、どのような行動をとるのかを観察し、パズドラのゲームルールを作り上げていった。
その結果「普段ゲームを遊ばない人々」「パズル大好きゲーマー層」が新たにターゲットセグメントとして増え、そして、その結果は年商1000億円越えとなって表れた。
これは極端な成功事例であるが、より多くのセグメントが刺せると、「みんながやっているからやる」という状態になり、社会現象にまで転換する。そしてこの状態まで来ると、ここまで大きな収益を挙げるという事例である。
キャズムを超えて
キャズムを聞いたことがあるだろうか?
こちらの記事より引用
キャズムとは、イノベーター理論の普及モデル上で、アーリーアダプターとアーリーマジョリティの間に溝(キャズム)があり、ここの溝を超えるためには工夫か大規模マーケティングが必要であるという話である。
キャズム理論のイノベーターや、アーリーアダプターは、新しいものに触ること自体に快感を覚える。それをモノづくりに使うのがイノベーターで、情報伝播+マウンティングに使うのがアーリーアダプターだ。なので彼らは、新しい要素があれば勝手に触るため、目新しい要素を作れば問題ない。
一方で、マジョリティは、コミュニケーションの手段として、情報を扱う人々である。なので、人と仲良くなるためだったり、人との共通話題としての使う。彼らにとって、コンテンツは人との話題である。
彼らは、新しい要素を必要としない。わかりやすく共感できる要素がほしいと考えている。彼らは、人からの働きかけが無いと購買をなかなかしない。
この2つのセグメントのギャップがキャズムである。
なのでアーリーアダプターが、露骨なマウンティングではなく、こんな面白いものだとアピールできるシーンがあると、そこの二つのセグメントが接着できるようになる。
例えば私だと、スクリーンショット最適化を考える。スクリーンショット最適化とは、例えばPUBGの「ドン勝つ」が良い例だ。ほとんどのひとは、「ドンカツってなんだよ」とか、「ドンカツを取った」みたいな直接すごいだろとアピールしていないが、暗黙で私は100人中1位のすごい人ですとアピールを周りにできる。つまり、1枚のスクリーンショットで価値がある情報とマウンティングが同時にできるようにしておくことだ。
他の例としてはインスタグラムで、メインのもの以外(例えばブランド品、例えば異性)のものが少しだけ映り込むことで、あくまでもこれは面白だったりすごい情報を見せているのですよという体で、露骨ではなくマウンティングができる状態を作っておくことだ。
また、10連ガチャの結果も私が凄いアピールができるようになっている。どれくらいお金を注いだのかを申告する理由がないため、どれくらいで手に入れたのかを自己申告で調整することができる。そのため、良いものが当たったスクショで、すごく運がいい人(アルファ)としてアピールすることができるのだ。よく、もらった石だけで出ましたとか、1連で出ましたみたいなのもそのようなアピールとして成立する。
このような露骨ではない、すごい人間(アルファ)だとアピールできるシーンを作っておくとよい。
こうして、キャズムの通過をマルチセグメントの攻略として行っていくのだ。人は、複数の経路から同じ情報を手に入れると信頼できる情報だと考える。その経路を増やす手段の1つとして、マーケティング、プロモーションが存在する。優れたプロデューサーは、マーケット上の情報伝播シミュレーションを行い、プロダクトが流行るようなデザイン、プロモーションを提案してくれる。
私の信頼しているPとのやり取りは、以下のようにして行っている。
・プロダクトの流行らせ方(セグメントや手段)を私(D)が考える
・それに対して、はやり方のシミュレーションチェックPが行う
・チェックに対して、再度提案
こうすることで、高速にマーケットに対して合わせることができる。個人的には、PとDの関係性の中で最もうまくいっているパターンだ。
まとめ
売上=認知×セグメントサイズ×セグメントマッチ率×面白さ×課金率×課金額
・プロデューサーの役割
・認知×セグメントサイズ×セグメントマッチ率
・ディレクターの役割
・セグメントマッチ率×面白さ×課金率×課金額
・自分が好きなものを作っても売れない
・対象セグメントにあったモノを作らないとセグメントマッチ率が下がる
・セグメントマッチ率のシミュレーションは、ディレクターの必須スキル
・マルチセグメントに向けたゲームが作れるようになると、売上は飛躍的に大きくなる
・キャズムを超えるためには、マルチセグメントでキャズムを超えるデザインをする
・スクリーンショット最適化
プロデューサーとディレクターの相性は、作品の完成度やヒット性を大きく左右する。立場ではなく相互に理解をして協力をできるような関係性を築けるようになれるとよいだろう。
マーケティングのほうからの視点なので、自分の好きなものを否定するような書き方になったが、自分の好きなものと売れるものを統合しないと売れないので、ディレクターを続けられないよという話である。好きなものを突き詰めたら、売れるものになればいいが、現実クリエイターはマイノリティなのでそういうケースは少ない。
まずは、売れるようにして、ディレクターとしての生存を担保してから、自分の好きな売れるものを作るのが良いだろう。ディレクターにとって売れるものを作るというのは、必要な技術である。ディレクターは、自分のお金ではなく、他人のお金でプロダクトを作っている。売れないことには、次回作は託されない。
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参考書籍
マーケティング戦争は、シミュレーションゲームが好きなタイプにオススメの本だ。マーケティングでの戦いを、戦争に置き換え、こう戦えばよいという戦略戦術が書いてある。市場を占有している大企業の戦略を、中小は選ぶことができないというのだけでも知っている価値はある。こういう企業はこういう風に戦えばよいというのがひたすら書いてあり、意外にリアルな戦争のこと、戦争での発明などもかいてあり非常に楽しめる本だ。私もマーケットでの戦いが、見えるようになり、シミュレーションを行うようになった。
ちょっと、今回の話からは距離がある本ではあるが、100年間のビジネスの戦い方がすべて網羅されており、戦争は戦い方を進化させるのだなというのが理解できる本である。分厚い本ではあるが、全編楽しく読める。こちらもシミュレーションゲームが好きなタイプにオススメである。
繋がりのある記事
その後考えて、PとDの領域の統合に成功した記事です。有料記事ではありますが、無料部分だけでもラフな結論は見えますのでお勧めです。
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