2020年3月26日(木)

休暇。午前中を無為に過ごしたのち、新宿紀伊國屋を目的地に設定しつつ緩やかな散歩を敢行した。電柱と街頭の組み合わせの形状とまったく同じ枝のつけ方をしている木がその電柱の隣に立っていて、相似をなしていた。ヴァルザーの作品集④を買い、中野に戻ってまんだらけで【九龍ジェネリックロマンス】も買う。西友は入場規制がかかっており断念、断腸の思いでやや高めのイトーヨーカドーへ向かう。ものがない。これでは豚の角煮を無性に食べたいという突如湧いて出て一日私を支配していた欲望を満たすことができない。高価な肉と、イトーヨーカドー独自のやたら健康に悪そうな味付けがデフォルトでなされている豚肉だけが、いつものように積まれていた。結局なんの展望もないままベーコンを買った。

ヴァルザーの【散歩】が、どうにかなってしまうのではないかと思えるほど面白かった。全文引用したいくらいだった。海外の作家でここまでしっくりくるのは初めてだった。世界に対する認識と、それを出力する一文一文とその繋ぎ方、その面白さをひたすら高めて維持することこそが、小説の面白さであることを改めて教えてくれた、ストーリーも奇想も心理的な葛藤も、その手の面白さの背景にすぎない。

#日記  #エッセイ #コラム #小説 #創作

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