2019年8月17日(土)

ホテルの朝飯というのは食べ過ぎないでいることが難しい。それなりの美味しさに留まっていても、ついついプレートに乗せてしまう魔力がある。これもまた旅慣れしていない人間特有の、人生において回数制限のある感覚なのだろうか。母親から(土産はこれだけで構わないからこれだけは是非という強い懇願の仕方で)頼まれていた、ポケモンGOのサニーゴを部屋で捕まえる。意外にあっさり出てきたから拍子抜けしたたけれど、四日通してこの一匹しか出現しなかった。天気は雨晴が交互にやってくるじつに沖縄らしいもの。北東部の大きい橋を見に行く。窓を開け放しながらRIP SLYMEを流して橋を渡るなど、二人して陽気な人間に擬態するという遊びに興じる。楽しい。橋を渡った先の、十五分もあれば車で一周できてしまう程度の大きさの島を、車で十五分かけて一周する。ショッキングピンクで塗られた、タピオカ類ドリンクの取り扱いを喚起する木製の看板が点在する区域があって、妙にツボに入る。その後はビーチで海水浴。このあたりから、旅行で必ずと言っていいほど生じる、期間限定の(同行者たちのあいだでの)流行語が発生する。「チル」「ほにゃららして男くん&ほにゃららして娘ちゃん」「赤子か?」などが筆頭である。これは無論刹那的な楽しさをもたらす効果もあるだろうが、普段生活を共にしていない者たちが一定期間は四六時中生活をともにすることによって発生するコミュニケーションに対する億劫さみたいなものが、今回に限らずあるのではないか? その億劫さを、半ば自動的に口から発せられる流行語をその時々で作り出して、軽減しているのではないか? みたいなことを後から思うこともできたけど、そんなことは思わずにいることができるほど、楽しさや高揚が支配的だったからうれしかった。

午後は高名なハンバーガー屋に行く。待った甲斐ありとても美味。しかし昨日今日と(そして明日明後日も)訪れている場所は、どれもこれも大学時代に行ったことがある場所だった。それでよかった。夜は地元の食堂的な店でソーキ蕎麦とトースト。ホテルの大浴場にはサウナがあった。テレビでは演歌特集がやっていて、おじさんとお爺さんの中間くらいの人間が食い入るように見ていたから、チャンネルを変えることはできなかった。

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