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2022年出会えてよかった小説3選

今年は人生で一番本を読んだ年でした。
再読した本も含めて50冊以上は読めたと思います。

そんな私が今年、出会えてよかったと思った小説を3冊紹介したいと思います。


『汝、星の如く』凪良ゆう

1冊目は、凪良ゆうさんの『汝、星の如く』です。
あらすじは以下の通りです。

その愛は、あまりにも切ない。

正しさに縛られ、愛に呪われ、それでもわたしたちは生きていく。
本屋大賞受賞作『流浪の月』著者の、心の奥深くに響く最高傑作。


ーーわたしは愛する男のために人生を誤りたい。

風光明媚な瀬戸内の島に育った高校生の暁海(あきみ)と、自由奔放な母の恋愛に振り回され島に転校してきた櫂(かい)。
ともに心に孤独と欠落を抱えた二人は、惹かれ合い、すれ違い、そして成長していく。
生きることの自由さと不自由さを描き続けてきた著者が紡ぐ、ひとつではない愛の物語。

ーーまともな人間なんてものは幻想だ。俺たちは自らを生きるしかない。
講談社BOOK倶楽部より

ジャンルでいえば恋愛小説です。ですが、ただの恋愛小説ではありません。人の愛、人と人との繋がり、人生について考えさせられる小説です。
今年出会えてよかった小説1位、というより、1番大好きな小説かもしれません。

愛って永遠のテーマだと思います。
でもこの小説を読んで、愛がどんなものなのか少しだけわかったような気がします。

惹かれ合ったふたりの愛、彼らを取り巻く周囲の人物の愛、誰かが誰かに、何かに、向ける愛。

それは切なく、どこまでも美しい。

愛の形はさまざまで、そこに愛を感じたものやことに対してその愛は一生消えることがないのだと思います。


どこか窮屈な思いをしている方、忘れられない人がいる方、愛する人がいる方、愛について考えてみたい方。
何か響くものが必ずあると思います。


気になった方はぜひ手に取ってみたください。


『52ヘルツのクジラたち』町田そのこ

2冊目は、町田そのこさんの『52ヘルツのクジラたち』です。
2021年の本屋大賞を受賞しています。
あらすじは以下の通りです。

52ヘルツのクジラとは―他の鯨が聞き取れない高い周波数で鳴く、世界で一頭だけのクジラ。たくさんの仲間がいるはずなのに何も届かない、何も届けられない。そのため、世界で一番孤独だと言われている。自分の人生を家族に搾取されてきた女性・貴瑚と、母に虐待され「ムシ」と呼ばれていた少年。孤独ゆえ愛を欲し、裏切られてきた彼らが出会い、新たな魂の物語が生まれる―。
帯より引用

2021年の大賞作品で今更感はあるのですが、もっとはやくに読んでおけばよかったと後悔しました。

正直、読んでいて辛い場面も多いです。
でも、それはどこかで必ず起きていること。もしかしたら自分のすぐそばにいる誰かがそのような目に遭っているかもしれない。
52ヘルツのクジラはすぐ近くにいるかもしれない、すぐ近くで鳴いているかもしれない。
主人公の貴瑚自身も52ヘルツのクジラだったように、彼女もまた辛い過去を乗り越えて52ヘルツで鳴いている誰かの声を聴くんです。

「私はその声を聴こうとするから、どうか鳴くのをやめないで」
という貴瑚の強く優しい言葉に心を打たれました。
私も貴瑚のように、その声を聴こうとする人でありたいと思いました。
そして、その声を聴こうとする温かい世界であってほしいです。


どんな人にもおすすめしたい小説です。

※この小説で町田そのこさんのファンになりました。『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』もおすすめです!


『希望が死んだ夜に』天祢涼

3冊目は、天祢涼さんの『希望が死んだ夜に』です。
あらすじは以下の通りです。

神奈川県川崎市で、14歳の女子中学生の冬野ネガが、同級生の春日井のぞみを殺害した容疑で逮捕された。少女は犯行を認めたものの、「あんたたちにはわかんない」と動機は全く語らない。
なぜ、美少女ののぞみは殺されたのか。
二人の刑事が捜査を開始すると、意外な事実が浮かび上がってくる。
希望の「希」という漢字が「ねが(う)」と読むことから名づけられた、ネガ。現在は、母親の映子と川崎市登戸のボロアパートに暮らしている。
母はあまり働かなくなり、生活保護も断られた。まわりに頼れる大人や友人がいないネガだったが、あるとき、運命的な出会いをした……。
裏表紙より引用

先に言っておきます。
この小説は非常に重たいテーマであり、現代社会の闇の部分が描かれています。

こんな社会、くそくらえ。
知能と感情を持つ人間が創り上げたこの社会は、なぜこんなにも冷たく残酷なのだろう。

そう思わずにはいられませんでした。

でも、たったひとりでもその苦しみを分かち合える人がいるならば、手を取り合えたなら、救われる道もあるかもしれない。
それが希望となってほしい。
そう信じたいです。

『52ヘルツのクジラたち』の貴瑚と少年の出会いは、まさに希望だったのだと思います。
この小説のネガとのぞみもそうです。
だから彼女たちが望んだことを決して肯定できないけど、否定はしたくないと思うんです。
あまりに切ない真実に胸が張り裂けそうでした。


この物語はフィクションではないと思います。
ネガとのぞみのような人がいる。
彼女たちが希望を持って生きていけるような社会を築いていかなければならない。そんな大それたことでなくても、彼女たちの苦しみに気付き、手を差し伸べる人でありたい。強くそう思いました。


この小説を読むことで、社会に蔓延るさまざまな問題について考えるきっかけになると思います。
そういった意味でも、全員におすすめしたいです。


さいごに

今年出会えてよかった小説3選を紹介しました。
テーマが重めのものが多くて、明るく幸せに溢れた小説が好きな方には参考にならないかもしれません…ごめんなさい。
でも、どれも本当に素敵な作品です。

ぜひ本選びの参考にしてみてください。


今年も素敵な本との出会いがたくさんありました。
お正月休みも読書に明け暮れたいと思います。

来年は100冊読破したいです。


最後までお読みいただきありがとうございました。






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